明日の日記
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日常
前書き
前書き。
【 レン視点 】
頭がボーっとしている
いつの間にか、ソファーで寝てしまっていたみたいだ。寝違えたのか首が痛い
まだ頭は回転を始めていない。だからだろうか
これまでの出来事は夢だったように思える
夢だったような気がする
夢であって欲しい
もしあれが自分の未来だとしたら、あそこで死んでしまう運命なのだ
・・・何歳くらいだったかなぁ。そういえば自分の顔を見ていない
周りにいた2人が20代くらいだったから、そのくらいかな
けっこう親しい感じだったし
ガガザ? なんだその中二病みたいなネーミング
光線銃? 現代の科学でそんなん作れるわけない
断末魔の叫び? 聞いた事も無いのによくそんな事が言えたものだ
結論、さっきまでの出来事は夢
「 ・・・だと思うんだけどなぁ 」
僕はソファーから立ち上がると、台所に向かった
時計を見るとまだ深夜2時頃を差している
このあたりは田舎なので、2時を回るとTVも何もやってない
冷蔵庫を開き、麦茶を取り出す
コップに注ぎ、また冷蔵庫の中に入れる
コップを手にソファーまで戻り腰掛ける
「 はぁ・・・ 」
体全体に疲労が残っている
「 だるい・・・ 」
明日は研究室に行く日だ
これまでの非日常から解放されて、ただの学生に戻る時間
「 研究室に行ってる場合じゃないんだけど って、おお 」
気付けば日常が恋しくなっていた
おいおい、早すぎやしないかい? まだたったの数日じゃないか
僕の日常を嫌う気持ちはそんなものだったのか
・・・だったらそれもいいのかもしれない
これまで通り何事も無く生きよう
それに飽きたら、またこっちに来ればいいじゃないか
そんな都合のいい事を考えた次の日、自分の考えが甘かったことに気付く
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【 ラン視点 】
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
部屋から追い出した後、さすがに冷静になって彼女を部屋に招き入れた
だって靴も履かせずに追い出したのだ
居間に通し、冷蔵庫からお茶を取り出し2つのコップに注ぐ
お茶菓子と一緒に彼女に出してから、かれこれ10分が経っていた
む、無言? めっちゃ気まずいんだけど・・・
彼女は部屋の中をキョロキョロと眺めながら、お菓子を口に運んでいる
「 あ、あのー 」
「 はい? 」
「 今日はどのようなご用件で? 」
「 あなたに会いたくなったのよ いえ、会わないといけなかった 」
何を言ってるんだこの人は 今日会ったばかりの人に会う理由なんて
忘れ物とか落し物とか意外に考えられない・・・あ
「 もしかして、私何か落としました? 」
「 あー、ですね それを渡しに来たんですよー 」
そう言うと、彼女はハンドバッグの中から手帳を取り出した
? 私のじゃなさそうかも・・・ なにやらビーズがところせましと貼ってある
・・・ちょ、ちょっと待って! これめっちゃ気まずいんだけど!
わざわざ家まで持ってきてくれたのに、私のじゃありませんなんて・・・
でも私、こんな中学生みたいなデコデコしたの使わないし
ああもう! 何で持って来ちゃうかなぁ!
気持ちだけで十分だよ、それは持って帰ってよー・・・
「 すいません、それ私のじゃ無いです 」
言った、言ってしまった。
傷つけちゃったかな? ほんとごめんなさい! 悪気は無かったんです!
「 ・・・? ああ、間違えました。 こっちでしたね 」
そう言って彼女が取り出したのは、私のスマホだった
確かに私のものだ。受け取り、電話履歴やメール受信箱で何度も確認した
しかし、ひとつだけ謎が残った
私のスマホは女性の後ろで充電されてるのに、何で私の手の中にもあるの?
