時空を渡る精霊
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精霊、高町家に来る
ツンデレってどう書くんだろう・・・書いた事ないからわかんないです。
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ある日、高町家の玄関にて
「ごめんね。美由希、ちょっと買い忘れたものがあったから行って来るわね」
「分かった。気をつけてね」
「それじゃあ、行ってきます」
高町桃子が玄関のドアを開けたときだった。
扉を開けた先がかすかに緑色に光っていた。
「え?」
それを見た桃子は動きを止める。
「母さん?」
後ろから娘の美由季が不思議そうに声をかけながら近づいて光を見る
「な、なにこれ?」
美由季が驚いた後、緑の光の周りに小さな光の球ができ集まっていくそして動きが止まると光は消えていった。
光が消えた後には、4歳くらいの黒い服とマフラーをした金色の髪の小さな男の子が宙に浮いていた。
どうやら少年は眠っているようだ。
桃子はその少年に近づくと少年はゆっくり桃子に向かって降りてきた。それを桃子は抱える。
「母さん、その子……」
「分からないけど、とりあえず起きるまで寝かせてあげましょう」
買い物に行くのをやめて家に戻って少年を寝かせることにした。
そして数分後……
少年は目を覚ます。
「う……、ここは?」
ゆっくりと上半身を起こすと、近くにいた少女、美由季が気付いて。
「あ、起きた。おーい皆―男の子が起きたよー!」
その声に家中から慌しく足音が聞こえてくる。そして扉が開く。
男性二人と、桃子、それに小さな女の子が来た。
少年に近づき、桃子は自己紹介を始めた。
「突然のことで混乱すると思うけどまずは、自己紹介ね。私は高町桃子よ」
それに続き桃子と同年代くらいの男性が
「俺は士郎だ、よろしくな」
次にもう一人の男性が
「恭也だ」
そして少年の横にいた。
「私は、美由季よ」
最後に
「えと、わたしはなのはだよ」
桃子の後ろからなのはが自己紹介をして、一呼吸置いて桃子が
「貴方のお名前聞かせてもらえるかしら?」
少年は少し驚いていたようだがすぐに立ち直り
「……俺は、ラタトスクだ」
「そう、ラタトスク君ね。じゃあ次に貴方はどこから来たのかしら?」
ラタトスクは少し考えてから
「こことは違う別の世界だ」
「別の世界?」
それに高町家の面々は驚く。
「……ああ」
「自分の意思できたの?」
そう聞くと首を振る。そして
「いいや、無理やり飛ばされた」
「「「!?」」」
高町家の面々の顔が強張る。それを見たラタトスクは
「俺を送ったやつらは俺を思ってこの世界に飛ばしたようだ」
「理由は聞いても良いものなのかしら?」
コクリと頷いてから
「俺をこの世界に送り出したやつは俺には休息が必要だと言っていた」
「休息?」
ラタトスクの顔が少しだけ暗くなる。
「おそらく、仲間や親友達と死に別れて落ち込んでると思ったんだろう……いや思っていたんだな」
そこで美由季が聞き辛そうに言う。
「まるで知り合いが皆死んでしまったみたいに聞こえるけど…」
「そうだ。人間の知り合いは全員死んだ」
「人間の知り合い?」
「ああ、人間の知り合い。皆、寿命で大往生だったけどな」
てっきり事故か何かで知り合いを亡くしたと思っていた高町家は驚きつつも、士郎が
「寿命でといってもラタトスク君の知り合いは、皆お年寄りだったというわけでもなさそうだ。それに話を聞いていると君は人間じゃないように聞こえる」
「俺は人間じゃない。精霊だ……」
「精霊……」
「俺と仲間達の寿命は違っていた。最初から死に別れると分かっていた……だから俺は仲間達に……皆のいた世界を見守り続けると誓った。……俺は帰らなきゃいけない」
ラタトスクの苦しそうな声が部屋に広がった。
苦しそうに話すラタトスクを見て桃子と士郎はお互いを見た。
二人は同時に、この子を一人にしてはいけないと思った。
そして士郎が話し出す。
