東方変形葉
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全国10カ所の妖気
東方変形葉47話「京都ぶらり」
前書き
?1「うにゅっ!?あなたたち誰っ!?」
?2「私かい?私は八坂の神だよ。」
?3「んで、私は洩矢の神ね。」
?1「そ、その神様たちがどうしたの?」
?2「ここら辺で一番強い地獄鴉をさがしているのよ。知ってるかい?」
?1「うにゅ、それは私です。」
?3「ならばあなたに力を与えましょう。」
ある日、妖怪の山付近の地中あたりでそんな話が存在した。冬があと少しで終わるころだった。
「それで、京都の名物って何?八つ橋ぐらいしか知らないけど。」
寮の近くの喫茶店でお茶を飲みながら計画を立てている。しかし、その計画は前までのとは違い、とても心躍るような話題だった。
「いろいろあるわよ。例えばちりめん山椒、でっちようかん、湯豆腐や漬物。いいものがたくさんあるわよ。」
「へぇ~、さすが京都だ。今日はとりあえずお土産さがしかな。明後日は宴会の材料を買わなくちゃ。」
「・・・お金って、その幻想郷ってところでもそのお金なの?」
蓮子が質問した。
「いいや、あっちは結構古いお金なんだけど、紫が交換してくれたんだよ。」
「宴会の材料を全て自腹で買うつもり?いったいどれだけ持ってきてるのよ。」
メリーが訊いてきたので、金額を答える。
「・・・子供が持つお金じゃないわよ。」
「とは言ってもなあ。数十人分のお土産代と宴会の材料費がどれほどいるかわかったもんじゃないからね。このぐらいは持たないと。ああ、ちゃんとスキマの中に入れてるから盗られる心配はないよ。」
「大変ねぇ。」
それにしても、宴会の材料ってどこで買えばいいのだろうか。普通にスーパーで?いや、幻想郷にない“珍しい物”を買って来いって言ってたからな。あ、そうだ!いいこと思いついちゃった!
「まずはこの店ね。」
京都のお土産屋。見てみると、京扇子や阿闍梨餅、その他いろいろないいものがずらりと並んでいた。
「ん~っと、これはどうしよう。これは紫、これは霊夢。これは魔理沙。これは―――」
「・・・幻想郷には、たくさん人がいるのね。さっきから女性の名前しか上がってないけど、男友達いるの?」
蓮子が言った。・・・・・・。
「・・・に、二・三人ぐらいは。」
「女友達は?」
「・・・阿修羅の八つの手なら数えられるかも。わぁ~ん!そういや男友達が全然いないじゃんか~!」
今初めて気が付いた。男友達数えるぐらいしかいないじゃんか!全然気にしてなかったや。
「今時、女友達が多くて男友達が少ないだなんていう男性なんてごく稀ね。」
「・・・ゆ、裕海様、がんばれ~。」
「「がんばれ~!」」
姫雪や人形たちが励ましてくれるが、この子たちも女の子。・・・幻想郷で男友達をもう少し増やさないと。
“永遠の変化”でお土産の鮮度を保たせて保存する。そしてスキマの中にしまう。
「これで全員分かな。さてと。姫雪、きらちゃん、ほたるちゃん。」
「「「なに~?」」」
「一つだけ好きなの選んできてもいいよ。」
「「「やった~!」」」
おっと、人形たちの大きさを“密度の変化”で姫雪と同じぐらいの大きさにする。あれで人には人形だとはばれないだろう。
3人は店であっちこっち選びまわってる。
「さて、3人が選び終わったら近くの飲食店で夕食を食べようか。」
「さんせ~!」
「いいわね。」
店の中に再び入り、3人の買いたいものを買い、京料理の店に行った。
明るい光に包まれている店の中に入る。メニューを見た時もそうだが、ずらっと並べられた小さな料理の数に思わず目を見張った。
「わあ、すごい。京料理ってボリュームあるなあ。」
「私たちでも、京料理なんて初めてよ。ほんとにいいの?全部払わせちゃって。」
「ああ。明日ぐらいには帰るから、その日までお世話になったお礼だよ。遠慮なく食べて。」
食べ終えた頃には、もうすでに日は沈み、月が昇り始めていた。
「さてと、今日は宴会の材料を買いに行こうっと。」
幻想郷にない物と言えば、あれしかない!
「・・・魚屋?なんで魚屋なの?」
「幻想郷には海がないんだよ。だから生の魚なんて全く食べないんだよね。」
なるほど、と2人はポンと手を叩いた。まあ、生の魚嫌いという人のために肉や野菜も買うか。あと、米も。宴会は寿司パーティにしようかな。うん、そうしよう。・・・そうなると料理は全て俺が作ることになるんだろうけど。
「さてと、今日はプチ宴会よ!」
蓮子主催で始まったどう考えてもアドリブ進行のプチ宴会。俺が幻想郷に帰る前夜祭らしい。料理は二人に加わって人形たちも手伝ったため、たくさんの料理が並んでいた。それと・・・
「じゃん!」
「・・・ちょ、蓮子。それお酒。」
「うん。それがどうかしたのメリー。」
「どうしたもこうしたもないでしょ?この子は一応未成年よ?」
「大丈夫!ノンアルコールだから!私たちもだけど。」
いきなり酒瓶を出された時は驚いたが、ノンアルと聞いてほっとした。
「ただし、約一名だけお酒みたいなのがあるけど。」
え?それってどういう・・・まさか。
「ふにゃぁぁ・・・・・・」
予感的中。姫雪がまたたびの匂いで完全に酔ってる。
「きらちゃんほたるちゃん。姫雪を布団に運んであげて・・・あれ?」
人形たちは二人より添って寝ていた。かなり疲れたご様子。
「仕方ない、俺が姫雪を布団に―――」
「にゃああああああ!」
「うわっ!?」
姫雪がばっと飛んで思いっきり抱きつき、押し倒してきた。
「いてて、姫雪だいじょ・・・」
「にゃんにゃん、うにゃ~ん♪」
・・・姫雪が全身をこすり付けてくる。体の上でごろんごろんされ、姫雪のいたるところの服がめくれて、あれのあれとか、あとあれとか見えてる。あわてて姫雪を抱っこして布団に寝かせる。
「むにゃ~?えっちするの?」
「違う!」
なぜそんな言葉が出てくる!?完全に酔ってるな。
「ほら、寝て酔いをさまして。」
「ちゅ~してくれたらねりゅ。」
・・・酔った姫雪っていつもよりもさらに甘えんぼになるの?いや嬉しいんだけど。嬉しいけど疲れるっていう。
「はいはい。おやすみ、姫雪。」
額に口をつける。すると、超即効性の薬を飲んだかのようにすぐに寝てしまった。
「ふう、さてと宴会の続きっと。」
「・・・よく耐えれたわね。」
「えっ?なにが?」
「さてと、今日まで本当にお世話になったよ。ありがとう。ほら、3人とも。」
「「「ありがと~!」」」
2人に改めてお礼を言う。そして、スキマを開く。
「また、来る機会があったら来てね!」
「いつでもいいわよ。また来てね。」
二人が手を振ったので、こちらも手を振り、スキマの中に入った。またいつか会えるだろうか。
「・・・帰ってきたな。」
俺の家の目の前に来ており、自分が帰って来たことをはっきりと自覚させた。久しぶりの家の中は、特に空き家をされた様子もなかった。家で少しくつろいでから博麗神社に行って宴会を開こうと考えていた。
この後、予想にしていなかったとんでもない光景を見ることになった。
後書き
47話です。今回はかなり短めです。
何かが起ころうとしているのでしょうか。
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