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【レン視点】
「 何やってるんだかなぁ 」
記録的な猛暑となった今年の夏。その中でも格段に暑い日の昼下がりに
僕は家の近くの神社の境内に立っている
今こそが命を燃やす時だと言わんばかりに、セミたちは鳴き喚いている
正直予想外だったが、これでなんとなく分かった
回りくどいやり方は効率が悪いらしい
綿密な計画も、何か予想外の外因であっけなく崩れてしまう
もしくは、相手の事を完全に把握しているわけではないので
そこからこちらの隙をつかれる可能性だってある
「 とか言いつつ、次も計画練っちゃうんだけどね 」
目の前にうつ伏せに倒れている男。もう息はしていない
この光景を目にするのは何回目だろうか
20回を超えたあたりから数えていないので、はっきりとは分からない
しかしながら、この人には悪いことをしたと思っている
が、謝る気も無いし、謝る必要も無い
あなあたのおかげでわかったことがたくさんありました
ありがとうございました・・・・と、感謝しておく
僕は数分前まで動いていた物体に向かい、両手を合わせた
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【ラン視点】
「 なんで? 」
私は混乱半分、好奇心半分といった感覚で2つのスマホを握っていた
「 すごいです! 私のが2つになっちゃいましたよ! 」
「 なっちゃったわねぇ
こんなことありえないはずなのに、どうしてかしらね? 」
口ではこんなことを言っているが、私が見る限り信用ならない
この人は全てわかってると、直感的に感じた
「 すごいですね 」
「 そうね 」
「 どうやったんですか? 」
「 ? どういうことかしら 」
「 これ、あなたがやったんですよね? 」
「 決め付けはよくないわ~ わたしだって、ちゃ~んと驚いてるわよ 」
「 先に言わせていただきますが、私はオカルトは信じてませんから 」
「 あら、あなた理系? 」
「 そういうことにしておいてください 」
正直、私はこの現象を理論的に説明できるなんて思っていなかった
どこからか同じスマホを持ってきて、データをコピーすれば
今と同じ状況が作れるからだ
でもそうなると、この女性の目的が分からなくなってきたなぁ
何しに来たんだろう?
・・・ああ、忘れ物を届けにきてくれたのか
でも、それ自体がニセモノだったと仮定すると・・・・・
すると不意に
「 説明してあげてもいいけど、あなたに理解できるかしら? 」
カッチーン ときた
「 ええ! 是非お願いします!! 」
やってやろうじゃない! 私の本気を見せてあげる!
「 じゃあ・・・スマホ、でしたっけ? これを複製した所から話すわね
まず形を作るために同じ材質の素材を見つけて、まぁ大体でいいんだけど
そこから分子レベルまで分解して再構築すれば形は出来上がるわ
あとは、データの問題だけど データなんて結局1or0の世界なの
だからそれを読み取って記憶して、さっき作った箱に流し込めばいいの
どう? 分かったかしら~ 」
「 わかりました 」
「 あら~ 私の話を分かってくれる人なんているとは思わなかったわ~! 」
「 あなたの頭が超絶スペックだということが・・・ね 」
「 ・・・褒めてるの? 」
「 まぁ、それなりに 」
さっき聞いた話を信じるとして、到底私が理解できるレベルではないと分かった
分子レベルに分解? その方法がわからないんですよ!
って、ツッコみたくなったのを我慢したかと思ったら
再構築? 無理でしょ!?
