ペルなの
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9.スカウト
前書き
働きたくないでござる!
働きたくないでござる!
「えっ、まだ朱音ちゃん帰れないの?」
彼女とシグナムの模擬戦から数日、部隊長室で彼女の送還についての進み具合の話し合いでなのはが驚きを含んではやてに再確認する。
「そうなんよ。ここまで漂流者と元の世界で時間の食い違いが出てんのは前例が無いとからしくてな。なんや、話があっちこっちにいってまだ掛かるらしいんよ」
「ああ、イメージ的にそういうイレギュラーみたいなのに弱そうですし、聞いた話だけでも地球のどの組織より大きいですしね。組織って大きくなれば成る程枠内には強くなりますけどそれ以外には柔軟には動けなくなるとかよくある話ですし、前例が無ければ尚更意見が纏まらなくて混乱しますよ」
彼女がこっちの世界に出るまでは『あっち側』でニュクスの封印になっていたのがその誤差の原因で、管理局がどの様にこの誤差を取り上げてるかは彼女は知らないが、どんなに頑張っても正しい答えは出ないだろう。
お世話になってる身で黙っていれのは彼女も心苦しいが、まず信じては貰えないだろう点と、ニュクスの存在とその封印が自分というのを他人に漏らさない方がいいとエリザベスから忠告を受けている事から、なのは達にも話してはいない。
上の人たちは兎も角、現場の人達がこういうイレギュラーで右往左往させてしまうのに対して申し訳ない気持ちが湧いて来る。
「組織の人間としては恥ずかしい話やけど、そうなんよ。朱音ちゃんには悪いけど、もうしばらく待ってえな」
「大丈夫ですよ。なのはさんとフェイトさんは優しいですし、他の管理局の人達もよくして下さるし」
「そか、それならいいんやけどな。そこで、一つ相談なんやけど、朱音ちゃん。嘱託局員としてウチで働くってのはどうやろ?」
「はやてっ!?」
「や、フェイトちゃん。これはちゃんと理由があるんやで。はっきり言って本局の方がいつ結論を出すんかさっぱりやし、下手したらもっと長期になるかもしれへん。嘱託局員になれば雀の涙な補助金の他にもある程度纏まった給金が入るし、行動の自由もグッと広まるから狭苦しい思いも多少は軽減されるはずや。魔力も初めの検査ん時に、Cランク程あるって分かっとるし、シグナムとの戦いでその実力やレアスキルの有用性も証明済みや。それにBランク以上だったらキツかったかもしれへんけど、Cランクならギリギリウチで引き取れるしな」
「そして機動六課に即戦力を確保出来る?」
「なのはちゃん、それは言いっこ無しや。っと、朱音ちゃんどうする?やってくれるんやったら面倒な手続きはコッチでやるよ」
「えっと、魔力って言われても私はなのはさんやシグナムさんみたいな魔法は使えませんけど?」
「そこは日常生活でも出来る簡単な魔力トレーニングプランを、シャーリーに用意して貰っとるインテリジェントデバイスの指示通りにすれば簡単な魔力操作と基礎魔法程度はすぐに使えるんようなるよ。それに無理に魔法を使う必要もあらへんし」
「ちょっと待って。貰ってるって、はやて朱音を六課に入れる気満々じゃない!」
「あっ。…あ~、それは、アレや。準備しとくにこしたことはないやろ?インテリジェントデバイスは用意に時間がかかるしな?」
「でも朱音の意思を無視して───」
部下からお叱りを受ける部隊長はほっといてなのはが彼女に向き合う。
「まぁ、選択肢の一つだと思ってくれたらいいよ。嘱託局員とかじゃなくてもこれ位長期に渡って送還準備が整わないなら、申請すれば仮身分証を発行して普通のバイトも出来るし、ボランティアの名目なら申請なしでも色々と出来るしね」
「バイトは懐かしいですね。元の場所に居た時はよくカフェとかでバイトしてましたよ。多い時は幾つかのバイト先を梯子しながら週7で」
「うーん、学生でそれはちょっと働きすぎじゃないかな?」
彼女がなのはから優しく補足を受けてながら世間話をしているその間にも部下の上司へのお叱りは止まらず、デスク下に隠れる部隊長に謎の親近感を感じながら、この空間に広がる空気に何となく懐かしさを覚える。
彼女は笑いながらなのは達に自分の要望を伝えた。
後書き
はい、時間が掛かった割には短くて申し訳ありません・・・
それと、遂に自宅を守護する高貴()なる守護者の役割を剥奪され社会の荒波に突き落とされるのがほぼ確定になったので、また執筆が遅くなりそうですが許して下さい。 orz
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