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万華鏡

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第八十三話 卒業式に向けてその九

「そう言われると逆に困ったみたいね」
「何ていいますか」
「まあどっちでもね」
 本当に、というのだ。部長はまたこう言うのだった。
「いいからね」
「わかりました、じゃあバンドのままでいきます」
「そういうことね、じゃあ」
「はい、卒業ライブですね」
「いいわね、今年渡最後のライブで」
 部長の顔が変わった、真面目なものに。そのうえでの言葉だった。
「思い切り盛り上げていくから」
「それで三年の先輩達を、ですね」
「送らせてもらうわよ」
 これが部長の考えだった、それをそのまま言葉にも出している。
「わかったわね」
「わかってます、じゃあ」
「残り僅かよ」
 テストも終わり結果も出た、まさにその後はだった。
「練習頑張ってね」
「それで本番ですね」
「リハーサルもするから」
 これも忘れないというのだ。
「しっかりしなさいよ」
「そうですね、リハーサルもですね」
「ちゃんと衣装合わせしてね」
 そうして、というのだ。
「そのうえでリハーサルしてそうして」
「本番ですね」
「そこまでやるから」
 その本番の前に、というのだ。
「いいわね」
「最後も成功させて」
「先輩達の笑顔を見るわよ」
 部長はこう言ってプラネッツだけでなく他の部員達にも発破をかけた、とにかく今は誰もが真剣だった。テストが終わってからがいよいよ本番だった。
 その本番を迎える中でだ、高見先輩が五人にこんなことを言ってきた。
「去年もやったからね」
「じゃあ今年のこともですね」
「去年を参考にして」
「そう、私達もそれに添ってやってるから」
 去年やったことを参考にして、というのだ。
「だからね」
「今年も、ですね」
「去年の通りやっていって」
「そう、それで来年は」
 次の時はというのだ。
「あんた達が私達を送るから」
「そうですか、来年は」
「私達がメインでやるんですね」
「それで先輩達の卒業を」
「お送りするんですね」
「そうなるんですね」
「そうよ、頼むわよ」
 高見先輩は五人に笑顔で言う。
「盛大にやってね」
「私達に出来たらいいですけれど」
「大丈夫よ、ちゃんとね」
「ちゃんとですか」
「申次があるから」
 これがあるというのだ。
「だからね」
「それがあるんですか」
「そう、あるから」
 だからだというのだった。
「だからね」
「そういうのあったんですね」
 琴乃はその話を聞いて目を瞬かせて言った。
「申次が」
「そう、あってね」
 そしてだというのだ。
「部長達も私達も参考にしてるのよ」
「その申次ってどんなのですか?」
「部活のあらゆることについて代々書かれているもので」
「イベントとかそのやり方をですか」
「その年度によってアレンジがあるけれどね」
 そうしたアレンジがあっても基本は、というのだ。 
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