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戦国異伝

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第百六十話 四人の男達その四

「楯岡道順」
 着流しの男だ、ほっそりとした顔立ちの美男と言っていい顔だ。
「音羽城戸」
 最後は小男だ、編笠の下に丸い目と横に大きな口がある。
「御主達三人がおるな」
「共に十二家の我等が」
「こうして」
「そうじゃ、我等四人に高田、津々木にな」
 百地は不意にという感じで名前を挙げてきた。
「杉谷、無明にじゃ」
「以心崇伝、天海」
「松永もですな」
「あの者も」
「我等十二家」
 こう言うのだった。
「そのうちの四家が伊賀にありじゃ」
「忍の姿で生きている」
「そうですな」
「それが我等ですね」
「その通りじゃ、そして我等のことはじゃ」
 その百地達はというのだ。
「決して誰にも気付かれてはならぬのじゃ」
「何があろうとも」
「左様ですな」
「そうじゃ」 
 だからこそだというのだ。
「我等はな」
「何があろうともですな」
「ここは、ですな」
「雑賀衆がおらぬ方がよい」
「左様ですな」
「折角顕如にも気付かれぬ様にしておるのじゃ」
 本願寺の法主である彼にもだというのだ。
「だからこそじゃ」
「雑賀衆はおらぬ方がよい」
「実に好都合であると」
「だからですな」
「ここは我等で戦うべき」
「左様ですな」
「そうじゃ、暫くここで織田家と戦いじゃ」
 そうしてだというのだ。
「後は・・・・・・よいな」
「長老のお言葉通り」
「そうされますか」
「ここは」
「紀伊に下がるぞ」
 これが老人の考えだった。
「よいな」
「そして織田家を紀伊の戦に引き込み」
「疲れさせてですな」
「今は石山を攻めさせぬ」
「そうしますな」
「今は石山には滅んでもらっては困る」
 だからこそろいうのだ。
「織田家には我等と戦ってもらい」
「石山にはですな」
「攻めさせぬ」
「そうされますか」
「うむ」 
 その通りだとだ、百地は三人に答えた。
「是非な」
「では、ですな」
「ここはですな」
「何とか織田家を疲れさせ」
「戦を長引かせますか」
「本願寺を生き残らせて」
「是非にも」
 三人も百地に言ってくる。
「そうじゃ」
 百地が応えるとだった、三人も。 
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