銀河英雄伝説~物騒な副官~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
06閉口
前書き
※この回からオリキャラが出てきます。そのようなものが苦手な方は読むことを控えてください!お願いしますm(__)m
「トンクス大尉?」
……ドーラはテーブルの上に突っ伏していた。
「しっかりしなさい、トンクス大尉。」
ミュラーは(必死に)ドーラを揺り起こそうとする。
「トンクス大尉は尉官だ。ワーレンやビッテンフェルトはともかく、トンクス大尉は海鷲も預かってはくれまい。外に放り出しても良いが、一応、女だ。卿がこの女の安全を確保する為に、預かったらどうだ?」
ロイエンタールが平然と言う。
「しょ、小官がっ?!」
「当然だ。この女がこうなったのは卿にも責任があろう。」
「で、ですが…ご、誤解されては…」
「何を、どう、誤解をするんだ?」(ニヤリ)←確信犯
「あの……ですから……その……」
「まあ、卿は独り身だ。誤解されては困る相手もおらんだろう。」
「いえ、いますし…大体小官の家は官舎ですし……(訳:だーかーらー、俺の家は小さいんだってば!それに、近所のばばあ達になに言われるか分かったもんじゃないだろ?!)」※近所のばばあとは同僚の奥様方の事です
「仮にも、大将用の官舎だ。人ひとりを預かるには充分だろう。」
「いえ、あの、そういうことではなくて…(だーかーらー、俺の家は…以下略)それに、提督のお屋敷の方が遥かに大きいですよ。」
「ほう…?(この俺の言うことが聞けない、と……?)」
「いえ、あの………(沈黙)」
「俺はミッターマイヤーを送らねばならん。酔っぱらいを二人も世話するのは御免だ。」
「そんな…」
「なにやってらっしゃるんですか?」
呆れた様な声が響いた。
「バルツァー中将。」
ミュラーは援護をしてくれ(そうな)人物の登場にほっとした声でその人物の名を呼んだ。バルツァーはテーブルの周りと酔っぱらった上官達の様子を心底軽蔑した目で見る。
「また、ですか…………ってあれは、トンクス大尉?」
なんとも馴れ馴れしい言い方だが、ミュラーは気にせず答えた。
「ああ、そうですが。卿は知っているのですか…?」
「ええ、まあ。あんなことやこんなことをしましたからね。知ってない方がおかしいですよ?」
「……そうでしたね(遠い目)」
「何故、彼女が巻き込まれてるんです?酒がかなり苦手な上に、大尉ですよ?彼女は。」
「 (何で酒が弱いこと知ってんだ…寒気)……ビッテンフェルト提督の悪いクセがまた起きたのですよ…」
「そうでしたか……それで彼女は倒れてしまい、ロイエンタール提督とミュラー提督のどちらが彼女を預かるかという不毛な争いをしていた、と?」
「別に不毛な争いをしている訳ではない。」
ロイエンタールが不服そうに言う。
「預かる義務がない、と俺は言っているまでだ。…それとも、卿は大尉に話しかけてすらない俺に責任を取れとでも?」
「まさか。私は何も御二方に、とは申しておりませんが。」
そうバルツァーが言うと、ロイエンタールは何かを納得したように不敵な笑みを浮かべた。
「えっと…バルツァー中将?」
「何でしょう、ミュラー提督。」
「……まさか、本気でヤるんですか?」
「まあ…そのつもりですが。もう下ごしらえは終わってますし?」
「……(マジで…?!)」
「後は、っと…」
バルツァーはおもむろに端末を取り出すと、有無を言わさぬ口調で言った。
「……ああ、私だ。キスリング大佐、20分以内に海鷲に来なければあのことをフェルナーにバらす。」
そう言いきると、端末の電源を落とした。
「………相変わらず、恐ろしい手口ですね…」
「犯罪みたくおっしゃらないで下さい。」
「(脅迫)内容がシャレになってない時点でもうアウトでしょう…」
思わず(心の中で)合掌するミュラー。
「まあ、小官にも大尉を預かる義務はありませんし?これが上策であることは真実でしょう。」
「………確かに。」
「そろそろ、俺は帰らせてもらう。」
おもむろにロイエンタールが立ち上がって言うと、バルツァーが素っ気なくかえした。
「ご勝手にどうぞ。」
「…卿は喧嘩を売りたいのか?」
「そう受け取って頂ければ幸いです。」
「………」
ミュラーは思わず本日何度目かの溜め息をついた。
「おい、ミッターマイヤー、起きろ。帰るぞ。」
「………ん…………」
「しっかりしろ。酒に呑まれるなといった卿が呑まれてどうする。」
ロイエンタールはミッターマイヤーの腕を自らの肩にまわし、立ち上がった。
すると、突如、ミッターマイヤーが話し始めた。
「ホントおまえってさあ……いい…やつふぁよなあ~」
舌足らずなその物言いにロイエンタールはピクリと眉を動かした。
「おい、ミッターマ…」
「ふだんは~ちょうひぇつク~ルのくせに~いざってときは……やさしーもんな~」
「………」
黙ってしまったロイエンタールに追い討ちがかかる。
「すごい…照れ屋だもんなーおまえ……そんなとこもオレ、すきだけど~~
「…おい、ミッタ…」
「もしかしてー………ツンデレ~?」
ミッターマイヤーが放ったその一言で空気がピシリと凍った。
「…………おい、ミ…」
「でも~ちょっとやんでれ、……かもーー~~」
「おい、ミュラー。ミッターマイヤーに飲ませたのは、どいつだ。」
「ええと、主にビッテンフェルト提督でしたような…」
責任を丸投げな解答だったが、相当お怒りのご様子のロイエンタール提督はその事実には目もくれなかった。
「では、失礼させてもらう。」
そう言うとロイエンタールは今度こそミッターマイヤーを乱暴に引きずりながら出ていった。
「おい、ロイエンタール、今日も海鷲に行かないか?」
「いいか、ミッターマイヤー。……今週一杯は、卿は、禁酒だと、俺は言った筈だが。」
「確かに、この前卿には本当に迷惑をかけたと思う。だが、こう言っては悪いがいつものことだろう?何故今更怒るんだ?」
「もう一度だけ言おう。卿は、禁酒だ。」
「ロイエンタール、一杯だけだ、一杯だけ。いいだろう?」
「………………………」
………この後更に(他の提督たちの全面協力のもと)プラス2週間禁酒期間が延びたことは言うまでもない。
後書き
感想を頂けると励みになるので出来ましたらよろしくお願いします(*^^*)
おオリキャラについての事など、何でも構いませんのでどんどん書いてください|^▽^)ノ
ページ上へ戻る