機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~
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第三十二話 エターナル撃沈
前書き
ステーション1へと出撃したアレックスとシン。
そして…。
メサイアからステーション1に向けて出撃したデスティニーとセイバー。
2機は凄まじい機動でステーション1に向かうオーブ軍とラクスに寝返ったザフト軍を瞬殺する。
アレックス「ナオト!!みんな無事か!!?」
ナオト「アレックス!!」
アレックスが仲間の機体を見れば、機体に少々の損傷はあれど戦闘に支障はないようだ。
レイ「アレックス!!アカツキに乗っているのはネオ・ロアノークです!!」
ムウ「だから俺はムウだって言ってんだろ!!」
アレックス「フラガ少佐?ええ!?」
目を見開くアレックスにハイネが叫ぶ。
ハイネ「アレックス!!戦闘に集中しろ!!フリーダムが来るぞ!!」
全員【!!】
ミーティアを装備したストライクフリーダムがビームソードを振るう。
シン「やらせるか!!」
ビームソードをかわし、デスティニーの光の翼を展開するとアロンダイトを構えてストライクフリーダムに突撃する。
キラはミーティアに装備されているミサイルを放つ。
シンはそれを回避しつつ、アロンダイトをミーティアに叩き込む。
切り裂かれたミーティアはアロンダイトと共に爆散する。
シン「アレックス!!フリーダムは俺に任せて、アレックスはAAとエターナルを!!」
アレックス「ああ!!」
キラ「アスラン!!何故こんなことに力を貸すんだ!!?」
アレックス「…………」
キラの問いに答えず、アレックスはセイバーをMA形態に変形させるとAAとエターナルに向かう。
キラ「待つんだアスラン!!」
シン「アレックスを追うんならまず俺を倒してからにするんだな!!」
キラ「どうして君はいつも僕達の邪魔をするんだ!!」
シン「最初に攻撃してきたのはあんただろう!!あんたのせいでミネルバのクルーやステラの仲間が!!」
キラ「そうやって後ろを振り向いてばかりじゃ仕方ないじゃないか!!」
シン「違うね!!あんたはそうやって辛い過去を見ないようにしてるだけだ!!過去から逃げてるだけだ!!」
キラ「そんなことはない!!」
シン「だったら俺に勝ってそれを証明してみせろ!!というか戦場に出て憎まれないとでも思ってんのかあんたは!!?」
キラ「憎いから殺したって憎しみの連鎖が続くだけじゃないか!!どうしてそこまでしてラクスに歯向かおうとするんだ!!彼女は本当は戦いたくないのに!!アスランもどうして議長に従うんだよ!!?」
シン「終わりかけていた戦争を自分勝手な考えでまた引き起こしておいて何を言ってやがる!!アレックスだって、あんたらの都合のいい人形なんかじゃない!!」
MSとしては最高峰の性能を誇るストライクフリーダムとデスティニーがぶつかり合う。
キラ「デュランダル議長を止めないと世界が滅ぶかもしれないんだぞ!!」
シン「勝手な理屈と正義で自分を正当化するな!!」
キラ「いい加減にしろ!!君はラクスの言葉を聞いていなかったのか!!?」
シン「あんなに非常識な奴を見たのは生まれて初めてだ!!悪意が無い分、ブルーコスモスやジブリールより数段タチが悪いぜ!!」
はっきり言って自分からすれば、明確な悪意を持っていたジブリールの方がまだマシに見える。
キラ「君はどうしてラクスの言葉が分からない!?」
シン「あんたらは勝手な理屈と正義を押し付けて…それで一体どこまでこの世界を傷つければ気が済むんだ!!」
キラ「これ以上邪魔をするなら…僕は君を討つ!!」
シン「やれるならやってみろよ…人形野郎!!」
ストライクフリーダムは背中のウィングからドラグーンを射出してデスティニーに向けて放つ。
射出されたドラグーンはデスティニーの周囲に展開してビームを浴びせようと迫っていくが…。
レイ「シン!!」
シン「来るなレイ!!それに…」
援護しようとするレイを制して意識を集中。
“種”が割れる。
キラ・ヤマトのドラグーン操作はシミュレーションで経験したレイのドラグーン操作に僅かに劣る。
だから…。
シン「丸分かりなんだよ!!」
ビームライフルを構え、ドラグーンが移動する場所を先読みし、2基のドラグーンを撃墜。
キラ「っ!?」
今のシンにとっては、空間認識能力を持つようになって間もないキラが操るドラグーンの動きはさほど脅威ではなかった。
