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東方魔法録~Witches fell in love with him.

作者:枝瀬 景
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27 一日目~Are you a werewolf.

 
前書き
性質上、会話文の方が長くなって地の文がおざなりになります。ご注意ください。

これは人狼ゲームであって人狼ゲームではありません。おかしいところが多々ありますが大目に見てください。

そしてついにサブタイが三文字に……良いものが思いつかなかったんですよ…。そして英語は当分使い回しになります… 

 
- first day / morning -

村の出入口が埋もれた次の日。いつもと変わらない朝をむかえた。

「あ、おはよう。お父さん」
「おう!おはようクレイ」

昨日あんなに力一杯掘っていたのに、お父さんは全く疲れていなかった。

「クレイー?御飯配ってきて頂戴ー」
「はーいお母さん」

家のドアを開けながら僕は昨日の夜のことを思い出していた。

昨日の明希さんのマジック凄かったなぁ。アリスさんを箱の中に入れて剣で刺したのに、アリスさんは無傷だったもん。でもあの箱と剣はどこから持ってきたんだろう……?

まずは何時も通り、トウキお姉さんの家に向かう。

コンコンとドアをノックするがいつもの通り返事がない。まだ寝ているんだろう。しょうがないね。

僕はドアを開けてトウキお姉さんの家に入り、朝食をテーブルの上に並べてベットに寝ているトウキお姉さんを起こしに向かう。

「トウキお姉さん、朝ですよ。ほら起きて」
「ん…ふぅん……」

僕はトウキお姉さんの肩をゆさゆさと揺さぶって起こそうとする。その度にお姉さんのいい匂いがして揺れる胸を拝むことが出来るのは役得以外の何物でもない。トウキお姉さんに僕が好意を寄せているのは秘密だ。

「ふぁ…おはよう…むにゃ…」
「おはようございます。御飯はテーブルの上にありますからね」
「ふぅん…わかっ…た…」
「二度寝しちゃダメですよ。僕は他の人に御飯配ってきますね」

もうちょっとトウキお姉さんを見ていたいけど他の人達に御飯を配らないといけないからしぶしぶ次の家に向かった。

次はトラドお爺さんのところ。昨日はめちゃめちゃ怯えていたけど大丈夫かなぁ?

トラドお爺さんの家のドアをノックする。トラドお爺さんは早起きなので一回目のノックで出てこない。…あれ?いつもなら一回で出てくるのに。歳だし具合でも悪いのかな?
僕は勝手にドアを開けた。

「トラドお爺さん。御飯もって……うわぁ!」

ドアを開けると無惨な姿でトラドお爺さん死んでいた。
体には右肩から左腰までにかけて何かに引き裂かれた大きな傷跡が五本、平行に走っていた。そしてそこから血がダラダラと溢れ出た跡がある。

僕はトラドお爺さんの変わり果てた姿に驚いて危うく御飯を落としそうになった。

………………………………………
……………………………………
…………………………………

トラドお爺さんを土葬した後、僕達はソンチョさんの家に集まって話し合いをしていた。

「いったい誰がこんなことを…」

イケさんが呟いた。

「決まってる!この中にいる誰かだ!今この村には誰も出入りできない。この中に犯人がいるんだ!」

キョウさんが怯えたように叫んだ。

「…犯人は人狼だ…」

ソンチョさんが静かに言い放った。

「あの傷は獣の爪に引き裂かれたようなものだった。人間ではあのような傷跡をつけるのは難しい。それにトラドさんは何時も言っていたではないか。あの伝承を…!」

「あの伝承って…『夜に住まうものが村に三体現れたとき、この村に滅びをもたらす。阻止するには人狼を占うものと、死者の霊から人狼を見分けるもの、他のものを守るものそれぞれ一人ずつと、それ以外の人狼側ではないもので人狼を突き止めよ』でしたよね?」

僕はトラドお爺さんが何時も言っていたことをすらすらと言った。

「じゃあ人狼はクレイだ!クレイがじいさんに飯を渡すときにおそったんだ!」

キョウさんが叫んだ。

「ちょ、ちょっと待ってください!僕はトラドお爺さんに御飯を持っていっただけです!それにトラドお爺さんの血は乾いていました!もし僕が人狼で御飯を持っていったときに襲ったのなら血が乾ききるわけがありません!」

僕は必死に反論した。

「そうだ、クレイ君の言う通りだ。もしクレイ君が犯人が犯人で今朝、襲ったのなら血は乾いていないはずだ。あの量の血が乾いていることからすると…トラドさんは夜に殺されたんだろう」

