ハイスクールD×D 赤眼の少年
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下級悪魔
前書き
昔ハーメルンで書いていたものを改変したものです。暇潰しにでもなれば幸いです。
「ねえ? いつまでそうしているつもりだい? さっさと起きなよ? 下級」
「……………………………………………………」
午前二時三十五分。
駒王市のとある公園内では、この世のものとは思えない光景が広がっていた。
「…………まさかあんた、死んじゃったの?」
「…………………………」
「冗談だよね? 下級とはいえ、人外の悪魔様でしょ? ダルマになった程度でなに死んでんのさ? ねえ?」
ブランコや滑り台等の遊具は赤く黒く汚れ、地面には赤色の水溜まりがいくつもできていた。その中でも一番大きい水溜まりの中に、それはいた。
腕と足をもぎ取られ、まるでダルマのようになった全裸の男性と、そのもぎ取られた腕で、それを突っついている黒服の少年。この場所は本当に現世なのだろうか?
「……ん? あんた、今動いたでしょ?」
「…………………………」
「無視かい? なら、次は頭と心臓を同時に――――」
「っ!? まあ゛、まあ゛ってくれ!?」
少年がそれの頭に手を置いた瞬間、それは突如として声を上げた。どうやら死んだ振りをしていたらしい。
「ふは! 死んだ振りゴッコは楽しかったかい? 下級悪魔さん?」
「た、頼む!! 見逃してくれ!! ま、まさかあんたが、これほどの奴とは思わなかったんだ!!」
「へぇえ。これほどの奴とは思わなかった……ねぇ」
つまりそれは、それほどの奴ではなければ殺っていたということだ。命乞いの言葉にしてはあまりにもお粗末だ。
「頼む!! 俺も一週間前まではあんたと同じ人間だったんだ!」
「……………………へぇえ」
その男の言葉に、少年の笑顔が一瞬陰る。だが、男はその一瞬を見逃さなかった。
「俺の名前は武宮信也! ほら、今ニュースで行方不明者として報道されてる本人だ!!」
「……それで?」
「それで……今から一週前の仕事帰りに、黒い羽を生やした変な男に…………そうだ! セイクリッドなんとかを宿したことを恨めとか言われて、そのあと急に腹が――」
「あぁ~はいはい。つまり神器のせいで殺されたと? よくある話だねぇ」
「……マジで?」
「あぁ、ありきたり過ぎて反応に困るくらいだよ」
少年の言葉に、大きな溜め息を吐いて脱力するダルマ男。なんともシュールな光景である。
「…………ところで、あんた痛くないのかい? それ」
「え? な、なにが?」
「だから、腕と足のところ」
「え? …………あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!!!!!?!」
「あーあ、アドレナリンが切れたのかな?」
本来ならば、地面をジタバタとのたうちまわるほどの激痛なのだが、この男は少年に四肢をもぎ取られているため、悲痛な叫び声を上げることしかできない。
「うるさいよ」
「ゴアッ!!??」
だが、それすらもこの少年は許さない。少年は男の胸部に右腕を勢いよく突き刺し、体内でグチャグチャと激しく腕を動かした。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ムグゥ!?!?」
「少し黙っててもらえる? 手元が狂うじゃないか」
少年は空いている左腕で男の口を押さえつけ、男の体内から腕を引き抜いた。
「よしっと、取れたよ――――あんたの心臓」
「あ゛………………」
そう。少年が男の体内から抜き取ったものは心臓だ。心臓を抜き取られた男は、悲痛な表情を浮かべたまま、静かに絶命した…………立ったままで。
「…………まぁ、足がないしね。なんもおかしいことはないね」
そうだ。ただシュールなだけだ。
少年は自分にそう言い聞かせると、手に持っている男の心臓をグチャリと握り潰した。
すると、握り潰した男の心臓の中から、赤色と黒色の二種類の光が現れた。
「…………へぇえ。神器はともかく、こっちはかなりのレアものだね」
少年はその二種類の光を手に取ると、いつの間にかできていた空間の穴に、ゴミを捨てるかのように投げ入れた。
「さてと、腕と足は……いいや、これも空間に入れてっと。そんでもって次は」
「…………………………」
少年は男を放置し、せっせっと公園内を掃除していく。実に意外である。
「あーダルかった。待ったかい?」
「…………………………」
「ん? あぁ、今度は本当に死んじゃったんだっけ? 悪いね」
少年はへらへらと笑いながらそう言うと、黒いズボンのポケットの中から、赤色の小さな結晶を取り出した。
「あんたの中の異物は取り除いた。これであんたが裏に来ることはないだろうさ……って聞いてないか」
誰に話しているんだか。
少年はそんな自分に苦笑しながら、男の口の中に結晶を放り込む。
すると、男の体が赤い光に包まれ――――――
「う……うぅ」
光が消えると、五体満足の生まれたての状態で、男が息を吹き返していた。
「じゃあね――――――――全裸の変態さん」
少年はそう言い残すと、空間に溶け込むかのようにその場から消えた。
後書き
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