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ZOIDS 紅の獅子

作者:大牟
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第4話 最悪の再会

「やったー!やっと村に着いたー!!」

ライガーゼロを走らせたアオイは、念願の人里に辿り着いていた。

「レッドリバー基地ではあんなだったけど、やっとシャワー浴びれる!やっとまともなご飯食べれる!やっとパパオが食べれるー!!」

まるで子供の様にはしゃぐアオイに、ゼロは青筋を立てる。

すぐに村の前にゼロを止め、市場へ足を運んだ。

市場と言っても、普通に人が通れる位に空いていた

「おじさん!パパオの実ある?」

「おおあるよ。」

八百屋の親父はパパオが入った袋をアオイに渡す。

「はいよ、美人さんには1個おまけだ。」

「どうも!」

ふと、店の品揃えを見ると

ところどころに空きがあり品数が少なかった

「おじさん、繁盛してるみたいね。」

「ハハハ、そうならどれだけいいことか」

「何かあったの?」

「もうすぐここは戦場になるんだ。」

「そうなの?」

八百屋の親父から共和国軍がここで塹壕を掘っていると聞き、様子を見に行くことにした。

「やってるわね・・・いずれ避難勧告が出るかもしれないわね・・・」

そう呟き、パパオの実をかじる。

アオイの目の前に、せっせと塹壕を掘っている共和国軍の兵士達がいた。

指揮していた一人が、アオイの方へ来た。

「貴様、何の用だ?」

「別に、塹壕掘ってるって村の人に聞いたから見物に」

「見せ物じゃないんだ、さっさと行け。」

「はいはい。」

アオイが立ち去ろうとしたら

「待て」

すぐに呼び止められた。

「何よ?」

「身元を証明できるものは?念のためだ、帝国のスパイがいるかもしれんからな。」

「私は帝国軍じゃないけど?」

「念のためと言った。」

融通が利かない共和国兵士に、アオイは呆れたように懐から紙を取り出す。

「身元証明ってわけじゃないけど」

「何だ?紹介状?」

兵士がその紙を見ると

少し息を呑み驚く

「貴様、ハーマン大尉の知り合いだったのか。」

「あら、結構有名なのね。」

「そりゃそうだ」

「まあ分けは聞かないけど。」

アオイは共和国の兵士が、必要以上にピリピリしている事に気付く。

「なんかみんなすごい顔つきだけど?」

「ああ、2日前に1個中隊のスリーパーが全滅したんだ。」

「帝国も本腰をあげたってことね。」

「いや、たった1体のゾイドに全滅させられたんだ。」

「は!?」

1個中隊をたった1体のゾイドが全滅させた。

その事実にアオイは驚きを隠せなかった。

「1個中隊ってゾイド30機を一人で倒したってことよね!?」

「ああ、詳しいな。」

「私だってゾイド乗りだから」

「そうか。あの先にガイザックの墓場がある。興味があれば見てくるといい。」

兵士が指差した方へ、アオイはライガーゼロを走らせる。

そこで見た光景は

「ひ・・・ひどい・・・!」

見るも無残に破壊されたガイザックの姿があった

「何でこんなことができるの・・・同じゾイド乗りとは思えない・・・!」

破壊されたガイザックは全てスリーパーゾイドだったが

これが、人間が搭乗しているゾイドだと思うとアオイは胸を締め付けられる。

「許せない・・・」

もしそのゾイド乗りと出会ったのならば、徹底的に叩き潰そうと誓うアオイだった。

とりあえず村に戻ると、何やら騒がしく兵士が動いていた。

「何?何の騒ぎ?」

不思議そうに共和国兵士を見ていると、指揮していた兵士がこちらに来る

「ここにオーガノイドを連れた少年を見なかったか!?」

「いいえ、それが何か?」

「そいつらがガイザックの墓場を作った犯人だ!」

アオイはすぐにバンの事だと思い驚く。

「ええ!?嘘でしょ、あの子がそんなことするわけないと思うけど」

「知り合いなのか?」

「ええ、銀色のオーガノイドでしょ?」

「いや違う。黒いオーガノイドだ。」

「はぁ??」

黒いオーガノイドだと言われアオイは困惑する

