転生者の珍妙な冒険
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ん、フラグか?
前書き
今回で、国王に飛ばされて以降の時間軸が最初に戻ります。
因みに、内容はタイトルの通りです。
獣人国「ケモナ」の国王の屋敷。そこの演習場で剣劇の音が響く。
その音を辿って演習場を見ると、そこにはケモナの国王軍の鎧を着た狼獣人の青年と、西洋甲冑にレイピアを装備した何かが刃を交えていた。
どちらも、目にもとまらぬ素晴らしい速度だ、青年が己の長剣を横なぎにすれば、甲冑はしゃがんで回避、起き上がりざまに喉元にレイピアの素早い突きを放つと、青年はバック宙で回避しながら脚で甲冑の顎を思い切り蹴り上げる。
一進一退の攻防だ。これを見た人々は感嘆と共にこう思うだろう。「これほどの戦士とは一体誰だ?」と。
狼獣人の青年の方は、ヴォルフ・サイトウ。倭国の方からケモナにやってきたジャパン・ウルフ種の獣人で、若くしてケモナ国王軍の分隊長を任されるほどの達人である。
だが、誰が分かるだろうか。
彼と相対している西洋甲冑、その中身が何もないと。
「痛っ、あの狼野郎・・・、今戦車を蹴りやがったな・・・。」
甲冑を操っているのが、演習場のベンチで寝そべっている男だと言う事を・・・・・・。
あの騒動から少し経って、俺らはまだケモナに居た。
本当はもう去るつもりだったんだが、反乱に参加してなかった住民から「救国の英雄」とか「珍しい良いニンゲン」とか言われ、何か引き止められるままにズルズルともう2週間はこの国にいる。
ま、元々行先も何も決めてない旅だったから全然いいんだけどね?
ソレで俺は今、国王と兵士の人らから頼まれて、国王軍兵士の訓練の相手をしてる。
剣術・槍術部隊は銀の戦車で、魔術師・狙撃部隊は魔術師の赤で、んで格闘部隊は俺自身が波紋で組手的な事をしてるんだが、魔術師部隊は一瞬で終了。どうも魔術師の赤が出す炎の温度が高すぎて大抵の魔法だと押し勝っちゃうようだ。そりゃ鉄でも溶かす炎だもんな・・・。
格闘部隊とは結構いい試合を出来たんだが、そこで俺の体力が底を尽き、剣術部隊の人らには申し訳ないけど完全にだれた状態で相手をしている。
だって仕方ないじゃん、何遍吹っ飛ばしても「まだまだぁ!!」とか言って向かって来るし、威力が高すぎて殺してしまうかもとか言われて山吹色の波紋疾走は使えなかったし・・・。
「しっかし、前は大変だったなぁ・・・。」
思わず口から言葉が漏れ出る。
前ってのは、あの戦いが終わった後、俺が意識を復活させた後の事だ。
サリナとネーナさんは泣いてたし、オッサンは「心配かけんなよ」って激怒。しかも国王の爺に飛ばされたからの事を話したらサリナまで怒るし・・・・。
「それは仕方なかろうよ。何処の世界に国王を馬鹿にする者がいる?」
「ん? あぁ、国王・・・。」
この国の国王はかなりフットワークが軽く、しかも腰も軽いから普通に平民とかと会話する。まぁ良い人なんだろうけど、それでいいのか国王よ・・・。
「此処にいるよ。俺はネタのつもりだったしな。」
「普通は冗談でもせんものだがな・・・? 全く、お主は何処か妙だな。」
そう言って隣に座る国王。妙?
「妙だと?」
「あぁそうだ。見た所、そこまで強そうでもない。多少体は鍛えられているようだが、それでも儂や屈強なこの国の獣人と相手するには足りん。だと言うのにお主は、不思議な格闘術と珍妙な使い魔を使って勝利する。」
おまけに、と国王は言葉を紡ぎながら俺の腰を指さし、
「いくら己を格闘家と称するとは言え、無腰なのは普通は有り得ん。普通は短剣かなにかを持っとるもんだ。」
「そうか? まぁ、俺は武器持ってるしな。」
「その妙な玉のことか? 確か『くらっかー』とか言うておったが、そんなものが何の力に・・・。」
明らかに馬鹿にしてるな、国王・・・。
「舐めるなよ? クラッカーに波紋流し込んだら普通に木を圧し折ったり鎧を破壊したり出来るぜ?」
「お主のその『波紋』とかいうのも不思議だしのぅ・・・。ソレがお主を強者にしておるのだろう?」
「まぁな。」
波紋の呼吸法が無かったら、俺なんて向こうの世界でちょっと空手と太極拳をやってただけのガキだし・・・。
「ふむ・・・、しかし、お主の使い魔も万能や無敵ではないようだの。」
「あ?」
国王に言われて演習所を見ると、まだ狼兄ちゃんと戦車が組手をしてた。
だが、兄ちゃんが速度に慣れたんだろう、今や戦車が防戦一方だ。
「お主の出したあの騎士も相当の手練れじゃが、ウチのヴォルフに負けかけておるぞ?」
そう言う国王の顔はニヤケ面。
ゴリラ爺が、自分を負かした奴が苦戦してんのがそんなに面白いのか?
