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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉15話「ふーじんろく ―前編―」

 
前書き
霊「さあ!出かけるわよ!!」
裕「ああ。さっさと終わらそうか。なんかこのあと紫が修行を手伝ってくれるらしいからね。」
霊「あら、あなたもなの?」
裕「霊夢も?」
霊「ええ。なんでも神霊を宿す力を持つ稽古だとか・・・まあ妖怪って気紛れだからなんとなくじゃない?」
裕「ふ~ん?」
霊「でも何かありそうなのよね。まあ、それは今は置いといて、出発するわよ!!」
裕「おー!」
 

 
というわけでやってきました、妖怪の山。正確には山の前なんだけど。名前がそのまんまとかはもうどうでもいいや。お?何かいい匂いがする・・・
「なにかしら、おいしそうな匂いが・・・」
確かにする。秋の味覚?そんな感じの。
「あら、巫女と人間がいるわね。」
「そうね、何しに来たのかしら。」
2人の少女がいた。
「あなたたち、山の上の神ってどんな奴か知ってるかしら?」
「ふふふ、私たちに勝てたらおしえないこともないわよ。」
「わ~、お姉ちゃんったら無理してキャラつくってる~。」
「・・・穣子、とにかくやっつけるわよ!!」
「私ら、そんな戦闘は得意じゃないんだけどな~。」
・・・・・・。
「・・・さ、行きましょうか。早くしないと日が暮れちゃうわ。」
「・・・そうだな。行こうか。」
なんか茶番劇を見せられて戦う気が失せた。おもしろいっちゃおもしろかったけど。
「まっ待ちなさいよ!!」
「おねーちゃん、眠いわあ~。」
「もうっ、仕方ないわね。あなたたち、あの山の上の神がだれなのか知らないけど、山にはいかない方がいいわよ!」
「あら、意外と律儀ねえ。」
「あの子らは妖怪かな?」
私らは秋の神よ~っ!と後ろから聞こえた。まあ戦わずにすんだから良しとしよう。



ここら辺はなんだか居心地が悪い。光は届かないし、空気が重い。
「そこの人間たち。今すぐ引き返しなさい。この先は妖怪の山、神々が住む世界。危険よ。」
ゴスロリ風の、緑の神にリボンを結んだ人が現れた。
「わかってるわ。だけど、この先に私たちは行こうとしているの。邪魔するなら成敗するわよ。」
「あら、自殺志願かしら?」
「違う違う、この先の山の上の神に用があるんだ。」
「仕方ないわね、私を倒してから行きなさい。」

厄符「バッドフォーチュン」



勝った。何とか。
「・・・わたしは親切に追い返そうとしただけなのに・・・」
まあ、いまは一刻を争う時。親切心は今は受け取らない。
「行くわよ!ここから先が妖怪の山。覚悟しなさい。」
「ああ。」
善意を裏切った罪悪感はあるけど、今はそれは別だ。・・・だけど、後で何か送っておこう。



「げっ人間!」
「あ、あれ?逃げちゃった。」
帽子をかぶって、水色の服を着て、大きなリュックを背負っている少女が現れた。と思ったら逃げた。
「追いかけるわよ!」



追いかけること数分、追いついた。
「もう、私の光学迷彩スーツがこわれちった。」
「何よそれ。」
光学迷彩だって?
「幻想郷って進んでるんだな。」
「だとしても、きっとここだけよ。」
局地的に技術が進んでいるのか。
「この先は危ないよ~。行かないほうがいいよ~。」
「結局行くんだけどね。」
「ああ。」



また追いかけること数分。
「あっさっきの人間。この先には行くなといったでしょ?」
「よくも邪魔してくれたわね。」
わあ、霊夢が若干イラつきモードに入っている。
「邪魔?何のことよ。何がしたいか知らないのに邪魔なんてできやしないよ。」
「この山の上の神様に用があるんだ。そこを通してもらえるとありがたいんだが。」
一応説明する。
「あ~?山の上の神様?この先には神がごろごろしてるけど。悪いことは言わないからさ、ほら里に帰った帰った。この先は人間を良く見ていない、排他的なやつもいるんだから。」
「知ってるわよ。けど行かなきゃなんないの。」
「ああ、せっかく盟友である人間に会えたと思ったのに。仕方ない、ここを通りたければ私を倒してから行くがいいわ!」