「ラタトスク君。君を送り出してくれた人たちは君に休息が必要だと言ったそうだね?」
「ああ、そうだ。でも必要ない」
「いいや、必要だ。ラタトスク君、この家にしばらく残りなさい」
真剣な表情で言う士郎にラタトスクは疑問に思う。
「なぜそこまで俺を気にかける?」
「君がすごく苦しそうな顔をしてるからだ」
「……」
「俺は、こんな表情をする子供を放っておけない」
「俺はアンタより何倍も生きてるし、子供じゃないんだが……」
「少なくとも見た目は子供だ」
その言葉にラタトスクは自分の姿を見てみると。
「…かなり縮んでるな。あいつらの仕業か」
そして士郎は
「それと君は今すぐ元の世界に戻ることはできないんじゃないか?」
「……」
「……その様子だとできないようだし、少なくとも元の世界に帰れるまでこの家にいなさい」
ラタトスクは士郎の真剣さを見て
「……わかった」
そこで桃子が嬉しそうに笑顔になる。
「ふふ、家族が増えたわね。士郎さん」
「そうだな」
それを聞いたラタトスクは驚きながら。
「ちょっと待て、ここに残るとは言ったが家族になるとは…!」
「ここに残ると言うことはこの家で住むって事。ラタトスク君はまだ幼いし、養子として引き取ったことにすればいいわ」
桃子はとても良い笑顔をしながら言う。
その笑顔を見たラタトスクは何かを思い出したのか、少し微笑みながら
「……まったく、人間はどうしてこう」
「やっと笑ってくれたわね」
「!」
自分が微笑んだことに驚くと桃子はラタトスクを抱きしめた。
「ここでゆっくりしていくといいわ。もうここは貴方の家なんだから」
高町家の面々はそれを笑顔で見ている。
ラタトスクはしばらく感じていなかったものが心にあるのに気付いた。
(暖かい……)
そのまましばらく呆然とするラタトスクを桃子たちは優しく見守った。
そしてラタトスクが落ち着いてから。
「エミルって呼んでくれないか?」
と少し恥ずかしそうに言うラタトスクに士郎は
「愛称ってわけでもなさそうだね」
「俺は人として仲間達といたときにエミル・キャスタニエと名乗っていたんだ。だから仲間からエミルと呼ばれていた」
「なるほど、じゃあこれからは高町エミルだな」
「……そうなるな」
と恥ずかしそうに答えるエミル。
そこになのはが
「なのはのお兄ちゃんになるんだよね?エミルお兄ちゃんって呼んでいい?」
「……ああ」
そして美由季が横から出てきて。
「じゃあ、私のことお姉ちゃんって呼んでね!」
「俺のほうが年上だろ!」
「体はなのはと同じくらいでしょ」
桃子は黙ってる恭也を見てから
「じゃあ、恭也のことはお兄ちゃんって呼ばなきゃね」
「……っな!」
驚く恭也に桃子は微笑みながら
「そうでしょ?お兄ちゃん」
「……分かったよ」
と恭也はしぶしぶ了承した。
その後、エミルは桃子に説得され。
なのはをそのままなのはと呼び
美由季を姉さん
恭也を兄さん
士郎を父さん
桃子を母さん
と呼ぶように説得されてしまった。
それからこれからの生活について話すことになり。
最初はなのはと同じく幼稚園に行かされそうになったが。どんな場所か聞いたエミルは全力で拒否し、何年か後になのはと一緒に小学校に行くことにはしぶしぶ了承した。
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次回予告。原作開始まで一気に飛びます。1話から1話の間の話は外伝になるやも・・・そしてエミルは魔法剣士になります。
エミルの性格変化は、成長?しているのかなって感じです。人として生きた時間はそれなりにエミルを変えたと思うので
では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。
後書き
こんなのエミルじゃない!って方にはすみません。ツンデレって難しいです。
全然ツンデレじゃないラタ様なんてーって方もすみません。
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