| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レインボークラウン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十九話

                 第百二十九話  気になること
 七人でチキンカレーを作ることになっている、しかしここでだ。
 今田先生はふとだった、今日子先生にこう言った。
「ねえ、チキンカレーってね」
「あの娘達が作るカレーね」
「そう、あのカレーだけれど」
 それがというのだ。
「一つ気になることがあるの」
「鶏肉の匂いね」
 今日子先生は今田先生の心配をすぐに指摘した。
「あれね」
「そう、あれが問題よね」
「うん、鶏肉の匂いはあれでね」
「きついから」
「生臭いのよね」
「それが問題だから」
 それでだというのだ。
「あの娘達大丈夫かしら」
「そのこと教えてあげるの?」
「ううん、そうしてあげるべきかもと思うけれど」
 ここで今田先生は微妙な顔になった。そうしてそのうえでだ、今日子先生にこうしたことも言ったのだった。
「私が直接教えると」
「ちょっとよくないわね」
「うん、そうでしょ」
「何でも教えるってこともね」
「あまりよくないから」
「問題はわかることだから」
 大事なのはこのことだというのだ、今田先生は優れた魔女であるだけでなく立派な教育者でもあるのだ。
「だからここはね」
「言わないのね」
「そう、だからね」32
 それで、というのだ。
「直接はね」
「直接言わなくて」
「さりげなくがいいわね」
「そうね、じゃあそのさりげなくをどうするかね」
「さりげなくと言っても」
 それでもだというのだ。
「ちょっと工夫するわ」
「工夫?」
「そう、工夫ね」
「その工夫も面白そうね」
「面白いかどうかはわからないけれど」
 それでもだというのだった。
「ちょとやってみるわね」
「さりげなく工夫しね」
「結構直接かも知れないけれど」
 にこりと笑って言った今田先生だった、そうして。
 今田先生はそっとだがだ、七人に教えることにした。しかし。
 あくまで直接は言わないのだった、そこは教師としての先生の考えからくるものだ。ここはそうした方がいいと思ってである。


第百二十九話   完


                       2014・5・5 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