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永遠の空~失色の君~

作者:tubaki7
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EPISODE13 日常~鈴編2~


時はずぎて夕方。会議を終えた山田先生を交えての3人での談笑となった。


「どうぞ。ココアです」

「ありがとうございます」


山田先生にココアを渡す。彼女はこれが気に入ってくれたみたいで、今では当たり前のようになっている。そして・・・・


「はふぅ~・・・・」

「まぁわかっちゃいたけどこうもなるわよね」


それほどのものかと僕も一口飲んでみるが、二人のようにはならない。自分が作ったものだからか、ふたりのリアクションがオーバーなのか。だっちにしても気に入ってもらってよかった。


「にしてもあんたすごいわ。将棋はやたら強いしココア淹れるのうまいし・・・・一夏とは大違いね」

「そんなことはない。僕は彼のように強くはないし、それに将棋だって負けることもある」

「へ~・・・・あんたに勝つってどんだけよあいつ」


意外そうに、次に人外でもみるかのような目でそう呟いた。僕に勝つくらい誰でもできると思うが。


「一夏はすごいよ。成長スピードもセンスもどんどん伸びてきてる。彼には驚かされることばかりだ」

「ふぅん・・・・」

「だから鈴も一夏に惚れたんだろ?」


鈴がココアを吹いた。山田先生の顔面真っ黒。


「な、なななな何急に言い出すのよあんたは!?」

「そっちこそ今更だ。もうきみが一夏のことを好きなのはクラスどころか学年の生徒が知っている。しらないのは一夏本人くらいだ」


こうも情報が流出するのはここが女子高故か、はたまたただプライベートが脆いだけか。どちらにしてもこうまで知れ渡っているのにいまだにそれに気づかない一夏はあるいみ大物だ。

・・・・いや、あえて気づかないふりをしているだけということもある。機会があったら直接聞いてみよう。


「凰さんも篠ノ之さんも、オルコットさんも、恋する乙女ですね~」


・・・・なんでだろう。今の発言で一気に平均年齢が上がったきがする。


「そういう先生は誰かいないの?」

「わ、私ですか!?」


一気に顔が赤くなる山田先生。これは僕がいちゃいけない雰囲気な気も・・・・


「別にいいわよ。あんたがいた方がいいし」

「女の子同士の会話には男は立ち入り禁止なものじゃないのか?」

「いいのよ。ね、先生?」

「うう・・・・」


山田先生も恋する乙女ということか。織斑先生はどうだろう?

・・・・ダメだ、想像つかない。じゃあ束さん・・・・そもそも興味を示さなさそうだから論外だな。

一夏が織斑先生を心配するのがなんとなくわかった気がした。





















「で、どう?記憶は」


食堂で夕飯を食べながら鈴が言う。


「一応進展らしい進展はない。だが手がかりはあった」

「ふ~ん・・・・あ、そうだ」


鈴がなにか思いついたようにポケットを漁りだす。


「これ、わかる?」

「これは・・・・折り紙か」


鈴が持ち出してきたのは折り紙。・・・・というかどうやって入れたんだ折り紙。


「昔なんかの本でよんだことがあってね。こういうのやるとなにか思い出すかもとおもってさ」


なるほど。折ってできたものがなにかの切っ掛けで記憶につながるかもしれないということか。

鈴の気遣いに感謝しつつ、おもむろに一枚手にとって折る。鈴も同じように折りだしたのだが・・・・


「ハイ、出来上がり」

「手際がいいな。それに綺麗に折れてる」

「こう見えて手先の器用さには自信があるのよ」


なるほど。内面的なことには不器用でもこういうのは器用に――――――


「大きなお世話よ」


いつの間にか声にだしていたらしい。これからは気を付けよう。

さて、僕も完成したのだが・・・・


「鶴ね。しかもかなり綺麗じゃない。あんたあたしに似て器用ね」


鶴・・・・。

べつに考えておっていたわけじゃない。なのに手先がかってに動いていつの間にか完成させていたことに驚く。ごく自然に、そうするのが当たり前かのように指が動いていた。これもなにか記憶に関係あるのだろうか?


「ふふん、じゃ~ん」


誇らしげに鈴がなにか見せてきた。白い紙に肌色の紙といったいどこからだしたのかわからない色鉛筆で装飾を施していた。

これは・・・・


「はい。これライにあげる」

「いいのか?」

「お礼よ。あたしのこと色々気遣ってくれたし、事件の時には助けてくれたしね」


助けた・・・・と言えるのかどうか疑問だが、これが彼女の気持ちだというのなら受けるべきだろう。


「ありがとう。大事にするよ」

(だからちょっとは自分の容姿かんがえなさいよアンタは~・・・・!!)


顔から湯気でもでそうなくらいに真っ赤になる鈴。熱いのか?だが・・・・


「にゃい!?」

「あ、すまない。つい・・・・」

「び、びっくりするでしょ急に!頭撫でるとかなんなのよ!?」

「いや、なんかこうしたほうがいいような気がして・・・・すまない。謝罪する」

「いや、別に嫌いじゃないわよ。むしろ・・・・嬉しいし・・・・」

「なにか言ったか?」

「なんでもないわよ!」


怒ったり笑ったりと、表情がいろいろコロコロ変わってなんだか楽しい。さっきの折り紙もそうだが、なんだか妹みたいに――――――






――――――ライさんは本当に折り紙がお上手ですね。




――――――ライさんの撫で心地、好きです。




――――――お兄様、折り紙教えてください!





――――――お兄様に撫でられると、私すごく幸せな気分になれるんです。







「!?」


急によぎった光景。しかしまたしてもおぼろげで肝心なことだけ見えない。この感覚は、以前にも感じたことがある。

記憶の断片。鈴と初めて会った時も感じた感覚は、やっぱり間違いじゃなかった。


「ちょっと、大丈夫?なんか顔色わるいけど・・・・」

「大丈夫だ。少し食べすぎただけだから、いずれよくなる」


心配させまいと鈴の頭を再び撫でる。不服そうにしながらも彼女はその行為を甘んじて受け入れた。


・・・・妹。記憶を失う以前の僕には、妹がいたのだろうか。

でも、見たビジョンは二つとも違っていし、人物もちがっていた。しかも片方は僕の名前を呼んでいた。

これはいったいなんなのか。手がかりが増えたと思ったら謎がもう一つふえてしまった・・・・。  
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