「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想


 
良い点
とりあえず、同盟の大侵攻作戦の大義名分を考えられたのは良かったと思います。

機密作戦であるから、フォークも会議でも本当のことを言えずに、誤魔化さざるを得なかったという言い訳は成立していると思います。
 
悪い点
一方で歴史の結果を知っているはずのエリヤの動きが不自然に感じます。

ジェシカの件とか妹の件とか、未来の知識を忘れた訳でもなさそうなのに、不自然に都合の悪いところには目を逸らしているように見えてしまいます。

逆行者でなければ成功するかもとワクワクするかもしれませんが、
どんな精緻な作戦でも失敗したという知識があれば、
帝国側やラインハルトの謀略の危険性に気がつき、
阻止に走るか、自分の能力に自信がないなら、
大賢者たるヤンにシェーンコップ経由、キャゼルヌ経由などで
対応を相談すればいいのにと思うのですが。

このまま傍観するならば、主人公は逆行者ではなく、
歴史に名を残さなかった無名兵士でも良かったんじゃないかと
思えてきます。
 
 
作者からの返信
作者からの返信
 
>逆行者でなければ成功するかもとワクワクするかもしれませんが、
>どんな精緻な作戦でも失敗したという知識があれば、
>帝国側やラインハルトの謀略の危険性に気がつき、
>阻止に走るか、
「結果として失敗した」というだけの結果から、同盟のプロ軍人たちを欺くような謀略の存在に気がつけるとしたら、それは超能力者ですね。エリヤはそうではありません。


>自分の能力に自信がないなら、
>大賢者たるヤンにシェーンコップ経由、キャゼルヌ経由などで
>対応を相談すればいいのにと思うのですが。
「私の前世知識ではこの戦いはこういう展開になって負けます」とでも言って相談するんですか?エリヤはヤンやシェーンコップやキャゼルヌとは内緒の相談をできる仲ではありませんし、プロの軍人であるこの三人がその程度のオカルトみたいな話で相談に乗ってくれて、打開策を考えたりもしないでしょうね。組織、プロの仕事、人間関係というのを軽く見ておられませんか?

>このまま傍観するならば、主人公は逆行者ではなく、
>歴史に名を残さなかった無名兵士でも良かったんじゃないかと 思えてきます。
エリヤは自分に与えられた役割を全力で果たそうとする人物です。それを「傍観」とおっしゃるのなら、歴史を動かすこと以外は仕事ではないとおっしゃるのなら、エル・ファシルの逃亡者は傍観小説ですね。

逆行したら歴史を変えないといけないんですか?私には理解できない考えです。前より頑張ってより良い人生を生きようと考えるものと私は思いますが。国が滅んだら自分が不幸になるわけでも、国が保てたら自分が幸福になるわけでもないでしょうに。