ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第二話
今日は放課後から生徒会に来ている。
なぜかって?親友である匙に頼まれたんだよ。
匙ってのは最近生徒会に入った俺の親友で、仕事が大変だから手伝ってほしいと言われたのだ。
そして快く承諾して、ここにいる訳なんだが……。
「今度はこれをお願いします」
「了解です」
いや、まあね?結構忙しいんだろうと思ったよ?
でもね……生徒会長である支取蒼那先輩以外全員満身創痍ってどうよ?
そんな中で平気でやってる俺も俺だが……。
「中々に忙しそうだな、一誠」
と、生徒会室にある人がやってきた。
ルビア・エルステイン。俺の家に居候している一人でクレアの姉。
この学園で教師をしている。基本は英語なのだがその知識量は他の先生もぐうの音も出ないほどあり、ほとんどの勉強を教える事が出来るという万能先生なのだ。
そして公私混同はしないのか、家などでは俺のことをイッセーと呼んでくるのだが他の皆の前では一誠と呼んでくる。
「ああ、ルビア先生。お疲れ様です」
「ああ、支取か。忙しそうだな」
「いえ、風紀委員であるエリスさんなどに比べればこちらはデスクでの戦いだけですし」
「なるほどな。よし、手伝ってやろう」
そう言って支取先輩の持ついくつかの書類を手に取って空いている席に座る。
「すいません」
「何、いいさ。暇つぶしだ」
そう言いながらも動かす手を止めないルビア。
そんなルビアと同様の早さで手を動かして書類を片付けていく支取先輩。
二人共、十分に化け物っすね……。
俺はそんなことを思いながらちまちまと書類を片付けていった。
仕事を終えたルビアと一緒に帰る。
「イッセー、気づいているか?」
「はい、この街で何か邪な感じがしますからね」
「この街で何をしようとしているのだろうな、そいつは……」
それに関してはまだわからない。情報が全くないからな……。
「ああ!イッセー君よね!?きゃ~!やっと会えた!これも主のお導きだわ!!」
と、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
後ろを振り向くとそこには見覚えのある顔がいた。
「…………もしかして、イリナか?」
「そうだよ!イッセー君の幼なじみ、紫藤イリナだよ!」
このハイテンションはやはりそうだ。こいつは子供の頃となんら変わってない。
「……イッセー、この子は?」
「ああ、ほら。昔言ってただろ?幼なじみがいるって…‥その幼なじみだよ」
「ああ、そうか。そう言えばそんな事を言っていたな……」
ルビアは思案するように手を顎に置く。
「イリナ、任務を忘れるな」
と、イリナの後ろからまた別の女の子がやってきた。
青髪で緑のメッシュが入っている女の子だ。
「任務?お前、何かしてんのか?」
「えっ!?あ、ああうん。でも大丈夫!私達だけでも出来る簡単な任務だから!」
しかしその顔から俺はわかった。この任務とやらを成功させる確率は非常に低いという事を。
「わかった。何か俺の力が必要だったら遠慮なく言えよな。力になるからよ」
「うん!またね!」
そう言って青髪の子と一緒にどこかに行くイリナ。
「……心配って顔をしているぞ」
「……わかりますか?」
「わかるさ。何年の付き合いだと思っている?行ってやれ、皆には私から説明しておく。どうせ、家に連れてくるんだろ?」
「ありがとうございます。それじゃよろしくお願いします」
俺はそう言って二人が向かった場所……先ほどまでいた駒王学園へと走る。
(レスティア、頼む。玄室に繋いでくれ)
(わかったわ。玄室に繋げばいいのね。でも、いいの?これから貴方は……)
レスティアは俺の事を心配してくれる。
俺が今からしようとしているのは自分で自分の平和を壊そうとしている事だ。
(幼なじみが頑張ってんだ。俺も頑張らないと、だろ!)
(……そうね、貴方はいつも一緒。誰かの為に頑張れる。わかったわ、必要なら呼びなさい。私と剣精霊さんはいつでも力を貸すから)
(…もちろです。私はイッセーの剣。イッセーの思うままに……)
ありがとうな。レスティア、エスト……!
俺は全速力で駒王学園に向かう。
そして学園内の森の中で何かと何かが戦っている感じがした。
そこには……先ほどのイリナ達と学園の先輩、リアス・グレモリー先輩がいた。
これは……どういう事だ?
