オズのモジャボロ
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第三幕その三
「ううん、僕としてはね」
「カルロスはせっかちだからね」
「だからだね」
「もどかしいよ」
こうして慎重に進むことはです、ジョージと神宝に言うのでした。
「こうした状況はね」
「けれど我慢だよ」
モジャボロは自分もそろそろと歩きながらそのカルロスに言います。
「わかっているよね、このことは」
「はい、気をつけています」
「ならいいよ」
こうしたやりとりもしました、ここで。
皆は村の小さな人達を見てです、今度はジョージが言いました。
「そうそう、兵隊さん達はつながっているけれど」
「他の人達はね」
神宝がジョージに応えます。
「つながっている人達もいればね」
「そうじゃない人達もいるね」
「この辺りはそれぞれだね」
「そうだよね」
「そうなの、皆ミス=チョッキンペットが作っているけれどね」
ドロシーがジョージと神宝にお話します、このことについて。
「人によるのよ」
「つながっていたりそうでないかは」
「それにその人達の外見もですね」
「それぞれですね」
「ミス=チョッキンペット次第ですね」
「そうなの、この村はチョッキンペットの村だから」
だからだというのです。
「チョッキンペットがどうした人達を作るかなのよ」
「あの人次第ですね」
「どういった人達になるのかは」
「そう、けれどあの娘はとてもいい娘だから」
ミス=チョッキンペットはというのです。
「作る人は皆丁寧に作っていて公平に愛情を注いでいるのよ」
「それ凄いことですよ」
恵梨香はミス=チョッキンペットの公平さを聞いてこうドロシーに言いました。
「これだけ多くの人を丁寧に作って公平に愛せるなんて」
「恵梨香もそう思うでしょ」
「はい、普通は出来ません」
誰もに公平に、とはです。
「贔屓ってありますから」
「そこがあの娘の凄いところなのよ」
ミス=チョッキンペットのです。
「だからこの村も栄えているのよ」
「ミス=チョッキンペットだからですね」
「ええ、そうよ」
「そうなんですね、そして今から」
「ええ、あの娘に会うわよ」
こうしたお話をしてでした、一行は木造の洒落たお家の前に来ました。玄関の表札にはミス=チョッキンペットと書かれています。
その表札を見てです、ナターシャがモジャボロとドロシーに尋ねました。
「このお家がですね」
「うん、そうだよ」
「ミス=チョッキンペットのお家だよ」
まさにこのお家こそがだとです、二人もナターシャに答えます。
「では今からね」
「チャイムを鳴らすからね」
「はい、お願いします」
こうしてお家のチャイムを鳴らすとです、お家の中から。
飾り気のない赤い木綿のドレスの上に紅のエプロンを着けたドロシーと同じ位の年齢の女の子が出てきました、目はトルコ石の様な綺麗な青で見事な金髪です。頬は薔薇色で歯は象牙の様に白いです。その娘がでした。
ミス=チョッキンペットです、チョッキンペットは恵梨香達を見てからドロシーに尋ねました。
「この子達がなのね」
「そう、手紙で知らせた通りね」
「貴女の世界から来た子達ね」
「そうなの、ただこの子達はオズの国の名誉市民でね」
「定住はしていないのよね」
「ええ、そうよ」
このこともお手紙に書いた通りだというのです。
「この子達はね」
「そうなのね」
「ところで貴女に渡したいものがあって」
「ええ、中に入って」
お家の中にというのです。
「詳しいお話をしましょう」
「それじゃあね」
「モジャボロさんとトトもね」
チョッキンペットは二人にも声をかけました、そしてです。
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