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ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~

作者:レゾナ
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第七話

「そっか……イリナ、もう帰るのか……」

「うん」

俺がいるのは空港。イリナはここから本国に帰還し今回の事件の顛末を報告しなければいけない。

「イッセー君には感謝してるわ。もしあの時、イッセー君が居なかったら私はもう死んでたと思うわ。神の不在なんて、そんなこと聞いてしまえば頭がおかしくなっちゃうもの!」

そう、家で待機していてもらったイリナにも神がいないって事を報告した。

イリナはそれを聞いた瞬間には信じられないって顔をしていたけど……俺が真剣な表情をしていたからだろう。すぐに信じてくれた。

そして……イリナも無事に乗り越えてくれた。

「イッセー君はすごいね……アーシアちゃんを救って……ゼノヴィアを救って、私も救って……」

あの後、ゼノヴィアも何とか乗り越えてくれて本当によかった。

「すごくないさ。俺はただの人間だ。でも人間にだってやれる事はある筈。俺はそれを模索しただけさ」

「ふふっ。ホント、イッセー君って罪深いよね!」

イリナはそう言って微笑んだ。

?罪深い?俺がか?

と、その時イリナが搭乗する飛行機の搭乗時間を告げるアナウンスがなった。

「……もう、行かなきゃね……」

「そうだな……」

「…………最後に一言、本当にありがとうね?それと……あの子の事、頼むね。イッセー君」

「おいおい、それじゃ一言になってないぞ?」

「あはは!そうだったわね!……それじゃあ……」

そう言ってイリナは荷物を詰めたバッグを持って搭乗口に向かう。

そしてもう少しで搭乗口に着くという所で再び振り返る。

「イッセー君!!大好きっ!!!」

「なっ!?///」

イリナが言ったその不意打ちの一言で俺は顔を真っ赤にしてしまう。

原因を作ったイリナは既に搭乗口に入っちまったし……。

「はぁ……ま、一件落着という事で……俺も帰るか」

そして俺は自分の家に帰る。

帰宅して玄関のドアを開けると

「ここは……こうすればいいのか?」

「ええ、そうですわ。ふふっ。ゼノヴィアさんは飲み込みが早いですわね」

そんな話し声が聞こえてくる。

そう、今俺の家にはもう一人同居人が増えた。ゼノヴィアである。

「すごいですね、ゼノヴィアさん!私なんて……」

ゼノヴィアを褒めると同時にずーんと落ち込んでいくアーシア。

ああ、そういえばアーシア最初のころは結構苦戦してたっけ……。

「あぁ!そんなに落ち込まないでくれ、アーシア!」

ちなみに今は昼なのに何で家にいるのかというと……簡単な話、今日は祝日なのである。

そして明日はまた学校があるのだが……ゼノヴィアは明日から駒王学園に通う事になっている。

え?入学試験?必死で勉強させましたよ?元々知識は結構あったみたいだからそんなに苦戦はしなかったけどね!

それとゼノヴィアはゼノヴィア自身の強い意志で俺と一緒に暮らしているのだが……あんな感じで少しずつアーシアと交流して、友達になりたいとゼノヴィアから歩み寄っているのだ。

まあ、ゼノヴィアからは「あのグレもリー眷属の男とは友達にはなれんかもしれん」って呟いてたのを聞いたんだけど……多分あのバカだろうな。

【ピリリリ…ピリリリ…】

ん?電話?