光学「オプティカルカモフラージュ」

「裕海、よろしく。」
「ほいほい。」

不読「風に舞う桜吹雪」




何とか勝った。
「くっなんて力・・・あなたたち、ほんとに人間?」
「一応。仮に違ったとしても、これはスペカ戦だからね?」
「さ、早くいくわよ。」
霊夢が手をつかんで引っ張る。
「この上に最近引っ越してきた神がいるんだよ。あなたたちはその神を倒しに行くのね。」
青い服を着た子が情報提供をしてくれた。
「おっと、思わぬところで情報がつかめたわね。何のために山に入ったのか忘れるところだったわ。」
え?
「ああ、人間は頼りないなあ。天狗様に知らせた方が良かったかしら。まあこの辺の河童には伝えておいてあげるから。」
「ああ、ありがとう。」



奥に進むこと数分。
「うわっ!?」
どこからか弾幕が飛んできた。
「今のは威嚇攻撃です。これ以上進むことは許しません。行くのなら私を倒してから行きなさい。」
「もう、仕方ないわね。裕海、やってしまいなさい。」
「・・・式神みたいになってない?俺・・・。」
相手の犬耳少女は剣を振りかざしてきた。しかし、とっさに“勢いの変化”をいじり、かなり勢いを弱くしてスペルカードを至近距離で唱えた。

異変「異次元空間の大量発生」

「うわああっ!!」
案の定被弾。結構威力あるやつだからしばらく起きられないかもしれないな。あんなに受けたから。
「・・・一瞬でやられるんじゃないわよ、椛。」
「あれ、文。」
文がスッと飛んできた。
「侵入者を迎え撃てと言われて飛び出てみればあなたでしたか。なぜ新聞記者の私が侵入者を倒さないといけないのか、全くわからないわよ。」
なんか愚痴ってる。まあ、言いたいことはわかるがな。
「まあ、そこを通してくれたら一番ありがたいんだけど。」
「一応命令が下ってますので戦わないといけません。」
「やっぱり?」
まあ、ただで通れるとは思っていませんとも。
「でないと、大天狗様とか、ほかの天狗に不満をぶつぶつ言われるのですよ。で、ここへは何をしに来たのか一応確認するわね。」
「山の上に最近越してきた神様と話し合うためよ。」
霊夢が答えた。
「あら、霊夢さん。いたんですか。」
「いたわよ、さっきから。それにしても、相変わらず天狗の社会というのはめんどくさいわね。」
「はは、まあ。」
苦笑いをしている。
「裕海が思う存分戦ってくれるから、こっちは最終戦まで力を蓄えられるわ。」
「・・・なんだか便利な道具みたいな物言いだな。まあその神様と戦うための気力を温存しているならまあいいや。」
もうそういうことにしておいてあげよう。
「さあ、手加減してあげるから、本気でかかってきなさい!!」
「手加減はありがたいけど、手加減してくれるのなら通してくれてもいいのに。」

岐符 「サルタクロス」

無色の弾幕が四方八方に広がり、色が変わり、ゆっくりとこっちに来る。少し面倒だけど、あれで何とかなるか。

「七曜弾幕大結界」

少し手間がかかるが、一気にやってしまうよりは面白い。まずスキマを多数開き、弾幕でスキマとスキマをつなげる。そして7方向から弾幕がやってくる。
「あら、めんどくさいスペカね。気を抜いたら当たるじゃない。ならこれならどうかしら?」

風神 「二百十日」

文の周りを弾幕が囲い、勢いよく飛んでくる。これではこのスペカは使えない。あれを使おう。

神変「建御雷命のお怒り」

通常、弾幕に勝るは光線。光線に勝るはそれより強き光線。なので細かい光線で弾幕を撃ち消し、高密度弾幕で攻撃する。これならば、この後同じようなカードが来ても苦しむ必要はない。
「っ!!なかなかやるわね。ならこれで!」

「無双風神」

文が目にとまらないほどすごい速さで飛ぶ。しかも、文自体が光線のようになり、俺の細かい光線を消していく。なるほど、こういうのもありなのか。ばらまいてくる木の葉のような弾幕もなかなかに鬱陶しい。ならば。

天変「ミーティアマジック」

ミーティアとは、流星のこと。つまり、流星魔法。といっても俺は魔法は使ったことがないから、魔法っぽく仕立て上げただけだけど。で、その魔法もどきで高速弾をひたすら撃ちまくるという、やけくそレベルの弾幕。だが、それだけではない。撃って飛んで行った弾幕が、どこかで急停止し、ホーミング弾に変わるのだ。これぞ、
“性能の変化”を入れた弾幕。この能力はスペカで応用しやすいから助かる。まあ文には恐らく当たらないだろうから、あくまで弾幕消しみたいなものだが。ぶっとい光線でやってもよかったが、あれはすごい疲れるからできるだけ使わない。
「ええい、きりがないわ。ラストスペル!」

塞符 「天上天下の照國」

シンプルな弾幕・・・で、すこし罠があるようだ。弾幕の筋が、閉じたり開いたりする。これは避けづらい。ならこれで!

