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久遠の神話

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第百二話 教会にてその八

「そうしてですから」
「だからだと」
「はい」
 それでだというのだ。
「ですから」
「そう言われるのですね」
「お気に障りましたか」
「それは」
 声は大石に問いにこう返した。
「否定しません」
「やはりそうですか」
「はい、ですが」
「止めることはですね」
「しません」
 何があろうともという口調での返事だった。
「あと少しなのですから」
「だからですね」
「そうです、ここまで来たのです」
 それならというのだ。
「私もです」
「止めずに」
「このままです」
 神話の頃から続けている、それならというのだ。
「続けます」
「そうですか」
「それは貴女にも言っていますね」
 聡美にも言う声だった。
「そうですね」
「はい」
「私の夢なのですから」
 何があろうとも、というのだ。
「私は果たします」
「お姉様・・・・・・」
「言葉はありません」
 このことについて、というのだ。
「ですから」
「私達はそのお姉様を止めます」
 聡美も毅然としていた、今もまた。
「そうしてみます」
「それでは」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 声は気配を消した、後に残ったのは大石と聡美だけになった。二人になると聡美は大石に顔を向けて彼に言った。
「では私もまた」
「帰られますか」
「はい」
 そうすると答えるのだった。
「そうさせて頂きます」
「そうですか」
「何はともあれこれで」
「私も戦いを降りました」
「そして幻の剣士も」
 マガバーン、彼もだというのだ。
「降りました」
「残りは二人です」
 大石は毅然として聡美に答えた。
「上城君と」
「魔の剣士ですね」
 加藤、彼だというのだ。
「二人です」
「そして上城君はです」
「戦いに勝ち、ですね」
「この戦いを終わらせることを言います」
 声、彼女に対してだというのだ。
「間違いなく」
「そうですね、彼なら」
「しかし加藤さんに勝つには」
 上城、彼がそうなるにはというのだ。
「まだ力が足りません」
「もう一戦する必要がありますね」
「そうです、まだ」
 あと少しだというのだ。
「必要です」
「しかしその戦いを経れば」
「彼は加藤さんに勝てるだけの力を備えます」
 そこまで至るというのだ、上城が。 
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