ソンチョさんが犯行時刻を推理した。ソンチョさん凄い!マジ(ry

「空気を読まなくてすまんが俺達は出入口を堀りに行ってきていいか?」

ワールさんが言った。

「そうだな…皆も衝撃的なものを見てしまったし、ひとまずここで解散としよう。今度は夕方に話をするがいいかね?」

ソンチョさんの提案に誰も反対するものはいなかった。








- first day / afternoon -

「ついに人狼が動き出したね」

俺はアリスと紅茶を飲みながら話をしていた。

「そうね。でも何で人狼は一人しか襲わなかったのかしら?」
「うーん、紛れ込んだ俺達、魔法使いを警戒して慎重になってるからじゃない?」

クレイが言っていた伝承にある夜に住まうものが人狼だとすると、人狼は三体いることになる。三体で一人を襲えば、例え襲った相手が魔法使いで、反撃されたとしても人狼の勝算が高くなる。

俺達が人狼の数を把握できないように人狼側も魔法使いの数を把握できないはず。つまり人狼は魔法使いを警戒して慎重になっている。あくまで全て仮定の話だが。

「せめて誰が人狼かが解れば此方から仕掛けられるのに…。こんなときに掟に縛られるなんてついてないわ…」

掟によって俺達は空を飛んで帰れないのと同様に、魔法を使って皆の前で堂々と人狼を攻撃することも出来ない。せめて誰が人狼かが解れば、どうにかしておびきだして人間が見ていない内に始末出来るんだけど…

「今のところこれ以上は何もわからない。情報不足だ」
「そうね。この話は終わりにして次は昨日言ってた明希が吸血鬼になった経緯でも聞かせてくれないかしら?」








- first day / evening -

夕食を済ませ、朝の話し合いの続きをするためにソンチョさんの家に集まっていた。

「この村は今、人狼によって脅かされている。このまま何もしなければ毎晩一人づつ人狼によって殺されるだろう」
「じゃあどうすればいいんだよ!」

キョウさんが怒鳴った。

「今から話し合いを再開して日が沈む頃に最も人狼と疑わしいものを投票する。そして一番票が多い人を……処刑する」
「殺すのか!?もっとやり方は無いのか!?閉じ込めるとかさ!」
「人狼を侮ってはいけない。おそらく閉じ込めるなんて無意味だろう。ここは確実に仕留めるために処刑するべきだ。それに何もしなければ殺されるだけだ。これしか手はない。違うか?」

ソンチョさんの問いに皆が無言になった。

「それじゃあ話し合いを始めよう…」

- start the discussion -

「誰が人狼か…心当たりでも何でもいい。誰ないか?」

始めにソンチョさんが言った。

「心当たりならあるわ!きっと最近きたこの二人よ!そうに違いないわ!」

お母さんのアズが明希さんとアリスさんを指差して言った。

「いや、根拠が薄い。それじゃ決定的とは言えない。もし間違って人狼じゃない人を処刑すれば全滅が早まるだけだ」

イケさんが慎重に答える。

「……実は俺、占い師なんだ」
「……!!」

ワールさんがカミングアウトした。

「占い師って…伝承にある『人狼を占うもの』のことですか?」

僕はワールさんに聞いた。

「ああ、普段は秘密にしておかないといけないことなんだが今は非常事態だ。そうもいってられない」
「占い師って人狼を占う時に何か注意することとか無いのか?」

明希さんがワールさんにきいた。

「占い師は言うまでもなく人間側だ。占い師は夜に誰か一人を占うことが出来る。そして人狼か人狼でないかを知ることが出来るんだ」

つまり、誰が人狼であるかを占うことは出来なくて、誰かを占うことでその人が人狼であるかどうかわかることが出来るのか。

「俺は昨晩…何となくソンチョさんを占ってみたんだ。そしたら……ソンチョさんは人狼だったよ」
「……!!」
「……!私は違う!信じてくれ!」

ソンチョさんは人狼だと言われ必死に弁明するが誰もがソンチョさんを人狼だと疑っている。

この後もずっとソンチョさんが違うといい続けてきたが残念ながら日が沈んでしまった。

「……ソンチョさん…」
「最早何を言っても無駄か…ならば私は処刑されるとしよう。私が決めたことだ…」
「でも…どうやって?」
「トラドさんの家を調べたら猟銃が出てきたんだ。きっとこの日のために準備していたんだろう…。さあ、これで私を処刑したまえ…」

ソンチョさんは近くにいた父さんのハータンに猟銃を握らせ自分の頭に銃を突き付けさせた。

「……!ソンチョさん…」
「頼む。決めたことだ」
「くっ!ソンチョさん!すまない!」

チャキ、パーン! 
 

 
後書き
なんか色々ツッコミどころ満載ですね。人狼が一晩に一人しか襲わないとか、処刑に躊躇無かったりとか。でも人狼ゲームはそう言うゲームなんです……細かいところは気にしないでください…頑張って適当な理由でもつけてみます… 
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