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久遠の神話

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第百六話 決戦の前にその五

「駄目なのよ」
「僕もだよ」
「一日一回はね」
「そうそう、パンとかスパゲティもいいけれどね
「一日一回は御飯食べないと」
「何かしっくりこないよね」
「不思議とね」 
 何故かはわからないが、というのだ。
「一日一回はね」
「御飯を食べないと」
「いい感じしなくて」
 それでだというのだ。
「気が済まないね」
「上城君もそこは同じね」
「どうしてもね」
 上城もそこはこう返す。
「一日一回は御飯じゃないとね」
「そこが日本人よね」
「そうだね、ただね」
「ただって?」
「ええと、昔大学の教授で」
 上城はそのペペロンチーノを食べつつ樹里にこう話した。
「先進国は何処もパンとか麦を食べると頭がよくなるとか」
「あっ、そういうこと言った人いたらしいわね」
「そうらしいね」
「その人ね、嘘言ってたみたいよ」
 ここでだ、樹里は顔を顰めさせて上城にこう言ったのだった。
「どうやらね」
「えっ、嘘だったんだ」
「そういうの科学的根拠無いそうよ」
「麦を食べたら頭よくなるとか」
「そうなのよ、どうやら何処からかお金貰ってて」
「それで嘘言ってたんだ」
「そうみたいよ」
 こうだ、その顰めさせた顔で真実を話すのだった。
「東大教授よね、その人」
「そうだったかな」
「お金貰って嘘言ってたのよ」
「酷いね、それ」
「大学の先生でもね」
 例えそれが東大の教授であってもだ、権威と言ってもいい立場にある人間でもだ。
「嘘言うのよ」
「お金を貰ったうえで」
「そういう人もいるのよ」
「そういえば東大の教授でも」
 ここで上城はその東大の教授達について他にも聞いたことを思い出した、それはとかく嫌な話であった。
「ソ連とか北朝鮮べったりのことを言ってた人がいたとか」
「そういう人もいたのね」
「そんなこと聞いたことあるよ」
「何か大学の教授でもね」
「酷い人いるみたいだね」
「東大の教授でもね」
 日本で最も入学が難しいと言われてそれだけに最高峰と言われているこの大学のよりによって教授でもだというのだ。
「とんでもない人いるのね」
「そもそも大学の教授ってね」
 どうした立場かというと。
「学校の先生だしね」
「上城君学校の先生は警戒してるからね」
「うん、剣道をしている人でもね」
 顔を曇らせてだ、ここでも中田が成敗したあの暴力教師のことを思い出すのだった。
「とんでもない人いるからね」
「聖職者っていうけれどね」
「その人が聖人とは限らないからね」
 例え聖職者と呼ばれる職業に就いていてもだ。
「そうした人いるね」
「だから大学の教授にもね」
 悪質な人間がいるのだ、大学の教授が金を貰って嘘を吹聴しては最早それは学者ではなく詐欺師と呼ぶべきであろう。 
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