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番外編二十三層のボス
前書き
二章 の前に
アスナとキリトが前線を離れて二日後。俺はリズの店に来ていた。
「……でこの武器はなんなの?」
「折れた」
「折れたじゃないわよ!!」
リズの前には折れたアクセルソード。理由は簡単だ。七十五層の迷宮区で戦ってる最中に折れた。幸いにも修復可能らしい。実はここに来たのはもうひとつだけ理由がある。
「それともうひとつ頼みがあるんだが剣をつくってくれ」
今回の件でさすがに予備の剣が欲しくなった。
「作るっていっても何か要望とかあるのステの」
「軽くて耐久力があるやつ」
まぁ俺の使う武器は全部軽い。ポイントも基本敏捷力に振ってる。アスナとの打ち合いについていけたのはこれが理由だ。俺がステの要望を伝えるとリズはしばらく悩んだような顔をしてはっきりと告げた。
「そんな鉱石は無いわね」
リズ曰く耐久力が高い=重いのが当たり前でそんなに都合のいい武器はないらしい。どうするか悩んでいると店に一人の男が入ってきた。
「服団長!!緊急事態です!!」
入ってきたのは血盟騎士団のメンバーだ。
「俺の役職は服団長じゃねぇよ」
「すみません………それより緊急事態が発生しました!!」
焦っている顔からしてよほどのことらしい。
「何があった?」
「二十三層において突然フロアボスが復活するという事態が発生!!ボス部屋を離れて二十三層の居住区ライドスに向かっていると報告がありリュウヤ様に出撃要請が出ております!!」
イレギュラーにも程があるだろ!!
「部隊構成と到着予想時刻は」
「聖竜連合より三十名、血盟騎士団よりリュウヤ様を入れて十六名、風林火山より三名です。予想時刻本日午後三時です!!」
後二時間もねぇじゃねえか!!俺はリズに剣を直してもらい、すぐに二十三層に向かった。
二十三層には既に今回の戦闘に参加するメンバーが集まっていた。この戦闘の指揮は俺がすべてやることとなっている。
「みんなの知っての通り今ここには二十三層のフロアボスがむかっている。多分ステータスも引き上げられてる。じゃあみんなに聞こう。だからどうした?こんなとこで俺達が負けたらみんなは一生SAOの中だ。一度倒したと言って油断するな。絶対勝つぞ」
それほど強い口調でいったわけでもない。でもみんなから気合いのこもった歓声が聞こえる。心配いらないな。そして到着予想時刻の五分前、そいつはついに姿を表した。棒ハンティングゲームの空を飛ぶドラゴンの姿をし尻尾には俺たちの持つ剣が比べ物にならない剣を持った《the Blade dragon dzo Diaz 》。
「A 隊、B 隊突撃!!」
俺たちの作戦はまず何人かを先見隊として突撃させある程度のパターンが分かったら撤退、居住区に誘い込み破壊不能オブジェクトを利用して戦う事にしている。幸いにもこの層にNPCはいない。そしてある程度 近づくとボスが雄叫びを上げる。ボス戦が開始した。そして表示されるボスのデータ(といっても分かるのはHP ぐらいだが)を見て俺達は絶句した。《No Data 》。つまりこのボスの能力の引き上げは多分九十層クラスまで行われている。
「…………ふざけんなよ」
今ここで放っておけば後々何かが起きる。戦えば今の状態では最悪の場合全滅する。せめてパターンが同じなら戦いやすいのに……。
「リュウヤどうする?」
「パターンδ!!」
俺の指示をきき皆来た道を全力で引き返す。パターンδ、それは俺が囮としてボスと戦いそのすきに投擲スキルや武器で少しずつ削る作戦だ。俺はすぐにボスに向かって攻撃をはじめる。片手剣スキル《スラント》。俺の先制攻撃でタゲはとることができた。俺はすぐに間髪入れず攻撃する。しかしボスはすぐにそれにたいして尻尾の剣を当ててガードする。しばらくつばせりあったあと弾き飛ばされたのは俺だった。近くの木に叩き付けられるが幸いにもHP が減ってはいなかった。そしてこのタイミングで投擲が開始した。しかし与えられるのは僅かなダメージ。俺もなんとか減らそうとすぐに体制を建て直し攻撃を再開する。
戦闘が開始して三十分ほど経過し最悪の事態が起きた。回復のポーションが尽きた。さらにHPも五割を切った。幸いにもボスの動きが三回ほど変化したためもう少しなのは分かる。だが俺のHPはそこまで持たない。撤退すれば他のみんなが死ぬ。この状態で持たせるには相手の攻撃を全てかわす必要がある。だが疲労と攻撃範囲からそれは無理。
………まさかここまでつみかけるとは予想してなかったな………。でも例えここで死んでも俺は……………必ずこいつを倒す!!
気合いを入れ直しもう一度攻撃しようとしたときだった。突然俺にメッセージが届き、トレードのウィンドウにアイテムが届く。メッセージの送り主はリズ、ただ一言死なないでと書かれている。トレードアイテムも送り主はリズ、回復のポーションと《グランシャリオ》と言う片手剣が送られてきた。何とか隙を見てポーションで回復しグランシャリオをオブジェクト化する。俺の155ある身長と同じくらいあり、刃の部分には丸い点が7つ埋め込まれている。しかも物凄く軽い。
「結局作れたんだな」
今この武器を装備するだけの隙はない。キリトと違いスキルは発動できないがやるしかない。
俺は剣を構え近くの木を足場にして飛び上がる。そして飛び乗り二刀流上位スキル《スターバースト・ストリーム》を見よう見まねで打つ。………そろそろだな。ボスの体力は少ない。これで終わりだ!!
「全員突撃!!」
俺が叫ぶと全員がこちらに向かって走ってくる。皆一気に距離をつめ連続でスキルを放つ。俺も《 バーチカル・スクエア 》を打った瞬間、ボスはその体を四散させた。何とか勝つことができ膝をつく。その瞬間ウィンドウが表示される。《グランドクエスト、ホロウエリアへの道をクリアしました》
この意味を知るのはこれからさらに先ALOで起きた 《ラグナロク》の時であった。
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