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オズのモジャボロ

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第八幕その八

 兵隊さんが出てきました、驢馬の兵隊さんがそうしてドロシー達に恭しく敬礼をしてからこう言ってきました。
「それでは今から」
「はい、王宮にですね」
「そちらにですね」
「案内させて頂きます」
 こう皆に言うのでした。
「どうぞこちらね」
「お願いします」
 五人が応えてでした、かくして。
 一行は今度は驢馬の王様のところに案内してもらいました。驢馬さんの王様もとても立派な服と冠を着ています、まさに王様です。
 その驢馬さん達の王様がです、モジャボロとドロシー、それにトトを見て笑顔で声をかけてきました。その言葉はといいますと。
「お久しぶり、元気そうだね」
「うん、王様もね」
「お元気そうね」
「私も元気だよ、ではね」
 王様から一行に言うのでした。
「はじめて見る子達もいるから」
「ええ、この子達のことね」
「今日ここに来てくれた理由も聞きたいしね」
「わかったわ、それじゃあね」
 ドロシーが玉座の王様に笑顔で応えてでした。そのうえで。
 一行は驢馬の王様ともお話をすることになりました。そうして今度は驢馬の国の王宮の円卓に皆で座ってでした。お互いのことをお話しました。
 そしてでした、王様は五人のことを全て聞き終えてからしみじみとしたお顔になってこんなことを言いました。
「いや、それはまた面白いね」
「面白いですか?」
「というと何が面白いんでしょうか」
「いや、ドロシー嬢やベッツイ嬢、トロット嬢にこのモジャボロさんに」
 ドロシー達を見つつ五人にお話するのでした。
「君達もこの国に来たね」
「はい、学校の時計塔の最上階から」
「来させてもらっています」
「オズの国は本来は無線以外の手段では外の世界と遮断されているんだ」
 見えもしません、魔法でそうなっているのです。
「それで来るということも運命だね」
「私達がオズの国に来たこと」
「そのことが」
「うん、運命だよ」 
 まさにです、それだというのです。
「面白い運命だね」
「言われてみればそうですね」
「確かにそうですね」
「人には運命があるんだよ」
 王様は哲学者の様にお話するのでした。
「君達にもね」
「だからですか」
「僕達がオズの国に来たこともですか」
「運命ですか」
「そう、ドロシー王女がオズの国に来たこともそうだよ」
 ドロシーもだというのです。
「この人についてもね」
「そうね、私オズの国の王女になるまでも何度もオズの国に来てるから」
 そうしてその都度オズマやモジャボロと会い魔法使いと再会しました。その中でボタン=ブライトとも会っています。
「運命よね」
「私は運命を信じているよ」
 王様はとても嬉しそうな声でこう言いました。
「本当にね」
「私達と出会えたことも」
「モジャボロさんともね」
「会えたことは嬉しかったよ」
 モジャボロはにこにことしていますがその中に微妙なものを入れてそうしてこうしたことを言ったのでした。
「けれどね」
「最初に会った時のことだね」
「いや、驢馬の頭になったことにはびっくりしたよ」
 その時のことをお話するのでした。 
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