「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想

月の光
月の光
 
コメント
作者様のレスを拝見するに2階級特進は無いみたいですね
第二次大戦時の国難にアメリカ陸海軍は准将・少将クラスの優秀な人材を陸軍は時間をおいて段階的に、
海軍は即座に大将に昇進させ重要な任務をまかせる柔軟な抜擢人事を行いました。
大日本帝国陸海軍は卒業年次・成績の硬直とした人事、組織運営から脱する事はできませんでした
同様に同盟はこの戦略的劣勢の国難に対して柔軟な抜擢人事、組織改革ができるのか
戦略的優位にあるローエングラム体制と史実アメリカの柔軟な人事と、
劣勢にある同盟と大日本帝国の硬直とした人事というような対比になるのか、
この小説の隠れた命題は組織運営と政治について書かれていらっしゃると思うので、
現在エリヤは臨時で軍政以外の全ての権限を担っていますが、落ち着いた後、
階級を含めてどのようなポスト処遇をするのか気になります。
実際、バリケードに翻る全勢力の旗のように派閥を超えて人材活用ができるエリヤのような人物でなくては
クーデター後の同盟軍はまとまらないと思います。
今までは大きく原作からずれずに来ましたが、柔軟な組織・国家運営を同盟ができるのかどうか
クーデターでガラガラポン状態の今しか軍事的な最適解に近い政治決断に持ち込めないのではないでしょうか

将官人事は国防委員会専権事項だと思いますが、トリューニヒトが今後、エリヤをどう処遇するのか楽しみです。
先頭に立って戦った本当の英雄のエリヤを後押しする世論もありますが、
クーデター後の人事では信頼できる者に軍を任せたいと思うはずです
ドーソンは年齢差もあるし、チョロイのでエリヤが常に面子が立つように敬し接すれば問題ないでしょうが
トリューニヒトも年齢差があるし、人気を利用しようとするはずなので無いとは思いますが、
絶大な人気に嫉妬して潜在的な政治ライバルとして意識して忌避するようになるのか
その他、クーデターによるルグランジュ提督など人材の損耗や粛清人事のやりすぎで軍がソ連のようにガタガタになってしまうのか、
この先の展開にワクワクします。
 
作者からの返信
作者からの返信
 
米軍は基本的な階級は少将まで。中将以上の階級は役職に応じて付与され、一定の条件を満たした場合のみ役職を離れた後も保持できる決まりになっています。条件を満たさない状態で役職を外れれば、大将であっても少将に戻ります。それゆえに戦時では将官人事でも数十人抜きの抜擢ができます。あと、第二次世界大戦までは戦時昇級制度が使われてましたね。戦争が始まって軍隊の規模が大きくなると臨時に本来の階級より高い階級が付与され、戦争が終わって軍が縮小されると元の階級に戻ります。

第二次世界大戦までのアメリカの柔軟な人事というのは、アメリカの常備戦力が極端に少ないがゆえに可能になったことです。常備戦力が大きくなった現在は、人事秩序が確立してしまって官僚的になっています。それでも三等水兵から下士官を経て海軍大将になった人が1990年代にいましたが。

エリートなら20代や30代で将官になれる。兵卒あがりでも将官への道が開かれている。そんな同盟軍は相当柔軟な組織だと思います。そして、その柔軟さは慢性的な人材不足ゆえでしょう。軍の核となるべき将官に若者やエリート教育を受けていない者を就けるのは、かなりの冒険ですからね。

ラインハルトの極端な人事が可能になったのは、門閥貴族が滅んでポストが空いたおかげ。空いたポストがなければ抜擢はできないということ、誰かがいるポストに抜擢するなら既に座っている者を追い出さなければならないことに留意すべきでしょう。

人事は政治、とても難しいですね。ただひとつ言えることはエリヤを大将級の軍司令官ポストにつけて軍をまとめさせるならば、ビュコック、ヤン、ルフェーブルの誰かを首にしなきゃいけないってことですね。