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~MHO~ モンスターハンターオンライン

作者:エミル
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ティガレックスとキリンの狩猟 2





フラヒヤ山脈 ・森奥

天から降る(いかずち)は今まで頼りになってきた装備を軽々しく、あしらうかの様に深刻なダメージを与える。突進も身体ごと貫く威力である。狩りを開始してから、まだ十分すらたっていないのに俺とカナミのHPバーはレッドゾーンになる前の一歩まで削れていた。対するキリンは………まだほぼ体力満タンな四本のHPバーが存在している。もう少しで回復薬や砥石が底を尽きてしまう。今なら撤退も間に合うが、俺はこいつを狩ると決めたんだ。最後まで戦ってやる!!

カ「……さぁ、始めようぜ。キリンさんよぉ」
カ「………絶対に…諦めたく……ない!」

武器を構え、死を覚悟しながらキリンに突撃する。キリンの動きを見切り、的確に一撃を与えていく。カナミは《投擲》スキルで投げナイフとネムリダケを調合した眠り投げナイフをキリンに当てる。眠ったら大タル爆弾Gでダメージを与えていく
…………何分たっただろうか。ついに回復薬が調合分も含めて底を尽きた。今の俺のHPはイエローゾーン。カナミも俺と同じくらいでキリンはHPバーが一本減っただけだった

カ「……カリト。これ以上の狩猟は無理だよ。退却しないと……」

カナミが退却の指示をしたが、俺は断じて断る。例えそれが幼なじみのお願いであっても

カ「嫌だ。ここで退却したら……何の成果も無しに帰るなんて仲間に笑われるぜ」
カ「もう回復薬も無いんだよ!!これじゃカリトが死んじゃうよ!」
カ「だから……せめて………一撃だけ思い知らせてやるんだ。俺達がこいつに一矢報いた証を……」

俺はもう体力すら気にしてなかった。ただ、目の前にいる相手に対して全力で相手することしか頭になかった。そして、キリンが雷を出すモーションに入る。これをくらったら一気にレッドゾーンまでいくかもしれないのに……俺はブルファンゴの如く、真っ直ぐキリンに突撃する


カ「カリト!!逃げてぇ───!!!!」



頭上から降るいくつもの雷。俺はそれを───避けた。まるで自分が電光石火のように素早い存在になったように。大剣を手に掛け、キリンの顔面に目掛けて思い切り振り下ろす

カ「どりゃあ─────!!!!!!」


バキィン!


キ「ヒヒィ────ン!!」

キリンは苦痛の声を上げ、角がぽっきりと折れる

キ「ブルルル…………」
カ「へへ……お前の自慢の角が折ってやったぜ…」

折った角を手に取り、ポーチに入れる。角を折ったのはいいが、俺も身体的にも疲れている。今の状態は大剣で杖代わりにして立つのがやっとだ。キリンは怒り状態に入っており、全身の毛が逆立っている。絶望的なこの状況。もし、攻撃をくらったら………俺は………死ぬのか?

キ「ヒヒィン!!」

雷を落とすモーションになるが、何も起こらない。…………不発か?

ビシャン!

カ「……………なっ!?」

周囲に降る雷ではなく、一人だけに狙いを定めた雷が落ち、麻痺状態になる

カ「………ここまできて……これかよ」

キリンがゆっくりと俺に歩み寄る。諦めかけていたその時、カナミが俺の所に来て抱え込み、モドリ玉を地に向かって投げ、緑の煙が俺達の包み込む


















────────────────




















ポッケ村・集会所


モドリ玉でポッケ村に帰ってきた俺とカナミは集会所でアルゴにキリンのことを色々と質問攻めにされていた

ア「ふむふム。つまり、ヴァンターのお前らでもキリンの討伐は無理だったのカ」
カ「クシャルダオラとは全く強さが違うよ……」
カ「討伐は無理だったが、代わりにこれは手に入れたぜ」

ポーチからキリンの折った角を取り出す。アイテム名は《キリンの蒼角》触れるだけでもキリンの存在感が伝わるほどの物だ。アルゴはそれをまじまじと見る

ア「存在感がリアルに伝わるナ……それほどの相手ということカ」
カ「まぁ、確かに強かったしな。でも、久しぶりに刺激のある狩猟で楽しかった」
カ「……しばらくキリンはやりたくないよぅ」

キリン装備が好きなカナミがしばらくやりたくないという言葉を聞いたのは初めて見たかもしれない

ア「ま、少し使える情報も手に入ったしオレっちはおさらばすル」

集会所からアルゴが出ていき、俺達はまだ気を失っているサチの面倒を見ることになった























レイアSide

雪山・エリア6

初めてこの世界で戦うティガレックスは正直怖い。目の前にいる物を残さず喰らってやるという食欲とそのどう猛さ。あいつにとっては私達は餌にしか見えていない。だが、これだけは言える。あんたなんかに喰われるほど私達は甘くない