神変「千変万化の花畑」

美しく不思議な花畑が文の高速弾をはじき、容赦なく襲い掛かる。そして、相手の体力を削っていく。そういう意味合いでは、これが一番強力なスペカだ。




「降参です。もうへとへとですぅ。まさかここまで強いとは思ってなかったわ。」
服がぼろぼろになり、両膝をついた。弾幕って服を破くのか。
「ま、とりあえず神様のところに案内してくれるかな。」
「わかっているわ。この前に湖ごと神社を引っ越してきたのよ。」
「湖ごと?・・・ん?そういえば信州のほうに・・・」
「よし、案内しなさい!文!」
「あなたは一切戦闘に加わっていないのに偉そうですね。まあいつものことですけど。」
そう、いつものこと。きっとこれからもずっと。



「こちらです。では、私は仕事がありますのでこれで。」
「ええ、ありがとう。」
文はまたスッと飛んで行った。そのとき、頭にある光景が写った。
「・・・ああ!」
「なっなに!?いきなりどうしたの!?」
「いや、神社を湖ごと引っ越してきたと聞いてね、外の世界のある湖の近くに神社があるところを思い出したんだよ。」
「ふ~ん?」
「そこの祭神は確か・・・」
「建御名方神よ。」
「そうそれ!!・・・で、君はだれ?」
緑の髪で、霊夢とは違った巫女服を着ている。
「あっ!!昨日の謎の参拝客もどき!!」
「え?この人が?」
ふ~ん、なるほど。そういうことか。
「あら、わざわざ山に来るなんて、すぐにうちの神様を勧請したいのかしら。」
「うち以外にも神社はあったのね。」
「幻想郷にあそこしかなかったのか・・・それにしても、わざわざ湖ごと引っ越すなんて、派手なことしたね。」
「ここの山は私と私の神様がいただくわ。そしてあの神社をいただけば、幻想郷の信仰心はすべて私たちのもの。」
「無視かあ・・・せっかく外の世界から来た仲間を見つけたというのに。」
きっといい話ができると思ったんだがなあ。
「あら?あなたもこの外からやってきたのかしら?それであの神社を知っていたのね。」
「ああ、まあね。あの辺はよく自転車で行ってたからなあ。」
「まあその話は今度しましょ。それよりも今は、その巫女に私の力を見せつけるわ。」
「え~、面倒ね。」
「まあ、この人をどうにかするには霊夢がやらなくちゃいけないようだね。」
さすがに神社の事情に俺が入っていくわけにはいかない。
「そうね、じゃあ5分で終わらせるから、美味しいもの作ってきて。お腹すいたわ。」
「ああ、そういえばもうお昼時か。すっかり忘れていた。」
スキマを開き、家で5分でできる料理を作りに行く。・・・5分?
「・・・何あの子、神みたいな力を持っているじゃない。」
「まあそういう能力をもっているからね。便利で羨ましい。さあ、あなたをさっさと片付けてしまいましょ。」
「そう。ならば現人神の力を見せてあげる。奇跡を起こす神の力を!」




5分後、本当にもう終わっていた。
「現人神なら、この子の方がしっくりくるわよ。」
「つ、強い・・・こんな力があってもあなたのところに信仰が集まらないのはどういうこと?」
う~ん、なんだろう。霊夢自体は神じゃないからなあ。
「それは私が聞きたい。あ、裕海。おなかすいたわ~。」
「さっきも聞いたよ。はい、こんなこともあろうかと用意したクランベリークッキー。」
よく考えたら作る必要なかったけどね。まあ少し休憩できたから良しとするか。
「あら、結構おいしいじゃない。」
「あ、君も食べる?」
そういってクッキー入りの袋を渡す。
「あ、ありがとうございます・・・。」
「で?あなたの神様のところに案内してくれるかしら。」
「えっ?あなたの目的は・・・」
「その神様を懲らしめるためよ。」
「あれ?いつのまにか話し合いから実力行使に変わってる?」
「気が変わったわ。少し懲らしめましょ。」



続く。
 
 

 
後書き
15話かきおえました!風神録始まり始まり。で、今少しだけ手が空いてるので2話連続で、風神録前編と後編を出したいと思います。では! 
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