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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第二十八話 本物と偽物

 
前書き
ジブリールを逃がしてしまったシン達。
そしてある変化が…。 

 
戦闘後、艦長はジブリールを逃し、任務が失敗したことを議長に報告していた。

デュランダル『…ではジブリールはそのシャトルに?』

タリア「確証はありませんが私はそう考えます。」

デュランダル『いずれにしても、彼は捕らえられず君達はオーブに敗退したと…そういうことか』

タリア「…はい。AA、フリーダム…そしてジャスティスといって差し支えないでしょう…それらの参入によって状況は不利となり…その上依然として彼が未だに国内にいるという確証も得られませんでしたので…あのまま戦ってもただの消耗戦になるだけでした。」

デュランダル『そうか…いや、ありがとうグラディス艦長。シャトルの件についてはこちらで調べる。オーブとは…何か別の交渉手段を考えるべきかな?』

タリア「私はそう考えます」

そして通信を終えたのを確認して、副長が艦長に尋ねる。

アーサー「それにしてもアレックス達は何処に行ったんですかね?機体の最低限の修理だけして…」

ミネルバにハイネ、ステラ、ルナマリア、クレアの4人を残して、アレックスとシン達はミネルバを離れて行ったのだ。

タリア「彼らはジブラルタルに向かったわ」

アーサー「ええええええええ!!!!?」

タリア「アレックス達はFAITHだもの。私に止める権限は無いわ。アレックス達がレイも連れていったのには理由があるはず…」








































一方でジブラルタルに着いたアレックス達は基地の通路を歩いていた。
アレックスはAAがオーブ戦後、何か仕出かすと考え、シン、レイ、ナオトを連れてジブラルタルに戻ってきたのだ。

アレックス「準備はいいかナオト、シン、レイ?」

ナオト「ばっちりだよアレックス!!」

アレックス「各々任務内容は完璧か?」

ナオト「私はオーブの回線の妨害を」

レイ「俺は全メディアに彼らの罪状を」

シン「俺はアレックスと一緒に歌姫の護衛を」

アレックス「よし合格だ。やる時はやるんだな」

レイ「当然です。俺達にはこれ以上の失敗も…小さなミスすら許されない」

シン「うわ、レイ、すげぇ殺る気満々だよ」

ナオト「そうだね…とにかく私達はどこまでもアレックスに付いていくよ!!」

アレックス「ありがとう。ではミーアを…仲間を助けに行くとするか!!」

全てお見通しだ。
彼らの思惑など。
だからこちらも、全力で行かせてもらうとしよう。









































一方ミネルバではオーブのアスハ代表の声明が出されると言う。
ミネルバクルー達は自然に休憩室の大画面テレビの前に集まった。

カガリ『オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日私は全世界のメディアを通じ、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います』

ルナマリア「ああ!!オーブの馬鹿姫!!」

ハイネ「おいおい言い過ぎだぜ?否定は出来ないけどな」

カガリ『過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なものでした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですが、議長は、ロゴスが意図的に“世界”とやらを操作し、戦争を起こしてきたと言う。これはつまり、ロゴスという、民間の一組織が、世界各国の世論を誘導し国家間紛争を誘導してきたという意味であると解釈している。個人的にはこれだけで既に大いに疑問があるが、仮にそうだとして、これを裏付ける証拠はどこにあるのか?議長はまず、これを立証するべき……』

ハイネ「ん?何だ?」

突如画面が乱れ、ミーアが現れる。

ミーア『私はラクス・クラインです。過日行われたオーブでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。プラントとも親しい関係にあったオーブが、何故ジブリール氏を庇うような発言をするのか理解することは出来ません。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブはそうまでして庇うのでしょうか。私達の世界に、誘惑は数多くあります。より良きもの、多くのものをと。望むことは無論悪いことではありません。ですがロゴスは別です。あれはあってはならないもの。この人の世に不要で邪悪なものです。私達はそれを……』

?『その方の姿に惑わされないでください』

ステラ「あ…」

また画面が乱れ、再びオーブのカガリ・ユラ・アスハが映る。
そしてその横には……。

ラクス『私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』

皆息を呑んでいる。
画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、ミーアが同時に映っている。

ラクス『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を』

アレックス『ふざけたことを言わないで頂きたい。破滅の歌姫よ』

アーサー「ええ!?」

タリア「アレックス!?それにシンまで…」

ミーアの隣には彼女を守るように立つアレックスとシンの姿があった。

アレックス『こんにちは、プラント、地球の皆さん。俺は、アスラン・ザラです』

AAの彼らに、妨害されるという考えはなかったのだろうか?
歌姫自らの言葉を疑う者は誰もいないと思っていたのだろうか?

アレックス『プラントを守るアスラン・ザラであると、どうか民衆にはご理解頂きたい』

アーサー「ア、アスランって、艦長!!」

アレックスの正体に驚愕する事情を知らない副長。

メイリン「アレックスさん……」

ヨウラン、ヴィーノ「「………」」

副長の隣でメイリン、ヨウラン、ヴィーノが画面に映るアレックスを心配そうに見つめていた。

タリア「アレックス…あなた……」

アレックス『このようにメディアをお騒がせしたこと、心よりお詫びしましょう。ただ私は皆さんに伝えたかったのです。“真実”を』

ステラ「真実…?」

アレックス『かつて彼女は先の大戦で、地球連合軍に所属していた者に赤服を着せザフトに侵入させ、そしてフリーダムを与えた。』

ラクス『っ、えぇ、それは事実です。ですがそれは…』

アレックス『他にも。行方不明になったエターナルを、クラインの名の下、秘密裏に所持し補給してきた。プラントの財を使って…更にザフトの技術を盗用し、MSを建造していた。』