多分この人は、この世界の理屈を超越したところにいるのだろう
そうだと分かれば、興味がわいてくる
うーん。私って変わってるのかな? まあいいや
この人の話は退屈しなさそうだ
私はその人の話に吸い込まれていった
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【 レン視点 】
いつも通りの一日。こんな表現を最近よく目にする
朝起きてから眠りに落ちるまで、三度の食事をとる何気ない時間
ボーっとして過ごす昼下がりや、夕日が差し込む窓辺
そんなもの全てが、「いつも通り」という言葉に内包されているのだろうか
もしそうだとしたら、その言葉には数え切れない程の事象が集約されているのではなかろうか
「 ・・・なんて、変なこと考えたなぁ 」
最近はいろいろあって、こんな時間が無かったからだろうか
自分の嫌いな自分がひょっこり顔を出している
最近の考え事といえばこんなんばっかりだ
理系・文系っていう枠を超えている。言うなれば思想?哲学?そこらへんだ
でも、そこは文系の枠の中なのだろうか。むむむ、わからん。
今日の自分討論会のテーマは「生きる」を考えることだ
何故、私たちは生きたいという原始的欲求が備わっているのか
それは死にたくないからです・・・と、結論付けずにマジメに考える
ここからは僕と僕の話し合いになるのであしからず。 (※ 僕A~僕Cまでいます)
A「 生きたいってのは、つまり死ぬのを先送りしたいってとこに終着すると思うんだ 」
B「 最終的には死があるかもしれないけど、そこを基準に考えちゃだめだと思うなぁ 」
C「 いやいや、欲求を満たす事が人間の本質だよ 」
B「 欲求を満たすって言うけど、それは社会的な権力の獲得とかじゃないの? 」
C「 違う違う、つまり三大欲求ってやつだよ 」
A「 食欲、知識欲、性欲の3つ? 」
C「 知識欲じゃなくて睡眠欲だよ。まぁだいたい合ってるからいいけど 」
B「 それを満たすためだけに君は生きてるのかい? 」
C「 そうだよ。君たちだっておいしいものを食べたいって思うでしょ? 」
A「 たしかにそれは否定できないなぁ。でもさ、ここまで話して思ったんだけど
欲求を皆が持ってるとしたら、この話には必要ないんじゃないかな 」
C「 ? 」
A「 えとね、みんながその条件を満たしてしまったら、差別化が不可能になってしまうわけ
例えば、全員がYesって答える質問したって、なんのデータも取れないしさ 」
B「 欲求は、僕たちに最低限必要な事を推奨するシステムみたいなものなんだね 」
A「 そう考えるとどうだろう、そこは重要な論点では無いと思えてこないかい? 」
C「 そう・・かな? 」
A「 じゃあ話を戻すけど・・・ 」
・・・僕Cが説得されてしまった
全員が僕なのだから、Cもこれで納得はしていないだろう
ただ、考えるのがめんどくさくなってきたので割愛されてしまったのだ
ううむ、1人で考えるのには限界というか飽きてしまうなぁ
もうなんか途中でめんどくさくなるのがわかってたんだけど、勢いでここまで
やっちゃった感が否めないんだよなー・・・
とりあえずドンマイC、続きはまた次回にしてくれよA&B。もうモチべーションがありません。
これが僕にとっての今の日常だ。誰も犯すことの出来ない絶対領域。自分の脳内。
誰にも邪魔されてたまるものか。っていうか干渉できまい。
でもそこに割り込んでくるんだよなぁ・・・あの人は。
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【 ラン視点 】
実に有意義な時間だった ・・・とは言えないと思う
女神様の説明は正直理解できなかったのだ
「 やってることはすごいんだけど、自分でも理解しきれてなかったよーな感じだったもんなー 」
それっぽく理由をくっつけてはいたが、なんとも言えない違和感があったのだ
ボキャブラリが足りずに、うまく説明できなかったのか
いや、それは無いはずだ。だってあの人は自称といえど神様なのだから
女神が帰った後、1人きりの部屋の中で仰向けになって天井を仰ぐ
私の見えているこの世界は、全てが原子・分子で構成されているのは知っている
しかし、実際に目に見えている物がそうであると実感するのはなかなかに難しい
スケールが小さすぎてイメージできないのだろう。
「 世界がLegoで出来てたらわかり易いのになぁ・・・ 」
ありえない話だ。しかし、口に出したその言葉が耳から脳に伝わり、新しい情報として認識される
そして気付いた。結局はLegoもこの世界も一緒だと。
「 ・・・って、んなわけないか 」
今日の私はなんだかおかしいような気がする
理解の外側から、私の中にズカズカと入り込んできたあの人のせいだろうか
「 そしてまたいつも通り・・・か 」
私は空腹を訴えだしたおなかを満足させるべく、キッチンへと向かった。
後書き
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