レ「モーラン!シビレ罠仕掛けるから角笛で気を引かせて!!」
モ「アイアイサー!」

プオ〜〜プオ〜〜

テ「グゴアァァァァァ!!!!」
モ「うわぁぁぁ!!こっちに来たぁ──!!」

雪をかきあげながら、ティガレックスは角笛を吹いたモーランに襲いかかる。その隙に私はシビレ罠を設置させ、準備を整える。モーランはそのままティガレックスをおびき寄せ、シビレ罠に掛からせる


テ「グオォォォォォ!!」


飛び散る火花がティガレックスの動きを止める。その隙に全員大タル爆弾Gを置き、起爆を受けないよう離れてから石ころを投げて起爆させる。罠が外れると、ティガレックスがバックステップをして腕には脈々と流れる血に燃えるような眼があった。怒り状態に入ったようだ

キ「うおぉぉぉぉ!!」
レ「ちょ……キリト!?」

キリトは隙ができたと勘違いしたのか、ためらいもなく突撃する。まずい!そのまま行ったら──



テ「ゴアァァァァァ───────!!!!!!」
キ「ぐあっ……!?」


耳をつんざくようなバインドボイスが大気を震わせ、キリトの体が吹っ飛ばされる。追撃をさせないため、閃光玉を投げ、視界を眩ませる

レ「キリト!!閃光が効いているうちに下がって回復していなさい!」
キ「……この野郎!」
ア「キリト君!?ダメだよ!一回下がらないと!!」
モ「おい!聞こえてんのか!?」

私達の言葉が届いてないのかキリトは我を忘れたかのようにティガレックスに攻撃を与えていく。そして、視界を取り戻したティガレックスはキリトを力任せに押さえつける。もし、轟竜(ティガレックス)に言葉があるなら、きっと……こういうだろう


────食事の時間だ


ティガレックスは捕食行動になり、キリトを貪る。これではキリトが死んでしまう。私はこやし玉を投げ、拘束されているキリトを助ける。次に追跡するためのペイントボールを投げ、ティガレックスは飛び上がりエリアチェンジする。キリトが生きているか確認するとHPはレッドゾーンになっていた。あの時、もう少し食われていたら、死んでいたかもしれない

ア「………ほら、早く秘薬飲んで」
キ「……ああ、すまない」

アスナに差し出された秘薬を一気飲みし、HPが満タンになる。今の狩猟ではキリトが仇をとるどころか、逆にキリトが死んでしまう可能性が高い。そうさせないためにも私の中では一つ提案が浮かんでいる

レ「キリト。あなたは私の指示通りに攻撃しなさい。仲間の仇をとりたいならね」
キ「……いや、大丈夫だ。さっきので攻撃も分かったし」
レ「分かってないわ。あんな無茶な行動みたら見るに耐えないわ。もう一度言うからよく聞きなさい。キリトは私の指示通りに攻撃しなさい。もし、できなければ………私はこの狩猟をやめます」

確かにキリトは強い。でも、この狩猟で鍵を握るのはヴァンターの私とモーランだけ。ティガレックスに関する情報がないキリトにとってはほぼ負けるに等しい

モ「レイア……お前マジで言ってるのか?」
レ「大マジよ。勝手な行動をしたらすぐにやめるわ」

キリトは「ああ、分かった」こくりと頷き、私達はティガレックスのいるエリア6に向かった
















雪山・エリア8


ア「レイア!麻痺状態になったよ!!」
レ「爆弾をセットしてちょうだい!起爆は私がやるわ!」

アスナの麻痺武器で一時的に動けなくなったティガレックスの周りに爆弾が置かれる。全員が離れたのを確認してから石ころで起爆させる。ティガレックスの残りHPバーは一本半。今のを合わせて置いた大タル爆弾Gは25個位だろうか。閃光玉も残り少ないし、早めに勝負をつけねばならない

レ「モーラン!!準備は出来た?」
モ「お……おうよ!」

モーランは氷の壁の前に立ち、そこで角笛を吹く。一見、自殺行為のように見えるがこれでいいのだ。ティガレックスがモーランの方に向かい、勢い良く突進する

モ「いやぁぁぁ!!!!怖いぃぃぃぃ!!」

ハリウッドダイブ………もとい、緊急回避で横に飛び込んでティガレックスはそのまま勢い良く壁に突進すると

テ「ギャオォォォォォ!!」

牙が壁に食い込んで身動きが取れなくなっている。この隙に攻撃を仕掛け、HPを減らしていく。牙が抜けると私の方を向き、爪でかきあげた雪玉をもろにくらう

レ「くっ………」
ア「レイア!危ない!!」
レ「………え?」


ガチィィィン!!


立ち上がった瞬間、アスナの警告と同時にティガレックスが私の左腕を────噛みちぎった












 
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