転生者の珍妙な冒険
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ちょっとした小話
前書き
今回はまぁ、閑話みたいなものです。
あ、前言ってたスタンドのやつ、「女帝」と「恋人」は決まりました。
アイディアを出していただいた方々、ありがとうございます。
【小話1 馬車】
ジェリアの街から伸びてる街道、そこから少し離れた道を走っている馬車。
それが俺らの乗ってる馬車である。
木製の馬車は、椅子もなくて、床に毛布敷かないと座れない程にささくれ立ってるけど、本来は馬車として使うつもり無かったから良かったんだ。
本当はスタンド使って『運命の車輪』で車にでもして使おうと思ったんだが、気付いたらサリナが満面の笑みで馬を購入してたから馬車として使うことになった。
先に言っとけばよかったよ畜生・・・。
そんな馬車の御者台にサリナが座り、俺とオッサンは床で寝そべってる。
「しかし、俺らがこうやって寝そべってて、女の子に馬車を運転させてるって何か申し訳なくなるなぁ・・・。」
「仕方ねぇだろ。お前は馬車が扱えんし、こんなボロい馬車の御者台に俺が座ったら壊れちまうわ。」
「そうなんだよなぁ・・・。」
そう、当然ながら俺は馬を扱えない。オッサンはこの前御者台に座ろうとした瞬間にメキッっていってたから御者台に座れない。
必然的にサリナが馬車を運転することになっちまうんだ。
馬を返品してやっぱり車にしても良かったんだけど、1回だけ『運命の車輪』を出して運転してみたら、サリナが
「そんな早いの、怖くて乗れません!!」
って言ってたから結局こうなる。
こんなんならもっと高い馬車を買えばよかったよ畜生・・・。
「しかしなんだなぁ・・・。」
「何だオッサン?」
「いや、ガキが馬車乗ってる姿は、見てて和むな・・・。」
そう言われてサリナを見ると・・・。
「さ、今度はコッチですよ~♪」
笑顔で馬車を操るサリナ。態々馬とも会話してるし、何か楽しそうだ。確かに見てて和む。
「そうだな、確かに和むわ。」
もう、移動はこのままでいいや。そう思った。
【小話2 ネーナ】
馬車に揺られる事3日。
ようやく刺客の来ないであろう場所の宿場町まで来たので、休憩することにした。
取りあえず宿でも探そうかと思ってた俺らの耳に、何やら聞き覚えのある声が。
「皆さ~ん、やっぱりこの町に寄ってたんですね~?」
そう言ってやってきたのは、俺の冒険者登録をしてくれたあのネーナさんだ。なんか弓と矢筒を持ってる。
「アレ? ネーナさんこんな場所で何してるんですか? ギルドの仕事は?」
「何言ってるんですかヨシュアさん。」
俺の前まで来たネーナさんはそう言って笑うと、
「貴方の言ってたペナルティの帳消しをしたら、その責任でクビになっちゃったに決まってるじゃないですか。」
そんな爆弾発言をした。
「・・・・・・・え?」
固まっちまった俺に、オッサンからも更なる追撃が・・・。
「何だお前、冒険者のペナルティーの帳消しなんぞお願いしたのか? そんなこと職員がしたら一発でクビになるに決まってるじゃねぇか。」
「うるせぇ、知らなかったんだよ!!」
「いや、知らなかったじゃ済みませんよセイトさん・・・。」
サリナまで・・・・。まぁ正論なんだけど・・・。
「何かすみません、俺のせいで・・・。」
「いえいえ良いんですよ。私の代わりに男爵様に攻撃してくれたじゃないですか。」
そう言って笑うネーナさん、えぇ人やぁ・・・。
「まぁ、それでも悪いと思ってくださってるのなら思いを無下にしてはいけませんね。じゃあ許してほしかったら私を貴方達の旅に同行させてください。」
「ハイ?」
と思ってたら更なる爆弾発言の前フリでした、畜生・・・。
あぁ、メッチャいい笑顔浮かべてる・・・。策士やぁ・・・・。
でも、この状況は断れないよなぁ・・・。
俺を助けてくれる筈の仲間たちは、オッサンはニヤニヤ、サリナは膨れてて役に立たない・・・。
てかサリナ、何でお前はそんなに不機嫌なんだ?