「まぁ、今の戦車はそんなに強くないからな。速度も目で追えるレベルに留まってるし。」
ただまぁ、このままこの爺にニヤケさせるのも嫌だな、そろそろ終わらそう。
そう思って起き上がり、演習場に出る。
そこでは、端まで追い詰められた戦車に、狼兄ちゃんがトドメを刺そうとしていた。
「おぉぉぉぉぉ!! 牙狼一閃!!!」
おいおい、あんな角度、速度、パワー、切れ味の揃った攻撃食らったら、戦車もその本体である俺も真っ二つだぞ・・・? 危ない兄ちゃんだ・・・。
「『甲冑脱衣』!!!」
俺の声と同時に、甲冑の外れた戦車が目にも止まらない速度で狼兄ちゃんの攻撃を回避。あわや俺らを真っ二つにしかねなかった攻撃は地面に長剣を減り込ますだけになった。
「なっ!?」
「驚いてる暇ないぜ!!? 銀の戦車が持つ本来の速度、存分に味わえ!!」
兄ちゃんの周囲を囲むように動く戦車。狼兄ちゃんは流石について行けないみたいだ。やっぱりあの速度に勝てる奴はそうそういないんだな。
「くっ、牙狼一閃!!」
強烈な攻撃が放たれるが、それは戦車をすり抜ける。
「ノンノンノンノン! 今のは残像だ!!」
「お主、大概にセコイ戦闘をしよるのぉ・・・。」
横で国王が呆れてるが気にしない。勝てればいいんだよ勝てれば。
ぶっちゃければ、「勝てれば良かろうなのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ってやつだ。
「さぁ、今度はこちらから攻撃だ。さっきまでのは防げてたが、今度の剣捌きはどうだぁ!!!」
「ガッ!!!?」
高速で兄ちゃんを斬りつける戦車、はた目には複数の戦車が同時に攻撃してるようにしか見えない程の速度だ。完全に兄ちゃんは手も足も出ない。
そしてそのまま空高く斬り上げ・・・
「フィニッシュだ!!」
「ぐあぁっ・・・・!!!」
トドメに突き出されたレイピアに吹き飛ばされて屋敷の壁に叩きつけられた。
「よし、取りあえずこれで全兵の相手終わったな。で、何の用事で来たんだよ国王?」
「・・・・お主、手加減とかせんのか・・・? まぁいい、用事はの、先だっての反逆者が尋問で自白をしおったから言いに来たのだ。」
いや、手加減したら怒るだろアンタら・・・。
ま、今はそんな事より、首謀者野郎の自白の内容だな。
「そうか。で、どんなだ?」
「それが・・・、奴は何者かに唆されたと言うておる。」
「何者かに・・・?」
妙だ、ニンゲン嫌い故に排他的になってるケモナの獣人に接近出来、さらには反乱何て大事をやらせるように仕向けることが出来る・・・。そんな奴いるのか?
俺の考えが顔に出てたんだろう、俺の疑問に国王が答えてくれた。
「儂らも有り得んとは思っておるが、だが奴はそう言っておる。嘘を見抜ける者が尋問官におるが、その者曰く嘘は言っていないそうだ。」
なら、本当の事か・・・。ちょっと信じがたいが・・・・。
「で、どんな奴なんだ?」
「それがよく分からん。奴が会ったのは1人だけらしいのだが、その男の口ぶりから他にも複数の仲間がいるというのは分かったらしい。それと、その男もお主と同様、何か不思議な技を扱ったのだそうだ。」
不思議な技、か・・・。
神様の口ぶりからして波紋やスタンドを頼んだのは俺が初めてだったのだろうし、あの人の性格上絶対にジョジョ関連の力だ・・・。
となると、気化冷凍法か・・・柱の男達の流法系統の技か・・・?
まぁ、何にせよ、注意するに越したことはないな。
「まだはっきりとは分かっておらんが、いずれこの国を出るのだろう? ならば注意することだな。」
「分かった。」
【何所か分からぬ場所】
「・・・・・ほぅ・・・。私たちの存在に勘付いたか・・・。」
「何、どうなろうと奴の勝利する可能性は0%だ。」
「ふん、お前らしい判断だな・・・。」
「確かに、我らの敵では無いかも知れん。だが、何にせよ我らの狙いを邪魔する可能性を秘めている存在であることは確か、いずれ確実に潰すぞ。」
そして、気配が消えた。
後書き
夜集阿 聖斗
身長175cm
体重60kg
ギルドランク:A+
所持金500万ペリ
魔法適性『適性なし』
ジョブ『格闘家』『奇術師』
スキル:波紋の呼吸法(常時発動)
《派生》波紋カッター
波紋ズームパンチ
波紋疾走
銀色の波紋疾走
山吹色の波紋疾走
クラッカーボレイ
スタンド「タロット大アルカナ」
【0番「愚者」の暗示する『 愚者』】
【1番「魔術師」の暗示する『魔術師の赤』】
【4番「皇帝」の暗示する『 皇帝』】
【7番「戦車」の暗示する『 銀の戦車』】
【8番「正義」の暗示する『正義』】
【10番「運命の車輪」の暗示する『運命の車輪』】
【21番「世界」の暗示する『世界』】
サリナ・テッド
身長160cm
体重50kg
ギルドランク:C
所持金5万ペリ
魔法適性『回復』
ジョブ『騎士』
スキル不明
タルタス・フォード
身長200cm
体重100kg
ギルドランク:A
所持金1000万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『重戦士』『★:ソードマスター』
スキル:金剛両断
金剛棒・豪風
武器庫空間
ネーナ・チュミン
身長165cm
体重55kg
ギルドランク:C+
所持金100万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『アーチャー』
スキル不明
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