永遠の空~失色の君~
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EPISODE16 学園教師
包囲網を抜けた僕たちはなんとか更衣室へとたどり着く。作戦も成功し、割と速くたどり着くことができたので少しの間自己紹介もかねて世間話をする。
「そういえばモニカはずっとあそこにいるのか?」
一夏がシャツに手をかけながらロッカーの並ぶ通路の向こう側に隠れて・・・・はいないが控えているモニカの気配を気にしながら言う。
「彼女、結構過保護なところあるから」
「シャルル様が危なっかしすぎるんです!」と声が返ってきた。この距離でも聞こえるなんて盗聴器かなにかでも仕掛けられているんだろうかと探ってみたくなる。モニカも自分の使命に忠実なだけなんだろうがどうも彼女からはそれ以外のなにかを感じる。直感的なものだからあえて言葉にはしないが、なんだかそんな感じがする。
「ライは非公式なんだよね?」
「ああ。ちょっとわけありでね」
「わあけありって?」
「あ~・・・・それは話すと長くなるからまたあとで。今は早く着替えちまおう」
一夏が話をはぐらかす。僕はそれに目で「ありがとう」とかえすと「気にすんな」と笑ってかえしてくれた。
◇
「それでは、さっそく訓練を始める!・・・・と言いたいところだが、まずはデモンストレーションといこう。凰、オルコット。前へでろ」
口々に不満を小声で漏らしながら列の前へ歩み出る。やる気のない、納得のいかない表情の二人だが、織斑先生がなにか耳元でささやいた瞬間、二人にテンションが一変しやる気のゲージがMAXになった。たぶん一夏絡みなんだろうと思いつつ隣でむすっとしている箒をなだめる。
「それで織斑先生、二人で模擬戦すればよろしいんですの?」
「いや。おまえたちの相手は・・・・――――――」
突然、悲鳴が響いた。上を見上げると深緑色の機体がコントロールを失ったかのような動きで急降下してくる。
このままだと落下地点にいる一夏が危ない。直感的にクラブを展開し、瞬間加速を使って山田先生をキャッチ。なんとかまにあったことにホッと息をつく。
「山田先生、大丈夫ですか?」
「は、はい。助かりましたライ君・・・・」
山田先生を抱えつつ着地・・・・したはいいが、そこにはなにやら不満全開のセシリアと鈴が。
どうして鈴まで?
「ライさん・・・・」
「な、何かな・・・・?」
*
警告:ブルーティアーズ展開。スターライトmarkⅡに熱源確認、ロックされています
・・・・なんだって!?
「ちょっとまってくれセシリア!どうして――――――」
「問答無用!ライさん、お覚悟を!」
銃口が火を噴く。回避しようと試みるも、その弾丸は僕にたどり着くことなくもう一つの弾丸が弾いた。
精密射撃、しかもこの距離での攻撃相殺は並みのガンナーじゃない。撃ち落とされたセシリアは驚愕、それを見ていた織斑先生は「どうだ」と言わんばかりの表情だ。
「大丈夫ですかライ君?」
「は、はい・・・・」
これがIS学園教師の腕前なのか。代表候補生・・・・いや、国家代表レベルでもおかしくはない。
「ちょうどいい。蒼月も入れて2対2で模擬戦だ」
・・・・なるほど、そういうことか。
「制限時間は30分。ハンデとして蒼月はブラスターユニットの使用禁止、山田先生は近接装備は使用禁止だ」
「ハンデ?」
「山田先生はともかく、ブラスターユニットはパワーがありすぎる。いくらおまえが器用でもあれはダメだ」
ハドロンブラスターは威力が強力な分連射はできないという面があるがその分のメリットも大きい。模擬戦と言えど使う場所は選ばないといけないか。
「ハンデですか・・・・」
「不満か?」
「いえ、その・・・・」
「大丈夫だ。今のお前たちなら、すぐ負ける・・・・」
・・・・織斑先生、火に油どころかガソリンそそがないでください。二人の闘志が半端ないです。
「では、はじめ!」
「ライ、ドンマイ・・・・」
「・・・・どうしてこうなったんだ」
かくして、模擬戦が開始されることとなった
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