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オズのモジャボロ

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第五幕その十一

「ありのままでいる、それが男の子であることだよ」
「とはいっても僕達も贔屓はしないよ」
 兎の人達は男の子達にこうお話しました。
「そうしたことはね」
「女の子だけ褒めるとかはですか」
「その逆も」
「そう、しないよ」
 それはないというのです。
「絶対にね」
「そうなんですか」
「レディーファーストでもですか」
「レディーファーストと贔屓は違うよ」
「似てもいないわよ」
 そうでもないとです、ここで言ったのドロシーでした。
「レディーファーストと贔屓はね」
「そうなんですね、そこは」
「全く違うんですね」
「レディーファーストはマナー、贔屓は感情よ。それも悪い感情なのよ」
 双方の違いはそうしたものだというのです。
「またね」
「その違いはよくわかっておかないと駄目ですね」
 恵梨香はドロシーの言葉に頷いて述べました。
「よく」
「ええ、贔屓はしてはならないわ」
 それはというのです。
「そこの違いが大事なのよ」
「贔屓はされたら嫌ですからね」
 自分が除け者にされることを好きな人はいません、これは誰でもです。
「本当に」
「贔屓されている人はそれに甘えて変なことにもなるわね」
「はい、そうなりますね」
「だからなのよ」
 それでだというのです。
「贔屓はしたらいけないのよ」
「そういうことですね」
「除け者にされると嫌だし贔屓されている人も駄目にするからね」
「しないことですね」
「絶対にね。公平は最高の美徳の一つだと思うわ」
 ドロシーは笑顔で皆にお話しました。
「それを持っているだけで全然違うわよ」
「人としてですね」
「ええ、だからよく覚えておいてね」
 贔屓をしてはならないということはというのです。
「本当にね」
「わかりました」
「さて、ではね」
 レディーファーストと贔屓の違いをお話してからでした。そのうえで。
 兎の人達にです、ドロシーは尋ねました。
「あの、それで王様は」
「はい、我等の王ですね」
「陛下ですね」
「今は何処にいるのかしら」
「王宮におられます」
「あちらにです」
 そこにです、兎の王様がいるというのです。
「ですから今おいでになられるとです」
「お会い出来ますよ」
「わかったわ、それじゃあね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行は兎の王様のところに向かいました、ですがここで。
 ジョージがです、兎の人達にこう尋ねました。
「今王様は悩んでおられないかな」
「以前の様にですね」
「嫌だ嫌だ王様を辞めたいとかですね」
「そう言っていないかですね」
「その辺りは大丈夫ですか?」
「はい、ご安心下さい」
 これが兎の人達の返答でいsた。
「王様は今とても明るいです」
「陽気に過ごされていますよ」
「毎日が楽しいそうです」
「とてもお幸せです」
「それは何よりです」
 ジョージは兎の人達の返答を聞いて笑顔で頷きました。 
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