パルマ・フィオキーナでドラグーンを1基掴み、粉砕し、フラッシュエッジを投擲、再びライフルを放ち、ドラグーンを全て撃墜する。
シン「どうだ?あんたご自慢のドラグーンは全て墜としてやったぜ?」
キラ「ドラグーンがそんな簡単に!?」
シン「レジェンドのドラグーンに比べて動きが直線的過ぎるんだよ。だから軌道が分かりやすい。それに俺は仲間達の想いも背負って戦ってる。あんたみたいな奴から世界を守るって想いをな!!!」
クレア「シン…」
ルナマリア「ちょっと格好いいじゃないのよシン…」
シン「決着をつける!!そして少しでも早くこの戦争を終わらせる!!」
キラ「僕達だって世界を、平和を守るために戦ってるんだ!!君には負けない!!」
シン「自分達に従わない奴を全てを殺すなんて平和を守るとは言わねえんだよ人形野郎!!」
デスティニーの長射程ビーム砲、ストライクフリーダムのカリドゥス複相ビーム砲がぶつかり合う。
ハイネ「あいつら派手にやってやがるな!!さて、ヒルダ。そろそろ決着をつけないか!!?」
ヒルダ「上等だハイネ!!今度こそジェットストリームアタックで墜としてやるよ!!」
ハイネ「来な!!」
ヒルダ、マーズ、ヘルベルト「「「ジェットストリームアタック!!!!」」」
縦に並んだドムがハイネのデスティニーに向かう。
ハイネはデスティニーのスレイヤーウィップをムラサメを絡め取り、ドムに投げつける。
ムラサメは爆散するが、ドムはダメージを受けていない。
ヒルダ「隠れようったって無駄だハイネ!!」
ハイネ「隠れる?何のことだかなあ!!?」
ヒルダ「なっ!?」
煙が晴れるとヒルダのドムの目の前にはハイネのデスティニーがアロンダイトを構えて突撃していた。
対艦刀の中でも最長を誇るアロンダイトは3機のドムを容易く貫いた。
ハイネはドムの核爆発に巻き込まれないように直ぐさま距離を取る。
ドムは核爆発を起こし、宇宙の塵となった。
ハイネ「ドムの防御力を過信しすぎたなヒルダ」
ハイネが辺りを見回すと、ナオト達はステーション1に向かうMSを迎撃していた。
溜め息を吐いた後、ハイネはデスティニーをステーション1に向かわせる。
エターナルに接近するセイバー。
ビームサーベルを展開し、ブリッジを叩き切ろうとしたその時であった。
イザーク「止めろ!!エターナルはザフトの艦だ!!」
アレックス「っ!?」
割って入って来たグフにアレックスは目を見開いた。
アレックス「イザーク!!どういうつもりだ!?血迷ったか!!?」
イザーク「アスラン、貴様分かっているのか!!エターナルにはラクス・クラインが乗っているんだぞ!!」
アレックス「分かっている!!彼女がもう戻れないところに行ってしまった事もな!!」
セイバーのバーニアを一気に吹かし、イザークのグフに突っ込む。
イザーク「っ!?」
アレックス「この、馬鹿野郎!!」
イザークのグフは一瞬で頭部と四肢を両断された。
ディアッカ「イザーク!!」
ディアッカのザクがイザークのグフの胴体を受け止める。
バルトフェルド『おい!!イザーク・ジュールを連れて来い!!』
ディアッカ「はあ!?何でだよ!!?」
バルトフェルド『別の機体をくれてやる!!だから早く来い!!』
ディアッカ「っ…了解!!」
ディアッカのザクがエターナルに着艦する。
アレックス「チッ…」
追い掛けようとするが、ムラサメ部隊がセイバーにビームを放つ。
アレックス「あいつらは一体何をするつもりだ!!?」
ムラサメの攻撃を捌きながら苛立ちを隠さずに言うアレックス。
レイ「ネオ・ロアノーク、いい加減墜ちてもらおうか!!」
ムウ「だからムウだ!!しかし、この感じは奴に…」
レイ「似ているか?当然だ。俺は貴様の父親のクローンだからな。」
ムウ「何だと!!?」
レイ「俺はラウと同じお前の父親、アル・ダ・フラガのクローンだ!!」
そしてアカツキに向けてレイがレジェンドのドラグーンを射出する。
ムウ「?アカツキにドラグーンのビームは効かんぞ!!」
レイ「知っている」
ムウ「何?ぐっ!?」
突如衝撃と共にシラヌイパックが爆散した。
ムウ「ドラグーンに内蔵されたビームスパイクか…!?」
レイ「アカツキの装甲は確かに強力だが、実弾、ビームサーベル系統の近接武器には弱い。一度アカツキと戦ったからな、その機体の弱点は既に把握している。」
ムウ「そうかい…だがな…俺は不可能を可能にする男なんだよお!!」
