「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想


 
コメント
「用兵というのは常識の積み重ねなので、勉強家が有利」 もっともな話です。原作のヤン・ウェンリーも、怠け者のくせに凄まじい読書家でしたしね。
 そう言えば、ヤンもそうですが、諸葛孔明といい秋山真之といい、歴史に名を残すような用兵家には、学者タイプが多いんです。
 優れた用兵家は、戦略・戦術の熱心な研究家であるはずだから、それは不思議でもなんでもない。
 そして、学者タイプの人間とは、すなわち知的好奇心の強い人間だから、読書家で当たり前ということになるんですね。

 一方で、こちらのアンドリュー・フォークは、人一倍勤勉で、なおかつ相当の努力家のようです。努力せずに首席だったわけじゃないんですね。
 そして、そういう人間から見れば、努力していない(ように見える)のに結果を出してしまう、ヤンのような人間は、許せなかったとしても不思議はない。

 エリヤ君、『ヤン・ウェンリーは、怠け者だが凄い読書家である』ことを、フォークに教えておくべきじゃないでしょうか。

 そして、真面目な努力家であればあるほど、その努力が裏目に出た時のショックは大きい。
 アムリッツァの時のような、最悪の形で裏目に出たら、精神を病んでもおかしくないのでは。 
作者からの返信
作者からの返信
 
この物語の中のフォークが問題視しているのは、「ロボスの司令部にいるのに、ロボスのために働く気がない」ということです。「怠け者だが凄い勉強家」などと言っても、その勉強がロボスの役に立ってくれなければ意味が無いのではないでしょうか。

士官学校に限らず、エリート教育を行う場所では才能と努力を兼ね備えた人材ばかりが集まります。怠け者のように振舞っていても、その実は常人でははるかに及ばない努力家だったりします。士官学校では知力、体力、リーダーシップの三要素がバランス良く高く無いと上位に行けませんので、当然首席のフォークは努力家でしょう。

あと、真面目な努力家は怠け者よりずっと精神的に強靭ですよ。努力ってしんどいです。しんどいことを継続できる人間は、そうでない人間より強いです。