クレアは受話器を取る。

「はい、兵藤ですが……ああ、はい。わかりました」

クレアはそう言うと俺に受話器を渡してくる。

「イッセー。あんたに電話よ。サーゼクスさんから」

「サーゼクスさんから?」

俺は受話器を受け取り耳に当てる。

「はい、一誠ですけど……」

『ああ、イッセー君だね?』

そこから聞こえてきたのは聞きなれた男性の声、サーゼクス・ルシファー……現四大魔王の一人からの電話だった。

なんでも近い内に駒王学園で三大勢力による会議が行われるらしい。

『それでリアスは未だに君の事を信用していないようでね……そこでなんだが……精霊王達との戦い……世界終末の日(ハルマゲドン)に関して話をしてもいいかい?』

「俺はいいですけど……説明をするとなると元素精霊界(アストラル・ゼロ)に関しても説明しないといけなくなるんじゃないですか?」

『確かにそうなのだが……しかしリアスが君の事を信用するには……』

「信用なんかいりませんよ。俺は俺で勝手にやってるだけなんで」

『しかしだね……』

くそ、このままじゃ説得に時間を割いちまうな……仕方ない、奥の手を使うか。

「……そういえば、そろそろ授業参観だったな」

『なん、だと……?それは、本当、かい?イッセー君……?』

予想通り、食いついてきた。

「ああ、本当だけど……?」

『ああ、何てことだ……なぜリアスは知らせてくれなかったのか……」

そりゃあ、あんたみたいなシスコンに来てほしくなかったんじゃないですか。

とは言えなかった。

だって言ったら……この人、無駄に落ち込むんだもん。

「まあ、とりあえずもう切るぞ?」

『ああ、大事な事を知らせてくれてありがとう、イッセー君!グレイフィア!!すぐに人間界に行く準備をするよ!!』

電話を切る前にそんな声が聞こえてきた……グレイフィアさん、キツいだろうな……。

そういえばこっちに来るって言ってたけど……もしかして、あの人も来んのかな?

…………来そうだな、あの人も大概シスコンだからな。




その日の夜……俺は自身の中に潜り、レンさん達に会っていた。

「カミトさん、大丈夫ですか?」

「俺の心配よりもお前の体の方が心配だ。俺は精神体だからそんなに疲れないが使っていたのはお前の体なんだ」

「大丈夫ですよ。伊達に鍛えられてませんから」

といってもこの精神世界での話なのだが……それを現実世界でも使えるように毎日頑張って筋トレなどをしている。

「それにしても……コカビエルもバカですよね。精霊王に逆らうなんて……それも《剣の覇王》と称されるほど剣術を極めた《闇の精霊王》に逆らうなんて……」

「剣の覇王、か……まあ、俺もこの世界に来た頃はただがむしゃらにやってたからな」

「いいじゃありませんか。そのおかげでその強さを手に入れたんですから……それとも元の世界に未練でもありますか?」

「未練なんて……ありまくってるに決まってんだろ?俺のせいで滅んだようなもんなんだぞ?」

「カミトさん……」

俺はカミトさんの事は何も知らない。《闇の精霊王》であり俺に絶剣技を託してくれた事……そしてカミトさんはこの世界の元素精霊界(アストラル・ゼロ)ではない、別の世界からこの世界に迷い込んだ事……そして、カミトさんのせいでその世界は滅んでしまったという事……。

これくらいしか、知らない。

「そろそろ、朝だぞ。もう戻れ」

「カミトさん……また、来ますね」

俺はそう言って意識を浮上させた。

カミトSIDE

「………………」

消えていくイッセーの姿を見つめる……。

「カミトさん、何で何も伝えないんですか?」

アレイシアはそんな俺に問いかけてくる。

「何を言ってるんだ?俺はちゃんと伝えたぞ?」

「じゃあ、なんで……貴方が元々人間で、力に飲まれて魔王になり《闇の精霊王》になったのを伝えないの?」

そう、俺は力に飲まれ魔王となった。

俺が元々いた世界……そこには今、イッセーと共にいるクレア・ルージュ、リンスレット・ローレンフロスト、フィアナ・レイ・オルデシア、エリス・ファーレンガルト……皆がいた。

俺は皆とチームを組み……精霊王に捧げる剣舞《精霊剣舞祭(ブレイドダンス)》に出場し……力に飲まれ、《闇の精霊姫》となったクレアの願いをも跳ね除けて世界を滅ぼした。

その際の力によって空間が歪み、俺はこの世界の元素精霊界(アストラル・ゼロ)に飛ばされていた。

その時には俺は既に理性を取り戻しており、男とは思えない程に情けなく泣いたんだったな……。

「……あいつには力に飲まれてほしくはない……俺という前例を見せてしまえばそれに臆してしまうかもしれない……」

「だから、彼に力を与えたと?でも、彼はそんな事しなくても力に飲まれる事はないと思うわよ」

「わかってるよ……俺だってクレア達と一緒に過ごしてきたんだ。あいつらの事はよく知っている……」

クレア達は優しい。そのおかげでイッセーは今でも力に飲まれてはいない。

いや、厳密に言えば一度力に飲まれそうになったけど皆のおかげで戻った、と言った方が正しいかな?

イッセー……お前には仲間を信じる強い力がある。それを忘れるなよ……。

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