打算計算
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第二章
第二章
「普通にいけるわよ」
「普通になの」
「そう、普通にね」
にこりと笑って彼女に告げるのだった。
「いけるから。計算には顔やスタイルも大事なのよ」
「そういったものなの」
「敵を知り己を知らば」
今度は孫子の言葉まで出す。やはりどうにも恋愛からは離れてしまっている。
「百戦危うからずじゃない」
「自分を知らないと駄目なの」
「その通りよ。汝自身を知れ」
今度は聖書であった。
「これ恋愛の鉄則よ。わかっておくことね」
「わかったわ。じゃあそれでも」
「相手はね。付き合ってみても中々わからかないってことがあるし」
言いながらふと自分のこともここで言う智代であった。
「全く。あいつも」
「あいつもって?」
「だから丈のことよ」
今付き合っているその彼氏のことである。
「あいつのことは幼馴染でわかっていたつもりだったけれど」
「違ってたの」
「あんなに夜激しいなんて」
何気にとんでもないことを暴露してしまっている智代であった。しかもそれを自分からやってしまっている。
「考えもしなかったわよ」
「夜なの」
「そう、夜よ」
しかもさらに言うのであった。
「夜ね。五回も六回もって」
「そんなにするものなの?」
「普通はしないと思うわ」
憮然として里香に言葉を返す。
「もうね。会ったらいつもすぐだし場所だって」
「場所って」
「学校の中でもだし公園でも家でもよ」
また実にあからさまであった。
「もう何処でもなのよ」
「何処でもって」
「男の子は凄いわよ」
あらためてこんなふうに言う智代だった。
「もうね」
「本当?それって」
「嘘のこと言っても何にもならないじゃない」
あくまでそうだと話す智代だった。
「里香なんて凄い美人だからそれこそどうなるかわからないわよ」
「どうなるかわからないって」
「美人薄命なのはね。愛されるからよ」
今度はこんなことを言う智代であった。
「けれどそれがまた楽しいのよ。薄命になるだけいつも愛されているからね」
「っていうと智代もかなり」
「愛されてるのよ。いや、私はそんなに美人じゃないけれど」
まずはこう言うのだがそれでもこうも言うのであった。
「可愛い系?っていうのかしらね」
「確かに可愛いわね」
それは里香もはっきりと感じることだった。確かに彼女は美人と断定できる里香とはいい意味で対称的に可愛い顔をしている。そこが全く違っていた。
「智代は」
「だから薄命なのよ。もう毎日だし」
「相手も凄いわね」
里香は話を聞いていてその相手のことも考えた。
「毎日って」
「だから里香も薄命になるような相手をね」
「見つけろってことね」
「見つけたらそれからよ」
また言う智代だった。
「わかったわね、それで」
「ええ、じゃあ」
こうして里香はまずは相手を探し求めることになった。世の中は面白いもので求めば与えられる。時としてそれはドイツ国民が求めた者は指導者ならばアドルフ=ヒトラーであったという場合もある。
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