貰った特典、死亡フラグ
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死亡フラグ貰いました。
1話:転生したけど死亡フラグ
前書き
ハーメルンでもやっています
皆は昔、何に憧れた?小さい頃ならテレビアニメのヒーロー、段々成長していくと本やドラマの主人公だったり。少なからず、こんな風になりたい、って思ったことないかな?
俺はある。年相応にヒーローに憧れたし、物語の主人公になりたいって思ったこともあった。ダークヒーローにも憧れたね。主人公になれなくてもファンタジーな世界に憧れた。神隠しに会ってみようと言って、友達二人で山に入ったこともあった。残念ながら神隠しなんてなかったんだけどね。ああ、お盆の夜に墓場に行ったこともあったっけ?
何でこんなことを話しているのかって? それは、この場所が......ファンタジーな世界かもしれないからさ
時は遡り......
「あー、はいはい。君、こっちの列ね~? あ、そこ横入り駄目言うとるやないか」
いきなり真っ白な空間にいたらどうする?俺はまあ、呆然とするかな。
「ここどこ?」
「あれよ、ここはいわゆる地獄と天国の間。死者が集う場所。ちなみに俺は死者の列の誘導係。あ、これ名刺ね」
いつの間に居たのか、後ろには金髪のお兄さん。
「前もこんな話してたなぁ。元気かな? あの子達」
とりあえず、名刺は貰っておこう。
死者の列誘導係
K・HO☆N☆DA!
「どや? イカスやろ?」
どこが!? という言葉を飲み込む。ノーコメントにしておこう。
「最近暇やからな~。良いことなんやけど。忙しかったのは最初の子の時だけやったな」
「えっと、地獄と天国の間というのは?」
「死者が地獄行きか、天国行きか、生き返えるか決める場所だよ。そういえば、転生もあの時から追加されたんだっけ」
「ということは......俺って死んだ?」
「そうそう、話が早くて助かるなぁ。前の子、ちょっとパニックになってたからさ」
確かに俺には死んだ記憶がある。車にひかれたという、笑えない話だ。不思議なことにその事実を確認しても取り乱すことはない。達観した感じだ。
しかし、地獄には行きたくないし、天国の方がましだとは思うが、転生も気になる。よく二次小説にあるようなものだろうか?
「天国行きとか、転生とかどうやって決めるんですか?」
「基本はその人が生きてるときにどんな生き方をしていたか、で決まるんだけど、最近はあの人の気まぐれかなぁ。転生したのはまだ二人だけだよ」
どうやら転生は希らしい。しかしそんな決め方でいいのか!?
「君も話してくるといい。天国行きかもしれないしね」
誘導されて行くのは、何かおじさんの前。
「あー、今回は君ねぇ。ふんふん」
品定めをされる様に見られる。なんか紙に書いてるし。
「あの」
「なんだい?」
「俺って天国いけますか?」
正直、不安だ。生きている頃は決して良いことばっかししていたわけではない。やっぱり悪いこともしていた。親の言うことを聞かないこともあったし、教師に反抗したこともあった。それに地獄にも色々種類があるから、昔の行いに対しての地獄があるかもしれない。
「それはわかんないなぁ。うん、あの子達も楽しそうにやってたしねぇ」
度々、この人達の話に出てくる“あの子達”とは一体誰だろう?
「よし、君転生!」
「え!?」
「思い立ったが吉日! では早速。前はズコンだったから今度は......」
ヒュッ!
この音が何の音なのか、音源はどこなのか考える時間もなかった。
「最近の流行りは落とし穴だね!」
「ちょっと待てやぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!!」
ドップラー効果を発声させながら、俺は落ちていった。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...あ?」
気づくと俺は、草地に立っていた。というか、森? 落ちていたと思ったのだが。
「ここどこ? あれ、紙持ってる」
俺の手には紙。“説明書”の文字。なぜかは知らないが筆書き。達筆!
「いつの間に? えーと」
『 転生における説明書
どうだろう、びっくりしたかい? やっぱり、落とし穴だよね? 評価するなら拍手をどうぞ?』
「するか!」
なんというか、死ぬ思いをした。他の人にはやらないことを願う。被害者を増やさないでほしい。
『この世界は、なんと! あの子達も転生した“魔法少女リリカルなのは”の世界です。それも“Force”。格好いい武器がたくさんだね?
