プレジデント
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第二章
第二章
そしてだ。さらにだった。外交政策、とりわけ貿易政策にもだ。
日本や中国に対してだ。何かと強硬派の国務長官や商務長官、通商代表を出してだ。そのうえでだ。
一切妥協せずにだ。合衆国の主張を言う。それに対してだ。
日本側も中国側もだ。かなり困惑した。
「アメリカの主張はわかるが」
「それでもこう言うか」
「これはかなりな」
「完全にアメリカの主張じゃないか」
「こんなの認めたらそれこそ」
「こちらは困るなんてものじゃない」
「弱ったぞ、これは」
しかもだった。
「相手は手強いしな」
「要求を何としても飲ませようとする」
「どうする、本当に」
「こちらの打つ手はあるのか」
こう言ってだ。日本側も中国側も弱り果てた。これが水面下での話だった。
しかしだ。本格的な交渉においてはだった。
ストーブンソンはだ。商務長官や国務長官にこうした案を提示したのだった。それを見てだ。その長官達がそれぞれ言ったのである。
「随分と穏やかですが」
「水面下で向こうに提示した要求よりも遥かに」
「これを日本にも中国にも出しますか」
「そうされるのですね」
「ええ、そうして」
まさにそうしろとだ。ストーブンソンは長官達に言った。
彼女は今ホワイトハウスの大統領の机にいる。そこから彼等に話していた。
「わかったわね」
「しかしこの案はです」
「日本にも中国にも譲歩していますが」
「それもわりかし」
「けれどこちらの利益にはなっているわ」
ストーブンソンは確かな声で彼等にこの事実を述べた。
「だからね」
「いいのですか」
「そうだというのですか」
「ええ、では御願いね」
あらためて彼等に話した。こうしてだった。
そのかなり穏やかな案がだ。日本側にも中国側にも出された。その案を見てだ。日本の首相も中国の国家主席も目を丸くさせて側近達に問うた。
「本当にこの案なのか」
「アメリカの案なのか」
「はい、そうです」
「実際にあちらから提示された額です」
まさにそうだというのである。彼等の側近達もだ。
「こう言ってきていますので」
「これでいいと」
「信じられない。あれだけアメリカに一方的な案を強硬に言ってきたというのに」
「今はこの程度か」
「本当に急に穏やかになった」
「信じられない位にな」
日中両国の首脳達も驚きを隠せない。しかしだ。
彼等はその案についてだ。それぞれこう言った。
「しかしこれならな」
「受け入れられる」
二人共だ。自分達の国を考えて述べた。
「あの案はこちらも絶対に無理だったが」
「この案なら安心して受け入れられる」
「我が国の国益にもなる」
「これでいいとおもう」
彼等は快諾した。こうしてだった。
アメリカは日中両国との外交や貿易における問題のかなりの割合を解決したのだった。このことにも世界は驚くことになった。
「最初はどうなるかと思ったけれどな」
「どうも最初はかなり強硬な案を声高に主張したらしいけれどな」
「ある意味アメリカらしくな」
アメリカのイメージは健在だった。
「けれど実際はな」
「ああ、穏やかだよな」
「しかもアメリカの利益にもなる」
「いい案だな」
こうだ。ストーブンソンが実際に両国に提示した案は他国の人間が見ても冷静にいいと思えるものだった。驚きは明らかな好評だった。
これでストーブンソンの評価はまたあがった。しかもだ。
太平洋の他の国々、とりわけASEAN各国がだ。
ストーブンソンが思いの他話のわかる人物だと見てだ。積極的に話をしてきた。ストーブンソンは日中両国から太平洋諸国との関係も親密化させた。
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