イリナ達の持っている剣……かすかだが聖剣の波動を感じる……。
(感じるのも無理はありません。あれはエクスカリバー。しかし折れた聖剣ですが)
折れたか……って事は伝説の聖剣よりエストの方がすごいって事か。
(その通りです)
なんだろうな、エストが胸を張っている絵が容易に想像出来る……。
というか、今更ながら気づいたけど……イリナ達の戦闘服、あれ絶対におかしいだろ。
そう、あいつらの服装……それはピッチリとしたボンテ―ジっぽい体のラインが見えるくらいぴっちぴちの戦闘服だった。
まあ、そこにつっこむのはやめておくか。
そしてそんな事を考えていると神名が白と黒の夫婦剣のような物でイリナに斬りかかる。
イリナはそれらを弾くがしかし、そのすぐ後には同じ剣が神名の手に握られている。
(あいつの固有魔法か……?)
まあ、質はなさそうだが。
何度も何度も現れる剣のせいでイリナには疲労が見え始める。
そしてイリナの剣が弾き飛ばされてしまった。
まずいっ!神名はあのまま剣を振り下ろす!
俺は急いで玄室から二振りの剣を逆手に持ってイリナに斬りかかる神名の剣を受け止める。
「っ!?イッセー君!?」
「イッセー!?」
二人は俺が出てきた事に驚いている。
そんなのは無視して神名を蹴り飛ばす。
イリナの前に立ち、イリナを守るように構える。
「イッセー君……?」
「なんだ、幼なじみ?戦える事に驚いてるか?」
「え、えぇと……」
「……知ってるよ、だから大丈夫だ」
安心させるようにそう言う。
「イッセー君……」
後ろの方で崩れ落ちるような音が聞こえる。おそらくは地面にへたり込んだのだろう。
「イッセー、何でここにいるんだ?」
「お前こそ、なんでこんな事をしてる?さっきの、下手すればイリナが死んでたぞ?」
『Boost!』
ブーストと声が聞こえる。それに伴って神名の雰囲気が変わる。
なるほど、赤龍帝の籠手か……だけど、俺には関係ない!
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
神名が剣を振り回してくる。
言葉どおりに振り回しているだけなのだ。そこには型などあったものではない。
普通ここまでするにはまず形式どおりの型を通ってから自分自身で強くなる為に型を越えた動きをしなければいけない。
しかしこいつの動きははっきり言ってでたらめだ。ゆえに、動きは読みやすい。
俺は双剣を巧みに使いながら神名の剣を受け流していく。
「くそ!」
「嘘、神名が手も足も出ないなんて……彼は何者なの?」
リアス先輩が何やら驚いているが……まあ、無視だな。どうでもいいし。
そろそろ、終わらせる!
「散れ、桜の如く!」
そう叫び、俺は双剣を閃かせてすれ違いざまに一閃。そしてそれを何度も何度も繰り返していく。
「双剣技!桜花絢爛!」
そう叫ぶと神名の体から血が吹き出る。それはまるで桜の如く散っていった……。
「リューセイ!」
リアス先輩が神名に近づく。
「大丈夫ですよ、死んじゃいません。それよりも、何で学園でこんな事してるんですか?」
「そ、それは……」
まあ、答え辛いよな。俺も自分の事を喋れと言われたら答え辛いし……。
「い、イッセー君……強いね……」
「こんなの朝飯前さ。それよりも怪我とかないか?」
「う、うん……大丈夫だけど……」
よかった、ホント。
「向こうも終わったみたいだしな」
「君の負けだよ、『先輩』……君がもっと冷静であればいい勝負が出来ただろう。だけど君の強みは速度。それを潰すその大きな魔剣を創った時点で、君の敗北は決していた」
彼女は聖剣を布で再び包んで。そして話をしていた俺とイリナの元に来る。
「やあ、確か……兵藤だったよね。何でここに?」
「ああ、ちょっとだけ嫌な予感がしてな。それでさ。それで?教会関係者が何でこの街に来たんだ?あ、後、何で俺の名前を?」
「そこまで知っていたのか……わかった、関わった以上お前にも事情を説明しておこう。それと名前を知っている件についてはイリナがずっとお前の事を話してくるのでな、自慢の幼なじみだと」
「も、もうゼノヴィア!それは話さないでって言ったでしょ!?」
慌てるイリナ。しかし自慢の幼なじみね……こいつの小さい頃を言ったら驚くだろうか?だってこいつ俺と遊んでた頃は男物の服とかしか着てなかったから一時期男と勘違いしてたからね?まあ、とある一件で女の子とわかった訳だが……。
「ああ、俺の家を貸すからよ。イリナ。お前、この子に何か迷惑をかけてないだろうな?」
「迷惑なんてかけてないわよ!」
前科があるから信じられないんだよな……。
「リアス先輩……話は明日で。ちゃんと聞きますから」
俺はそう言って剣を玄室に収めてその場を後にした。
後書き
今回の双剣技はオリジナルですのであしからず。
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