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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第三幕その十一

「この動物園にもかつてはニホンカワウソがいたのですが」
「今はですね」
「はい、いません」
 もうこの動物園からニホンカワウソがいなくなって随分経ちます。このことはどうして仕方なくなっているのです。
「それでも忘れられないです」
「本当にそうですね」
「カワウソもいい動物ですよね」
「そうですね、愛嬌がありますよね」
「カワウソはカワウソで」
 その可愛らしいカワウソのマスコットを見ながらです、加藤さんは先生にお話しました。
「可愛いです」
「この動物が日本にまだいれば」
「大騒ぎになりますよ」
「いてくれればいいですね」
「本当にそう思います」
 加藤さんは先生に心から答えました、そうしたことをお話しながらです。
 動物園の中を見て回ります、シロクマもいれば虎もいます。
 そしてです、その動物園の中をp見回っているとです、ジップが急にです。
 鼻をクンクンとさせてです、こう先生に言いました。
「先生、何かね」
「どうしたんだい、ジップ」
「うん、狸の匂いがするよ」
 こうです、コツメカワウソの前で言うのでした。確かにニホンカワウソはもういませんがカワウソは今でもこの動物園にいるのです。
「何かね」
「うん、僕も今感じたよ」
 ダブダブも先生に言ってきました。
「何かね」
「ダブダブもなんだ」
「そうだよ、急に匂ってきたよ」
「動物園の狸じゃないの?」
 ホワイティはこう二匹に言いました。
「それって」
「いや、何かね」
「違うんだ、同じ狸の匂いでもね」
 ジップとダブダブはこうホワイティに答えました。
「何かが違うんだ」
「年季が違うっていうか」
「かなり長生きしているっていうか」
「そんな匂いだよ」
「それじゃああれじゃないの?」
 ホワイティは加藤さんの方を見てから二匹にこうも言いました。
「この人がさっき先生にお話してた」
「その狸の総大将?」
「その狸さんかな」
「うん、そうじゃないのかな」
 こう言うのでした。
「まさかと思うけれど」
「ううん、狸さんの総大将ね」
「この愛媛の」
「その狸さんがこっちに来ている」
「そうなのかな」
「そうかもね。とにかくね」
 ここでまた言うホワイティでした。
「狸の匂いがしているんだね」
「今もね」
「結構感じるよ」
 ジップとダブダブはまたホワイティに答えました。
「近くにいるよ」
「その狸さんがね」
「あれっ、けれど」
 チープサイドが周りを見つつ言ってきました。
「いないよ、誰も」
「うん、そうだね」
 そのチープサイドの一家を頭や背中に乗せている老馬も動物園の中、自分達の周りを見回して言いました。
「狸はいてもね」
「そんな古い狸はね」
「けれどジップもダブダブもね」
 ここでこうも言った馬でした。
「嘘は絶対に言わないし」
「鼻は抜群だしね」
 チープサイドも言います。
「だからね」
「僕達も嘘は言っていないよ」
「そのつもりだよ」
 ジップとダブダブもこのことは強く言います。
「この匂いはね」
「明らかにかなり生きている狸のものだよ」
「だから近くにね」
「いるみたいだよ」
「そうよね。けれど」
 チープサイドは周りを見回しました、二匹の言葉を受けて。
 ですが彼は見つけられません、それで言うのでした。
「まあ縁があれば見つかるわね」
「そうだね、じゃあね」
「今は動物園の中を見て回ろうよ」
 オシツオサレツは二つの頭でチープサイドに応えました。
「とりあえずはね」
「そうしようよ」
「何か色々と喋る子達ですね」
 加藤さんは動物達のやり取りを見てこう先生に言いました。
「さっきから思っていましたが」
「彼等は彼等でお喋りをするんですよ」
 先生は加藤さんにこうお話しました。
「そうしています」
「そうなのですね」
「はい、ですから特に」
「気にすることはないですか」
「悪いことは話さないので」
 だからだというのです。
「ご安心を」
「そうですか、では」
「はい、この動物園をですね」
「見て回りましょう、ここもいい場所ですよ」
「それでは」
 先生も加藤さんの言葉に笑顔で応えてでした、そうして。
 動物達と一緒に動物園を楽しく観て回りました、この日は動物園を回りました。 
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