オズのモジャボロ
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第五幕その五
「あれはいいスープだよ」
「スープになるのね、お味噌汁って」
「僕から見ればね」
オズの国にいるお鍋から見ればです、お味噌汁はスープの一種だというのです。恵梨香にこのことをお話します。
「そうなるよ」
「私はお味噌汁はお味噌汁だけれど」
「スープとはまた別だっていうんだね」
「味噌スープっていうけれどね」
それでもだというのです。
「お味噌汁はお味噌汁よ」
「こだわりがあるんだね」
「そうなの」
「そういえば君髪の毛と目の色が黒いね」
お鍋は恵梨香の外見のことをここで指摘しました。
「日本から来た人かな」
「そうよ。日本人よ」
「だからお味噌汁にはこだわりがあるんだね」
「大好きよ、お味噌汁」
「成程ね、だから僕が何を煮るのか一番好きなのはお味噌汁だろうっていうんだね」
「そうなの?違うかしら」
「実は僕はスープよりシチューの方が好きなんだ」
中に入れて煮るものはというのです。
「とろりとしたね」
「あら、そうなの」
「それもビーフシチュー、ビーフシチューが一番好きなんだ」
「それはどうしてなの?」
「どうしてかっていうと困るね」
お鍋はドロシーの今の言葉には首を傾げさせてこう言いました。
「好き嫌いだからね」
「理由はないけれど好きなの」
「好きになる理由が必要ない時もあるじゃない」
「それが貴女の場合はシチューなのね」
「そうなんだ、ビーフシチューなんだ」
まさにそれだというのです。
「僕はね」
「成程、そうなのね」
「そうだよ、じゃあ今から王様のところに行くのかな」
「ええ、そうさせてもらうわ」
ドロシーがお鍋に答えました。
「これからね」
「じゃあ王様はキッチンにいるから」
キッチンランドの中の、というのです。
「一番大きなキッチンにね」
「あそこね」
「そう、あそこにいるよ」
「わかったわ、じゃあ皆来てくれるかしら」
ドロシーは五人に顔を向けて笑顔でこう言いました。
「私達が案内するから」
「キッチンランドで一番大きなキッチンにですか」
「そこにですか」
「ええ、そうよ」
そこにだというのです。
「今から行きましょう」
「はい、じゃあ案内お願いします」
「キッチンまでの」
「こっちよ」
こうお話してでした、そのうえで。
どろしー達は五人をそのキッチンに案内しました。そのどんなレストランのキッチンよりも大きなキッチンにおいてでした。
様々な食器達があれやこれやとお話しています、何か色々と食べもののお話をです。そしてそこにでした。
ドロシー達を見てです、そのお話を中断して皆に挨拶をしてきました。
「ああ、王女ではないか」
「ドロシー王女お久しぶり」
「モジャボロさんもおられるね」
「トトも元気そうだね」
「それに新しいお客さん達も」
「私達のお友達よ」
ドロシーはキッチンにいる人達にも五人を笑顔で紹介します。
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