「ちょっと待ってよ、黒いオーガノイドって・・・ジーク以外にもオーガノイドっているの?」

「俺が知るか。先ほどその少年の捜索に出た、貴様も協力してくれ」

普通なら断っているところではあるが、墓場を作った犯人は放ってはおけなかった。

「わかったわ。私が先に見つけてやるんだから。」

意気込むアオイの前に

「おーい、アオイ!」

彼女を呼ぶ声が、黒いコマンドウルフから聞こえてきた。

「ああ!アンタまさかアーバイン!?」

「ちょうどよかった、バンの捜索に協力してくれ。」

「バン達も来てるの?」

「ああ、しかもガイザックの墓場を作った犯人と行動しているらしい。」

「ええ!?」

「バンが危ない、お前も探してくれ!」

アーバインの指示なのは少しシャクだったが、バンの身が危ないためすぐにライガーゼロを走らせた。

「ゼロ、オーガノイドの気配を察知して・・・って、出来るわけないわよねいくらなんでも・・・」

ない物ねだりをしても仕方なく、地道にバンを探す

「ん?あれってアーバインのコマンドウルフ?」

コマンドウルフの止まっている先の岩山に

バンとフィーネ、その奥に少年が立っているのが見えた。

「バン!それにあいつは・・・!」

あの少年が、ガイザックの墓場を作り出した犯人

そう確信し、ライガーゼロを岩山の傍まで走らせる

「バン!フィーネ!」

「アオイ!?アオイも来てたのか!?」

「そんな事より、そいつが例の少年なのよね?」

「そうだ!こいつがガイザックの墓場を作った張本人だ!」

「あの人・・・ゾイドが嫌いだって・・・」

フィーネがそう言い、アオイは少年を睨みつける。

「ふうん、珍しいゾイドに乗ってるんだね。」

その少年がライガーゼロを後ろ眼で見て呟く

「ゾイド嫌いのアンタに言われる筋合いはないわ。同じゾイド乗りとして、アンタの悪事を見過ごすわけにはいかないの!」

少年は鼻で笑い、地平線に指を差す。

その先には、ゴドスの大部隊が接近してきていた。

少年を捕まえるために派遣された部隊だ。

「どうやらここにも作らなくちゃいけないみたいだ。ゾイドの墓場を」

「何!?お前・・・」

「シャドォォォォ!!」

少年が叫ぶと

一つ上の岩場から、黒いオーガノイドが姿を見せた。

「ジーク!?いや違う・・・こいつは・・・!?」

「本当にいたのね・・・黒いオーガノイドが・・・!」

バンとアオイが驚いていると

少年は岩山から飛び降りた。

「待てレイヴン!!」

地響きが起こり、バンとフィーネが岩山からコマンドウルフの上に落ちた。

「いっててて・・・」

「バン、大丈夫?」

「バン!奴が出てくるぞ!!」

岩山の影から、少年・・・レイヴンのゾイドである紅いセイバータイガーが現れた。

「!!!」

アオイは、そのセイバータイガーを見て全身に緊張が走る。

「ウソ・・・なんで・・・」

「アオイ?おいどうしたアオイ!?」

「あのセイバータイガーを知ってるのかアオイ!?どうしたんだよアオイ!!」

アーバインとバンの声はアオイに届かず

「いるはずない・・・なんで・・・どうして・・・」

うわ言の様に発していた呟きは

セイバータイガーがゴドスに攻撃を仕掛けたと同時に止まった。

上空から飛び込みゴドスを薙ぎ倒したが

追い討ちのようにゴドスの首を踏みつけ、頭部が切り落とされる。

その後も、ゴドスに攻撃を仕掛けるレイヴン

それは、全て普通に戦闘するには必要のないものが多い

腕を噛み千切り、脚を捥ぎ取り、ビーム砲で頭部を撃ち抜き

「うわああああ!?」

倒れた相手を弄ぶかのように踏みつけ苦しめている

その光景を目の当たりにし、バン達は言葉を失い

アオイの眼から涙がこぼれる。

その間も残虐な行為が繰り返され、ゴドスの部隊が目に見えるように減っていく。

「やめろぉぉぉぉ!!何でそんなことができるんだ!!」

「イカレてるぜあいつ!!」

「ダメ・・・やめて・・・」

負傷し逃げようとするゴドスの前に回りこみ

「ヒィィ!!」

「フッ」

止めを刺そうと右前足を振り上げる

「やめてぇぇぇぇぇ!!!」

アオイの悲鳴と共にライガーゼロが駆け出し

セイバータイガーに体当たりをしゴドスを助けた。

