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久遠の神話

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第百四話 最後の戦いの前にその二

 その彼の前に智子が来た、豊香もだ。二人は加藤に対してこう言ってきた。
「いいかしら」
「今から」
「剣士の戦いのことか」
 加藤は二人の女神にすぐに応えた。
「あちらのことか」
「ええ、そうよ」
 その通りだとだ、智子が答えた。
「そのことよ」
「後は二人か」
「貴方とね」
「あの高校生か」
「そう、水の剣士よ」
「残り二人になったな」
「他の剣士は皆戦いを降りたわ」
 中田達十一人の剣士はというのだ。
「後は貴方と彼だけよ」
「そうか、ではな」
「戦うわね、彼とも」
「他にどう答えろというんだ、俺に」
 加藤はにこりともせず智子に答えた。
「俺は戦えればそれでいい」
「貴方はあくまでそうね」
「さっきやっていたストリートファイトもだが」
「剣士の戦いもまた」
「俺は戦いが好きだ」
 あくまでだ、純粋にというのだ。
「しかも一対一やそうしたな」
「戦争ではなくなのね」
「戦争には興味がない」
 国家と国家のそれはというのだ。
「俺は堅苦しい規則や法律は嫌いだ」
「戦争は無造作なものではないわ」
 このことは智子も言う、アテナは戦いの女神であるから知っているのだ。戦争のことも当然よく知っている。
「そこには秩序があるわ」
「特に日本の自衛隊はな」
「厳しいわ」
 そうした規則や法律、加藤が嫌うそうしたものについてというのだ。
「世界の軍隊の中でもね」
「そうだ、戦うならだ」
「決まりではなく」
「そうだ。力と力、技と技でだ」
 そうしたものでだというのだ。
「戦うのが好きだ」
「だからなのね」
「俺は軍人になるつもりはない」
 そしてだった。
「戦争にも興味はない」
「あくまで戦うことが好きなのね」
「俺一人でな」
 相手と闘う、それこそが彼が好きな戦いだというのだ。
「それが出来ればいい」
「だから剣士の戦いも」
「俺が生き残ればだ」
 その時はというのだ。
「願う、永遠の戦いをな」
「相手は誰でもいいのね」
「強い。楽しめる相手ならな」
 それでだというのだ。
「俺はそれでいい」
「人でなくてもいいのね」
「人でも怪物でもいい」
 そのどちらでもだというのだ。
「俺は戦いたい」
「そうなのね。だから願うのね」
「俺は戦いたいだけだ」  
 あくまでとだ、加藤は智子そして豊香に述べた。
「それだけだ、あの女神の望むことにも興味はない」
「戦うことだけに興味がある」
「そうなのですね」
「そういうことだ」
 智子だけでなく豊香にもこう話した。
「俺が生き残ればそうする」
「どうしてもなのね」
「考えは変わらない」
 揺るがない言葉だった。
「全くな」
「全くなのね」
「そうだ、何一つだ」
 変わらないというのだった。 
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