レイ「はあああ…!!」
再びぶつかり合う両者。
しかし、バックパックを失ったアカツキがハイパーデュートリオンエンジンを搭載したレジェンドにパワーで勝てるわけがなく、徐々に押され始めていく。
ムラサメ部隊を全滅させたアレックスが見たものは、オーブ戦でバルトフェルドが搭乗したジャスティスの後継機、インフィニットジャスティスであった。
イザーク「ここで止めさせてもらうぞ、この貴様が乗るはずだったインフィニットジャスティスでな!!」
アレックス「……イザーク…いや、もう何も言わない。行くぞ!!」
セイバーとインフィニットジャスティスがビームサーベルを抜き、同時に激突する。
ナオト「アレックス…」
ディアッカ「おっと、邪魔はさせないぜ?」
ナオト「ディアッカ、それとシホさんだっけ?あなた達もラクス・クラインにつくの?」
ディアッカ「仕方ないでしょ、隊長がそう決めたんだし」
ナオト「そう…」
ルナマリア「ナオト!!ここは私達に任せて!!」
ステラ「ナオト、行って!!」
ナオト「ルナマリア、ステラ…分かった、気をつけて!!」
ナオトはディアッカとシホをルナマリアとステラに任せて自身はAAに向かう。
アレックス「やるなイザーク!!前より腕を上げたんじゃないか!?」
イザーク「ふん!!いつまでも昔のままだと思うなよ!!しかし…こうやって勝負してると昔に戻ったようだなアスラン!!」
アレックス「昔?ああ、アカデミーの頃もクルーゼ隊の時も互いに競いあったなシミュレーションでも射撃でもナイフでもチェスでも!!」
アカデミー時代からアレックスとイザークは互いにライバルと認め、互いに競いあった。
イザーク「あの時はニコルもラスティもオロールもいたがな……。」
イザークはアカデミーを共に卒業し、戦死した仲間達を思い浮かべた。
アレックス「………」
イザーク「だが、今はこの戦闘に全てを捧げるのみ!!行くぞアスラン!!アカデミーから続く因縁を今ここで!!」
アレックス「ああ、来い。イザーク!!」
互いにライバルと認め合ったアレックスとイザークがセイバーとインフィニットジャスティスのシールドのビームサーベルを展開し、再び激突する。
シン「どうしてお前らは人を平気で傷つけること出来るんだ!!」
キラ「平気なんかじゃない!!でもラクスのためには仕方ないんだ!!」
ストライクフリーダムの振り下ろしたビームサーベルがデスティニーに掠る。
シン「何でそこまで奴にこだわるんだ!!」
キラ「彼女は僕に優しくしてくれたんだ!!」
シン「そんな勝手な理屈!!認めるかああああああ!!!!」
フラッシュエッジで横薙ぎするがストライクフリーダムは膝を落として回避する。
シン「今だ!!」
左のパルマ・フィオキーナでストライクフリーダムの右肩を粉砕した。
対するストライクフリーダムもカリドゥス複相ビーム砲でデスティニーの右脚を吹き飛ばす。
シン「ぐっ!?」
右脚を失ったことでデスティニーはバランスを崩すが、残った左足で蹴り飛ばした。
ナオト「こちらザフト軍特務隊、ナオト・フジワラです。AA、聞こえますか?速やかに武装解除して降伏してください。こちらは、あなた方をテロリストとして貴艦を撃墜することも辞さない」
マリュー『AA艦長、マリュー・ラミアスです。貴女の申し入れに感謝します。ですが、残念ながらそれを受け入れる事は出来ません。本艦にはまだ仕事があります。今一つになろうとしている世界に、私達はただ邪魔な色なのかもしれません。ですが、だからこそ今ここで消える訳にはいかないのです。守るべきものの為に』
ナオト「…勧告はしました。墜とさせて頂きます!!」
ストライクノワールがAAに向けてリニアガンを放つ。
ラミネート装甲を持つAAには実弾兵器の方が有効だ。
ハイネのデスティニーがエターナルに向かう。
ハイネのデスティニーに一機のMSが立ちはだかる。
ハイネ「あれはグフか?それにしては…」
バルトフェルド「これはグフじゃない。ゲルググと呼ばれるMSさ。」
ハイネ「ゲルググ?確かMSコンペティションでザクに負けた機体だったよな?ドム同様、改良を加えたのか…?」
グフと同型のフライトにビームナギナタ、ビームライフル、ビームシールド発生装置を内蔵したシールド。
武装はオーソドックスな物だが油断は出来ない。
バルトフェルド「悪いが俺達も必死なんだ。墜とさせてもらうぞ!!」
ハイネ「上等だぜ!!」
ハイネのデスティニーとバルトフェルドのゲルググが激突する。