「くっ!?」

「早く逃げて!!」

「き、貴様はあの時の・・・」

ゴドスのパイロットは、村で出会った共和国の兵士だった。

「早く!!」

「す、すまない!」

ゴドスは負傷した足を引きずり、その場から撤退した。

「チッ、逃がすか」

レイヴンが追撃しようとしたが、アオイが前に出て妨害する。

「邪魔しないでもらえるかな?せっかく楽しんでたところなのに」

「セイバー・・・セイバーよね!?あなたセイバーなのよね!?」

アオイの問いかけに、レイヴンは首をかしげる。

「何を言ってるんだ?」

「何でこんなひどいことするの!?あなた私といた時はこんなことしなかったのに!!」

「アオイの奴、何言ってやがんだ・・・!?」

アーバインも状況が飲み込めず戸惑っていた。

「一体何を言ってるんだ、あんたは?」

「私を助けるために死んだはずなのに・・・何でゾイドを苦しめるの!?何で平然とゾイドを傷付けたりしてるの!!」

アオイの悲痛な叫びが辺りに響く

レイヴンは、聞いていく内に何かに感づく

「なるほど・・・お前がプロイツェンが話していた、このセイバータイガーのパイロットだった奴か」

「あなたがこんな事をさせてるのね・・・でも、それでもセイバーは無闇にゾイドを傷付けなかった!一体どうしたのセイバー!」

「うるさいよ!」

痺れを切らし、セイバータイガーはライガーゼロに向けビーム砲を放つ

「馬鹿野郎!!何で避けねぇ!!」

アオイは固まり、回避動作を一切しなかった。

その動きのなさにアーバインが叫ぶ

直撃する直前、ライガーゼロは飛び上がり攻撃を避けた。

「何!?あのタイミングで・・・!」

それにはレイヴンも驚きを隠せなかった。

「ゼロ、あなた・・・!」

ライガーゼロは、アオイの代わりに動き攻撃を回避したのだ。

「フン、そのゾイドに助けられたみたいだね。」

レイヴンはすぐに調子を取り戻す。

「セイバー!もうやめて!私がわからないの!?」

「さっきからうるさいよ・・・!僕はゾイドの言ってる事は分からないけど、代弁してやるよ。」

レイヴンは、セイバータイガーをライガーゼロに向け飛び上がる

「お前なんか・・・知らないってな!!」

攻撃しようとしないアオイに代わり、ゼロは身構える

「ダメ、ゼロ!!」

アオイの悲鳴に、ゼロは動きを止めてしまう

当然の如く、セイバータイガーの攻撃をもろに受けてしまった。

「きゃあああああ!!」

ライガーゼロは吹き飛ばされ、アオイは頭を打ち意識が朦朧とする。

「こいつはシャドーの力で復活したと同時に、メモリーバンク・・・ゾイドの記憶を掻き消した・・・僕のゾイドにお前の様な感情は必要ないからな。」

「セイ・・・バー・・・」

「まともにゾイドを扱えてないお前より、僕の下にいた方がこいつも幸せだろう?ハハハハハ!」

嘲笑うレイヴンの声を聞き、アオイは意識を手放した。

そして

「プロイツェンから抹殺の指示が出てるんだ。悪く思わないでくれ」

セイバータイガーの前足が振り上げられる。

「以前の相棒に殺される・・・泣けるシチュエーションじゃないか・・・死ね!!」

そして、セイバータイガーの爪がライガーゼロのコクピットめがけて接近する。

「やめろぉぉぉぉ!!」

寸でのところでバンのシールドライガーがセイバータイガーを撃ち、攻撃を阻止した。

「これ以上ゾイドを傷付けるって言うのなら・・・」

「どうだと言うんだ!」

「お前を倒す!!」

バンとレイヴン、乱入したアーバインも戦闘に加わる。

しかし、彼らはレイヴンの撤退という形で勝利を収めた。

アオイは、村の診療所に運ばれた。
 
 

 
後書き
次回予告

アオイ・リュウガよ。まさかセイバーが生き返ってたなんて・・・あの悪夢が正夢になっちゃったわね・・・
セイバーは人にもゾイドにも優しかった。それをあの子・・・レイヴンが無理やり歪めた
あのままにしておくわけにはいかない・・・セイバーは・・・私が止める!!

次回 ZOIDS 第5話「ゼロの真価」

今度もめちゃくちゃ、動きまくってやるわ!! 
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