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オズのモジャボロ

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第十一幕その七

「ちょっとばかりね」
「見えにくいわね」
 恵梨香がナターシャに応えました。
「どうにも」
「黄色い中だからね」
「他の国では違うけれど」
「黄色い煉瓦の道はね」
「ウィンキーでは見えにくいわね」
「どうにもね」
 こうお話するのでした、その黄色の道の中で。
 このことは五人共です、黄色い煉瓦の道が黄色の草の中にあって道が今一つ見えにくくて少し戸惑っています。
 その中で進んでいます、ですがその五人にです。
 トトがです、とことこと前を進みながら言ってきました。
「見えにくいならね」
「見えにくいなら?」
「っていうと?」
「歩いてね」
 そうしてだというのです。
「足で確かめながら進むといいよ」
「足でなんだ」
「確かめながらなんだ」
「そうして進むといいんだ」
「同じ色の中でも」
「煉瓦と草じゃ踏む感覚が違うじゃない」
 このことから言うトトでした。
「全く」
「そうだね、確かに」
「煉瓦は固いけれど草は柔らかいから」
「そこは全く違うわね」
「同じ黄色でも」
「だからね」
 トトはドロシーの横をとことこと進みながら皆にお話してきます。
「しっかりと確かめながら進むといいよ」
「自分の足で」
「それぞれ」
「そうだよ、それでね」
 しかもだというのです。トトの言葉は続きます。
「もっと。じっくり見るとね」
「じっくり?」
「じっくりっていうと?」
「同じ黄色でも煉瓦と草は違うよ」
 こうも言うのでした、その黒い身体を黄色い世界の中にこれ以上はないまでにはっきりと映しだしながら。
「それに黄色で色彩が違うね」
「そういえば」
「微妙にだけれど」
「煉瓦の黄色と草の黄色は違うわ」
「どうにも」
「色合いが」
「そうだよね、同じ黄色でもね」 
 黄色は黄色です、それでもだというのです。
「違うね」
「そうだね、だからちょっと見てもわからなくてもね」
 トトもです、そのそれぞれの黄色を見ています。犬でもこちらの世界では色がはっきりとわかるからこそ。
「よく見ればね」
「煉瓦の黄色と草の黄色は違っていて」
「それで足で踏む感覚も違うんだ」
「ちょっと見ただけではわからなくても」
「わかるのね」
「そうだよ、僕もわかるし」
 それにだというのです。
「皆もね」
「そういえばよく見たら」
「足の感触を確かめたら」
「よくわかるね」
「実際に」
「そうなんだよ、黄色ばかりの中でもね」
 よくです、見て感触を確かめればというのです。
「わかるんだ」
「黄色い中でも」
「それでも」
「そうだよ、だからエメラルドの都までの道でもね」
「黄色ばかりの中でも」
「ちゃんと進めるのね」
「そうだよ、じゃあ行こうね」
 こう五人に行ってなのでした、トトはにこにことしてドロシーの横にいて進むのでした。そのトトを見てでした。
 ドロシーはです、ふとこんなことを言いました。 
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