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オズのモジャボロ

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第三幕その八

「今度はね」
「はい、兎の国ですね」
「そこにですね」
「行くよ、いいね」
「わかりました」
「それじゃあ」
 五人も応えてでした、そのうえで。
 皆でチョッキンペットにお別れを告げて村を後にしました。紙の小さな人達がくるくると踊って皆を送ってくれました。
 そうしてです、チョッキンペットも言うのでした。見送りの場で。
「じゃあエメラルドの都でね」
「また会いましょう」
 ドロシーが笑顔で応えます、お互いに手を振ってなのでした。
 一行はまた旅に入りました。その道中で、です。
 ふとです、恵梨香は右手の方を見てモジャボロに尋ねました。
「あの、赤くて大きな草が見えますけれど」
「ああ、あの草だね」
「あの草は何ですか?」
「あれは匂い草だよ」
「匂い草?」
「人食い草の亜種でね」
 こうした草の名前も出てきました。
「マンチキンの国にあった」
「あのオジョさんやつぎはぎ娘さん達が捕まった」
「あの草ですか」
「そう、あの草の亜種なんだ」
 それが匂い草だというのです。
「オズの国のあちこちに生えているんだよ」
「あの、人食い草の亜種って」
 どうかとです、恵梨香はモジャボロの話を聞いて顔を曇らせて言いました、。
「大変ですよね、捕まったら」
「あの草は捕まえないよ」
「そうなんですか」
「ただ匂いがするだけで動かなくて」
 それでだというのです。
「安心していいよ」
「そうですか」
「ただ匂いがね」
 それがというのです。
「凄いんだよ」
「そうなんですか」
「だからあまり近寄らない方がいいよ」
 それはというのです。
「もうとんでもない匂いだから」
「具体的にどんな匂いですか?」
「くさやってあるね」
 モジャボロは恵梨香に言いました。
「あの日本の」
「ああ、あれですか」
「それと臭い豆腐とウォッシュチーズの強烈なものを一緒に入れた」
「そうしたものをですか」
「しかもそこにね」
 さらにだというのです。
「あのスウェーデンの缶詰も入れた感じだよ」
「ああ、あの」
「あのとんでもなく臭いあれですか」
「僕達それ知ってます」
「あれは酷いですよ」
「とんでもないですよ」
 五人共です、ここでこう言い合いました。
「うちの学園スウェーデンからの留学生もいますけれど」
「その子がわざわざスウェーデンから持って来たんですけれど」
「一回学園で開けたんです、その缶詰」
「するともう酷い匂いで」
「クラスの中が大変なことになったんです」
「というかあんなのをお部屋の中で開けたんだ」
 モジャボロの方がです、びっくりして五人に尋ね返しました。
「それはね」
「はい、後で知りました」
「あの缶詰はお外で開けるものなんですね」
「あまりにも臭いから」
「とんでもない臭いだから」
「それで」
「いや、そんなことをしてはいけないよ」
 とてもだというのです。 
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