「亡命編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)」の感想

雑兵I-13
雑兵I-13
 
コメント
悪夢編はアレでも最悪ではない事が悪夢の悪夢足らしめる要因に思ってしまいます。
頼るべき物が存在せず現実に絶望しかなければ宗教に縋るしかありません。フェザーン人でどれだけの人間が地球教に帰依するのか。国家、都市が自治体として機能しなくなれば相互扶助の仲間認識以外の見返りを排除した宗教団体としての繋がりで自治体を維持するしかないです。自治体の崩壊は宗教の純化、拡大を招きます。相次ぐ大敗での労働人口の減少、大規模出征の負担、王朝の権威の凋落を考えると帝国内で地球教の勢力が拡大、帝国政府が包囲状態になっていてもおかしくないです。相対的に大勝続きで政府の権威が強まっている同盟は地球教の影響力が小さくなっていそうです。
フェザーンの人材レベルを考えると同盟、帝国が自分達を切り捨てた事にすぐ思い至るでしょう。苦境の際に宗教に縋りついた経験から市場で経済支配だけでは不十分と悟り、宗教による人心支配、武力保有の重要性を知るでしょう。数百年後の脅威より今の害悪の排除が同盟、帝国の優先順位なのは分かりますが、最終的にキリスト教に屈した欧州のような歴史を辿りそうです。亡命編は悪夢編より悪夢な時間軸。
悪夢の度合いは亡命編>悪夢編≧美しき夢編>本編>海賊編な感じです。
ラインハルトは機会があればキルヒアイスの仇を取るべく同盟に攻め込むでしょうが、帝国がガタガタで戦争どころではない事ぐらいは理解しています。エーリッヒへの復讐を糧に感情を抑える術を知ったラインハルト(進化版)と悪夢のような敵と戦う事になるかもしれません。人心を安定させる為、宗教を利用するのは世の常。地球教は復讐心9割の栄達1割のフェザーン人材を使い帝国で大躍進できるかもしれない。