ゲルググのビームナギナタが振るわれ、デスティニーのビームシールドを展開するが、ビームシールドごと左腕を断ち切られる。
ハイネ「なっ!?ビームシールドが!?どんなビームナギナタだよそりゃあ!!」
バルトフェルド「ザクやグフとは違うんだよ」
ハイネ「くそったれ!!」
左腕を失いデッドウェイトとなる長射程ビーム砲をパージし、フラッシュエッジを抜いてゲルググに向かう。
アレックス「はあああああ!!」
イザーク「チッ!!」
セイバーとインフィニットジャスティスの戦闘は僅かにセイバーが優勢である。
イザークが機体慣れしていないこともあるが、アレックスはジャスティスに乗っていたためにジャスティスがどのような機体なのかを理解している。
ジャスティスはプロヴィデンスやフリーダムと比べてスタンダードな武装が多く、非常にバランスが良い機体だ。
しかし逆に言えば攻撃面での決め手に欠けている。
故に攻撃は手数と小回りの良さに依存せざるを得ない。
それさえ防いでしまえば充分勝機はある。
ストライクフリーダムはデスティニーが。
インフィニットジャスティスはセイバーが。
アカツキはレジェンドが。
ゲルググはデスティニーが。
ザクはガイアが。
グフはインパルスが。
AAはストライクノワールが抑えている。
今、エターナルはがら空きの状態。
それを見ていたクレアはデスティニーインパルスを一気に加速させ、エターナルのブリッジに。
クレア「エターナル!!これが最後だ!!」
それを見たラクスは拳を握り締め、こみあげる苛立ちに僅かにであるが震えていた。
ラクス「どうして私がここまで…世界のために私は戦っているのにどうして…!!」
クレア「喰らえええええええええ!!!!」
エクスカリバーをブリッジに向けて振り下ろし、テレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔のビームを叩き込む。
やがて小さな爆発が起こり始め、それが段々と大きな爆発と変わってゆき、エターナル全体に広がっていった。
エターナル撃沈をアレックス達は確かに見届けた。
イザーク「エターナルが…」
アレックス「クレア…やったのか…」
かつての婚約者が死んだことにアレックスの胸に僅かな痛みが走った。
アレックス「どうするイザーク?まだやるか?」
イザーク「ラクス・クラインが討たれた以上、俺に戦う理由はない…投降しよう…」
マリュー「エターナル…ラクスさんが…」
ナオト「これで…終わり!!」
とどめとばかりにリニアガンをAAのメインエンジンに直撃させる。
AAが沈黙した。
かつてザフト軍に不沈艦と呼ばれ、アラスカ、ヤキンドゥーエもしぶとく生き残りザフトの将兵達を畏怖させた大天使の名を冠する艦が動きを止めた。
ハイネ「クレア…やりやがったな!!」
バルトフェルド「馬鹿な…ラクス…」
ハイネは勝ち誇った笑みを浮かべ、バルトフェルドは驚愕の表情でエターナルがあった宙域を見つめていた。
ルナマリア「やったわねクレア!!」
ステラ「やったね…」
クレアがエターナルを撃沈させたのを見て、ルナマリアがガッツポーズを取る。
ステラも穏やかな笑みを浮かべていた。
レイ「フ……」
笑みを浮かべ、レイは胴体のみとなったアカツキを掴むとミネルバに向かう。
キラ「ラクスーーーーーっ!!!!!!」
キラの叫びが虚しく宇宙に響き渡った。
キラがエターナルの撃沈を確認したのである。
キラ「どうして!!どうして君達は!!」
シン「これがあんたのやってきたことの結果だ!!あんただってそうやってみんなの大切な人達を奪ってきたんだろうが!!」
キラ「だからって…だからって!!」
キラの中に忘れかけていたどす黒い感情が少しずつ膨れ上がってきていた。
キラは端末を操作すると…。
シン「ミーティア!?そうか…ジャスティスの奴か!!?」
キラ「うわああああああ!!!!」
ミーティアを装備したストライクフリーダムが全武装を解放し、ザフトの戦艦、MSを墜としていく。
全員【!?】
シン「な、何てことを!!」
キラ「何って、ラクスに従わないザフトを討っただけじゃないか」
シン「っ、ふざけるなああああ!!!!」
デスティニーのバーニアを吹かせ、ミーティアを装備したストライクフリーダムに向かうのだった。
後書き
エターナル撃沈。
キラが本気でキレた。
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