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久遠の神話

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第百四話 最後の戦いの前にその五

「ですから」
「そうですか、そしてその最後の怪物は」
「間違いなく最強の怪物です」
「神話における」
「そしてその怪物は」
「もう聞いています」
 既にと、上城は聡美に対して答えた。
「テューポーンですね」
「はい、あの怪物です」
「まさに神話における最強の怪物でしたね」
「むしろ怪物というよりは」
 聡美は上城の言葉を受けてだ、そのテューポーンについて話した。その怪物はどういった存在かと話したのだ。
「神です」
「確かあの怪物も」
「はい、ガイアとタルタロスの間に生まれた神です」
「純血の神なんですね」
「そうです、神と神の間に生まれた」 
 まさにだ、そう言う他のない存在だというのだ。
「ヘカトンケイルやキュクロプスと同じく」
「そういえばヘカトンケイルは今は」
「タルタロスの番人です」 
 オリジナルのヘカトンケイルはそうなのだ、彼等はゼウスに解放されてから自分達を幽閉していたティターン達の監視役になったのだ。復讐を遂げたと言うべきだろうか。
「そしてキュクロプス達はヘパイストス兄様の助手を務めています」
「そうでしたね」
「そうです、彼等は今はそうしています」
「あの巨人達も神で」
「そしてです」
「テューポーンもですね」
「そうです」
 まさにというのだ、テューポーンもまた。
「純粋な神です、しかも」
「その神の中でも」
「ゼウス父様でなければ相手にならなかった程の強さでした」
「そういえば銀月さんも」
「とてもでした」
 聡美は首を横に振って上城の問いに答えた。
「勝てませんでした」
「そうでしたね」
「あまりにも強かったので」
 狩りの女神、弓矢を自由自在に使える彼女でもだったというのだ。
「逃げるしかありませんでした」
「そうだったんですね」
「はい、それだけの強さがあります」
「それがテューポーンですね」
「そうです、ですから」
「僕が闘うには」
「貴方の今の剣士の力は相当ですが」 
 だが、だというのだ。聡美は確かに上城の今の強さは知っている。しかしその強さを知っているからこそ言うのだ。
「それでもです」
「油断は出来ないですね」
「とても」
 そうだというのだ。
「むしろ。これまでの剣士よりも」
「テューポーンは強いですか」
「あのラドンよりもです」 
 さらにというのだ。
「強いです」
「ラドンはそのテューポーンの子でしたね」
「あの竜もまた」 
 百の首を持ち不死身とさえ言われている、神々から黄金の林檎の番人を任されている程のその竜もなのだ。
「そうです」
「つまり親は」
「はい、子以上に強いです」 
 怪物はそうなるというのだ。
「ですから」
「やっぱり相当にですね」
「覚悟を決められてです」
「闘わないといけないですか」
「その通りです。お気をつけて」
「そして勝てば」
「その時はです」
 まさにというのだ。 
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