ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第二幕その十
「松山寿司か鯛飯か」
「鯛飯ですか」
「どれかが出ると思います」
「鯛飯といいますと」
「まずは鯛を一尾そのまま焼きます」
「一尾をですか」
「はい、そうです」
加藤さんは先生のその鯛飯のことをお話するのでした。
「それからお塩やお醤油で味付けをしてです」
「そこに御飯をですね」
「そうです、半炊きの御飯の上に乗せて」
そして、というのです。
「そこからまた熱したものです」
「それが鯛飯ですか」
「そうです、松山寿司は瀬戸内海の小魚を使ったちらし寿司です」
松山寿司のこともお話する加藤さんでした。
「他には蛸飯というものもあります」
「蛸ですか」
「はい、そうしたお料理もあります」
「何か色々ありますね」
「先生は坊ちゃんを読まれたとのことですが」
「あれで主人公が天ぷらそばを食べていますが」
坊ちゃんの一場面の一つです。主人公が蕎麦屋を見つけてそこで天ぷらそばを食べたのです。
「三杯も」
「それもありますが」
「他にもですか」
「後はうどんも有名です」
「あちらもですか」
「この松山のうどんは讃岐のうどんとまた違いまして」
「ではそのおうどんも」
先生は微笑んで加藤さんんい尋ねました。
「この松山にいる間に」
「召し上がられればよいかと」
「そうですか、では」
「はい、松山の料理もお楽しみ下さい」
「温泉、観光と共にですね」
「お仕事で来られましたが」
それに加えてというのです。
「松山に来られたのは縁、でしたら」
「その縁を大事にしてですね」
「はい、楽しまれて下さい」
「それでは
こうお話してでした、そうしてです。
先生は旅館に入りました。そうして出て来たのは鯛のお刺身にでした。
松山寿司でした、一緒に食事を摂ることになっている加藤さんが先生にお話します。周りには動物達も一緒です。
小魚が何種類もです、上にまぶしてあるちらし寿司を見て言うのでした。
「これがです」
「松山寿司ですか」
「はい、そうです」
「かなり美味しそうですね」
「実際にかなり美味しいです」
加藤さんは満面の笑顔で先生にお話するのでした。そしてその加藤さんを見つつです、動物達が先生に言ってきました。
「先生、松山寿司だけじゃないよ」
「お刺身も凄いよ」
「天麩羅もね」
海老や烏賊に鱚にです。茄子や薩摩芋を揚げたそれもあります。その他にも海のものを使った色々なお料理があります。
「美味しそうだよ」
「幾つもね」
「かなり美味しそうだよ」
「このお料理は」
「そうだね、これが松山なんだね」
先生も唸るお顔で動物達に応えます。
「それじゃあね」
「うん、今からね」
「このご馳走食べようね」
馬とオシツオサレツにはとても質のいい草が用意されています。
「先生もその松山寿司を食べてね」
「お刺身もね」
「それではね」
先生は動物達にも応えてです、そうしてでした。
加藤さんと一緒に晩御飯を食べるのでした。お箸を取って最初はその松前寿司をお口の中に入れました。
そしてです、こう言いました。
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