でも、先に転生したあの子達はその世界にはいないから。別の“魔法少女リリカルなのは”の世界にいるから。ご了承願う』
出来れば、先に転生した人達に会いたかった。確率は低いが、転生したなら次元管理局に所属かもしれない。
「つーか、“Force”か......。ヒロイン達25歳だっけ?」
『恐らく、原作ヒロインにフラグを建てるのは絶望的かと思うが、安心してほしい。素晴らしい特典を用意した。それは...』
俺の期待が高まる。素晴らしい特典と言うのだから、チート能力に違いない。“ゲート・オブ・バビロン”とか。あれが、一番いいと思う。
「その特典とは!?」
『君にはエクリプスウィルスをプレゼントしておいた! つまり君は感染している。殺戮衝動に、もしかしたら自己対滅とかあるかもしれないからお気をつけあれ。あ、ゼロ因子適合者じゃないから』
「......あんの、糞ヤロウッ!! どーすんだよ、転生していきなり死への危機!?」
紙を破り捨てなかった俺を、誉めてもいいと思う。転生してすぐ死ぬって冗談じゃない。いや、とりあえず冷静になろう。
『諸事情によりシュトロゼックは特典につけられませんでした。しかし、神は君を見捨てなかった! 君が寂しくないように本は用意しておいた。さらに君のディバイダーはリアクトすると様々な武器になる。
これで原作キャラと戦っても大丈夫だね!』
「いや、シュトロゼックは必要だろ。本だけって寂しい」
よく二次小説ではシュトロゼックも特典で貰っていた。俺もほしい。本ってほとんど喋らないし。
『君の本は蒼いから、蒼十字とでも呼んでくれ。クールにデレそうな声だね!
一応、レアスキルも用意しておいた。二人目の子にあげたら好評だったからね。レアスキルやディバイダーについての説明は蒼十字がやってくれる。これで説明は終わりだ。
PS.この紙は、読み終わったら爆発するとかないので、ポイ捨てせずにきちんと分別して捨ててくれ。健闘を祈る。リリカルマジカル頑張ってくれ 』
なんだろう。今、とても“神殺し”の力がほしい。エクリプスウィルスなんていらないから。あの野郎は一発殴りたい。ていうかあいつ神なのか?
「おーい、蒼十字ー、とりあえず説明プリーズ」
ヒュッ
『ドライバー、承認。ご用件を』
空中に浮かぶ、蒼い本。 おお、本当にクールにデレそうな声だ。聞いたことある気がするが誰だっけ?あの野郎は許せないが、蒼十字は俺の好みにマッチしてる。声だけ。
「俺のディバイダーとレアスキルについての説明をお願い」
『Jud.』
ホライゾン?
『貴方のディバイダーはリアクター内臓型。故に血液認証によってリアクト可能』
「リアクトか。痛そうだよね、あれ」
リアクトするには体にリアクターを取り込んでする。その時はリアクターを体にブッスリ刺したり、腕切ったりで絶対痛いだろう。あまり、やりたくない。
『レアスキル名称、翔翼。
効果、加速術。
長所、移動の際にあらゆる抵抗を無効。究極的に疲労、体重も無効。故に長時間の加速可能。
短所、最大速度に至るまで時間が必用。
発動条件、武器を持ち、攻撃し続けること。以上で説明終了』
「やっぱり、ホライゾンか。効果は原作通りか。えーと、ディバイダーは」
原作をちゃんと読んでいたので、ある程度のことはわかる。しかし、できれば、大罪武装が欲しかった。エクリプスウィルスじゃなくて。まだ、死にたくない。
「ECディバイダー」
『Start Up.』
ジャギンッ!
俺の手に現れる、ディバイダー。やっぱり、実弾銃にナイフが付いている様な武器だ。これ、何の銃だろう? ディバイダーに書かれている文字は“React Clotho”と“3.14”?
「なにこれ? 円周率?」
『理由、趣味又は気紛れ』
「理由になってないだろ、それ」
普通は、000とかじゃないか? 英語の方はかっこよかったのに。意味知らないけど。
ぎゅる~
「やべぇ、腹減ってきた。死ぬ前なんも食べてない。本当にここどこ?」
ちなみに、今の俺の姿格好は前世とほぼ同じ。服も一緒。違うのは背が伸びていることくらい。
『半径1㎞捜索。......結果、人影、建造物確認できず。無人世界と推測』
「歩くしかないかぁ」
とりあえず、人の居る場所に行こう。飯を食ってそれからだ、これからのことを考えるのは。殺戮衝動とか起きなければいいな。
俺、明日の朝日拝めるかなぁ。その前に今日の夕日を拝めるかすら、わからない。
後書き
Clothoとはクロトと読み、ギリシャ神話の運命の女神で運命の糸を紡ぐ女神です。
自分の考える、この主人公の運命の糸は『死』へ行くか、行かないかです。
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