ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第三幕その二
「相手がいません」
「あっ、そうなのですか」
「妹は結婚して子供もいるのですが」
「先生はですか」
「はい、まだです」
奥さんはいないというのです。
「したいと思う時もありますが」
「ううむ、難しいお話ですね」
加藤さんもです、このことについてはです。
少し難しいお顔になってです、こう言いました。
「こればかりは縁です」
「相手の人に巡り合うことはですね」
「どうしても」
「では僕はですね」
「縁があれば」
その時にというのです。
「神に祈りましょう」
「結婚相談所ではないのですか」
「あっ、イギリスにもありますか」
「おそらく。ただ日本ではよく聞きますね」
「それが仕事にもなっていますし」
「それでなのですね」
「結構ありますね」
結婚相談所もというのです。
「あと合コンもありますし」
「学生の人達もよく参加されていますね」
「先生は参加されないのですか?」
「どうもそうしたことは苦手でして」
苦笑いで答えた先生でした。
「コンパやそういったものは」
「そうなのですか」
「ですから昔からです」
「女性とのパーティーは」
「それはよくありませんね。出会いこそはです」
「大事にすべきですね」
「はい、ですから」
だからこそというのです。
「そうしたものには出られるべきです」
「合コンというものにも」
「何でしたらこの松山でお相手を探されてはどうでしょうか」
加藤さんは先生に笑顔でこうしたことも提案しました。
「こうしたことも何かの縁なので」
「ううん、松山で」
「そうです、如何でしょうか」
「有り難い申し出なのですが」
先生は困った苦笑いで加藤さんに答えました。
「しかし」
「しかしですか」
「やはりそう言われましても」
「それでもですか」
「僕はそうしたことは駄目で」
「それでは」
「はい、学会はまだありますのね」
お仕事のことを尋ねた先生でした。
「そうですね」
「あります。先生の発表は終わりましたが」
「では学会とです」
「観光ですね」
「観光で松山を見て回らせてもらいます」
「そして松山を学ばれるのですね」
「そうしたいと思っています」
こう加藤さんにお話しました。
「それで宜しいでしょうか」
「先生がそう仰るのなら」
それならとです、加藤さんも言いました。
「そうされて下さい」
「そうさせて頂きます」
「しかし先生なら」
「僕なら?」
「誠実で公平、しかも穏やかな方なので」
だからだというのです。生成のそのお人柄からのお言葉でした。
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