実験材料
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第五章
「どうするかです、そのことは」
「そうですね、そのことをどうするか」
「それが問題ですね」
「そうですね、死刑囚は」
どうするべきかだ、マルケッロはこのことについても考えだした。しかしこのことには歴史からやり方を学んだ。
それでだ、こう言うのだった。
「ここは強制労働でしょうか」
「死刑囚をですか」
「はい、強制労働に使えば」
そうすればどうかというのだ。
「その強制労働の有様を動画に出すこともいいですし」
「そうですね、それはそれで」
「いいですね」
「はい、それでは」
こうして話が決まった、それでだった。
マルケッロは自分が出す法案を訂正させた、それは二つになった。
今度の法案については問題がなかった、小動物のクローンで実験が行われることになり死刑囚は死刑に処される以外に強制労働で死ぬまで酷使されるルートも出来た。こうしてだった。
実験と死刑囚の問題は解決した、少なくとも。
オリジナルのマウスやモルモット達は無事になった、クローンなので実験に使ってもいいだろうという考えでだ。
それが出来た、しかしだった。
クローンも命だ、こういう意見も出たのだった。
「やはり命がある」
「クローンも命があるぞ」
「だからオリジナルを使わないにしても」
「可哀想じゃないのか」
「そうじゃないのか」
こうした意見も出たのだった、だが。
この意見を聞いてだ、マルケッロは頭を痛めてこう言った、今度は頭を抱えるのではなく痛めているのだった。
「ああすればこうするですね」
「そうですね、本当に」
「一つの問題を解決しましても」
それでもだとだ、スタッフ達も言うのだった。
「こうしてですね」
「また問題が起きますね」
「死刑囚の問題は解決しましたが」
「実験については」
「どうしたものか」
「まああれですね」
何処か達観した感じになってだ、こう言ったマルケッロだった。
「これが政治ですね」
「一つの問題を解決してもですね」
「また次の問題が出てきますね」
「そしてその問題にしてもですね」
「異論が出ますね」
「そうです、政治といいますかそれが世の中ですね」
こうも言うのだった、その達観から。
「問題は次から次に出て来まして」
「その問題の解決も異論が出る」
「それぞれの考えや立場から」
「しかもそこに利権だの信念だのが加わって」
それでだというのだ。
「難しくなります、複雑化します」
「迷路か結び目みたいですね」
「そうですね、世の中は全て」
迷路か結び目だというのだ、実際に。
「そうしたものです」
「ですか、じゃあ政治はですね」
「そうした中で進んでいくものですね」
「そういうことですね、私もsのことは頭に入れて」
そのうえでだとだ、マルケッロは達観のまま話していく。
「政治家として働いていきます」
「では私達も」
「その先生と共に」
政治に携わっていくと答えるのだった、スタッフ達も。動物の実験材料と死刑囚の問題はとりあえずは解決した。しかしそれでもだった。
釈然としないものが残りしかもまた別の問題が見えてきていない訳でもなかった。しかしマルケッロもスタッフ達もその中で政治家、そのスタッフとして生きていくことを誓うのだった。それが政治であると達観し受け入れたうえで。
実験材料 完
2014・1・25
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