まぁ兎に角、詰んだな・・・。
「・・・えぇ、いいですよ。歓迎しますネーナさん。」
そう言うと、ネーナさんは花が咲くように笑って
「良かったです。私はネーナ・チュミン。ランクC+のアーチャーです。よろしくおねがいします。」
その笑顔を見てときめいたのは、オッサンやサリナには絶対に内緒だ。
【小話その3 ニュース】
sideタルタス
時は宿場町に着く1日前。俺は馬車の中で新聞を読んでた。
この新聞ってのは便利なモンで、新聞会社と契約したら、その会社固有の特殊系統魔法で何処にいようが新聞を転移させてきてくれる。事前に個人情報を聞いたりとかも殆どないのにだ。
まぁ、そんなことはさて置き。
その新聞を俺が読んでる時、ある見出しが目に留まった。
『辺境交易都市「ジェリア」領主の家、何者かに襲撃されて全焼』
記事を読んでみると、何でも俺らが出発する前日の夜。あの男爵の家に誰かが侵入したらしい。
男爵はその男に恨みがあったようで、大怪我を負ってたにも関わらずソイツに魔法をぶっ放した。
だがその魔法の火球が何倍にもなって撥ね返ってきて、男爵及び男爵の屋敷が全焼したってのが事件の大まかな話。
目撃者によると男の顔は分からんかったが、真っ赤な鳥人のような魔物を引き連れてたらしい。
「・・・・・・。」
一先ず新聞を置き、俺は目を瞑る。
瞼の裏に映るのは、昨日来た刺客を仕留めた時のあの不思議な小僧、ヨシュアの姿だ。
昨日の刺客は魔法使いだったらしく、姿も見えんのに四方から火球が飛んできた。
サリナはまだまだ冒険者としては未熟であまり戦えんし、俺も近接戦が主体だから魔法は苦手。苦戦を覚悟していた。
だが、ヨシュアを見てそんな考えは捨てることになった。
アイツは事もなげにその火球に触れ、燃える前に言葉を紡いでた。
確かその言葉はこんな感じだったか?
「タロット、大アルカナは1番『魔術師』の暗示するスタンド、魔術師の赤!」
その後の光景は、最早戦いじゃ無かった。
そのヨシュアの言葉で現れた「何か」が、火球を全て炎で相殺し、ヨシュアの
「炎の探知機。」
とかいう言葉と共に隠れていた刺客の場所が完全に浮き彫りに。トドメとばかりにヨシュアが
「炎の荒縄。」
とか言うと共に「何か」の手から出た炎の縄が刺客を締め上げて燃やし尽くした。
そう、アレは戦いじゃなく、蹂躙だった。
サリナが用足しに行ってて良かったぜ全く・・・。
「ったく、アイツは・・・・。」
目頭を押さえ、呟く。
まぁ、この記事の出来事と昨日の戦闘がやたら似てるのは偶然だろう。
あの時の「何か」が鳥人みたいだったのもきっと偶然だ。
取りあえず、俺はそう思っとくことにした。
後書き
始めての主人公以外の視点は、タルタスさんでした~。
そして、刺客への仕返しはキッチリ行ってた夜集阿・・・・。
夜集阿 聖斗
身長175cm
体重60kg
ギルドランク:A+
所持金500万ペリ
魔法適性『適性なし』
ジョブ『格闘家』『奇術師』
スキル:波紋の呼吸法(常時発動)
《派生》波紋カッター
波紋ズームパンチ
波紋疾走
銀色の波紋疾走
クラッカーボレイ
スタンド「タロット大アルカナ」【0番「愚者」の暗示する『 愚者』】
【1番「魔術師」の暗示する『魔術師の赤』】
【4番「皇帝」の暗示する『 皇帝』】
【7番「戦車」の暗示する『 銀の戦車』】
【8番「正義」の暗示する『正義』】
【10番「運命の車輪」の暗示する『運命の車輪』】
【21番「世界」の暗示する『世界』】
サリナ・テッド
身長160cm
体重50kg
ギルドランク:C
所持金5万ペリ
魔法適性『回復』
ジョブ『騎士』
スキル不明
タルタス・フォード
身長200cm
体重100kg
ギルドランク:A
所持金1000万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『重戦士』『★:ソードマスター』
スキル:金剛両断
金剛棒・豪風
武器庫空間
ネーナ・チュミン
身長165cm
体重55kg
ギルドランク:C+
所持金100万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『アーチャー』
スキル不明
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