ラクス『私達には力が必要でした、それは、オーブにもプラントにも全て平和な未来のためです。私はオーブにもプラントにも平和を』

アレックス『笑わせるな、ラクス・クライン。俺達を、ザフトを舐めるのもいい加減にして頂きたい…。それにしても、そんなにあっさり認めるとは思わなかった…。あなた方の罪状を集めた資料も映像も意味がないな』

ラクス『資料?映像?』

シン『ええ、あなた方の罪を纏めた資料と映像ですよ。否定した場合の証拠を集めてたんですよ。あ、ちなみに流れてますから』

ラクス『罪などと…』

アレックス『そうやってあなたはプラントを傷つけるんだな…無自覚に…“偽者の歌姫”』

ラクス『いいえ、アスラン。あなたはご存知でしょう。あなたの傍にいる方こそが偽者だと』

アレックス『ええ、彼女は“ラクス・クライン”の偽者だ。けれどあなたは、“歌姫”の偽者だと言ったんです』

ラクス『…それは、どういう』

シン『プラントの歌姫はプラントに平和と癒しの歌を響かせる存在です。彼女はプラントの歌姫なんですよ。本物の」

ラクス『っ、ですからあの方は、議長に騙された偽者の…』

アレックス『ええ、彼女は…ミーアは確かに偽者だ。“ラクス・クライン”にはどんなに頑張ってもなれない…他人がどうやっても…」

ラクス『なら…』

アレックス『だが、今まで傷ついた人々を癒したのは、紛れも無い彼女だ。』

カガリ『アスラン!!』

ラクス『アスラン、ただ私達は平和のために』

アレックス『平和のためなら何でも許されると思うなよ。これ以上は俺が許さない』

シン『プラントの歌姫は…彼女です。いい加減、俺達を馬鹿にするのは止めてもらえませんか?俺達は生半可な覚悟で戦ってきたわけじゃない』

ミーア『シン…アレックス…』

ナオトはこの回線を妨害しようとするオーブとクライン派を排除している頃だろう。
レイはこの放送を全メディアを電波ジャックしてクライン派の犯した罪と共に放映しているだろう。
プツリと、対面するように映されていたラクスの映像はそこで途切れた。

シン『あれ?モニターの故障ですかね?』

アレックス『いや、レイの演出だろう?』

モニターを確認したアレックスは笑った。
そんなレイの行動にシンも思わず笑ってしまった。

アレックス『プラント、地球に住む皆様、お騒がせしたこと、心よりお詫びします。ですが後悔はしていません。混乱していることをお察しします。2人のラクス・クライン…ですが考えて頂きたい。もう一度、彼女の言葉。先ほどの、このプラントに今いない、ラクス・クラインの言葉。そしてミーア・キャンベルという、ラクス・クラインを偽った少女のことを。確かに彼女はラクス・クラインを偽りました。しかし彼女は世界のことをひたすらに思い続けた彼女を、俺は偽者という言葉で済ませて欲しくない。そうして理解して頂けたなら、どうか。彼女を受け入れて頂きたい。』

















































デュランダル「これは凄いな、これがミネルバのエース達の実力というわけか。これは感服、完敗だ。絶対に彼らを敵に回したくはないね」

絶句している周囲を他所に議長はお得意の天然を炸裂させていた。

アレックス「議長」

デュランダル「やあ、アレックス。それにシンも…先程の映像を見ていたが感動したよ」

シン「はい。レイからの通信によるとプラントの人々は、ミーアさんを歌姫として選ぶそうです。まあ、当然の結果ですけどね…。」

ミーア「あの…」

デュランダル「ミーア、ご苦労だったね。色々あって疲れただろう。部屋を用意しているからゆっくり休みなさい。」

ミーア「あ、はい…」

アレックス「お疲れ様、ミーア…」

シン「今までありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。」

ミーア「…うん。ありがとう…アレックス、シン…みんな……」





































一方ミネルバではハイネ達が笑みを浮かべながら会話をしていた。

ハイネ「はははは!!あいつら派手にやりやがったなあ」

ルナマリア「本当。でも凄いですよね。ミーアの正体はバレたけど、それを受け入れさせちゃうんだもん」

メイリン「ええ?お姉ちゃん、あの人がラクス様じゃないって知ってたの?」

ルナマリア「当然」

クレア「第一、本物とスタイルが違い過ぎるでしょ」

ヨウラン「同感。俺もどっちかと言えば、あっちのスタイルのいい方が…眼福だし」

ステラ「…ヨウランの、エッチ」

ヨウラン「うえ!?」

クレア「スケベ」

ルナマリア「獣(けだもの)」

ハイネ「うんうん、それが若さだよ」

タリア「全く…あの子達は……」

好き勝手に大暴れしたアレックス達に対して苦笑を零す艦長。
そして最後に…。

ミーア『私はプラントが混乱していた時に、プラントの混乱を静めるためだと言われ、ラクス様のフリをしました。それからも、ラクス様のフリをしてきました。プラントのために!!でもラクス様は“その方の姿に惑わされないでください”と言いました。私も言います。姿や名前ではなく、実際にしてきた行動で判断して下さい。先の大戦から、議長がどれだけ平和のために苦労してきたのか、プラントのために苦労しているのか。私は知っています。皆さんも知っているはずです。今一度お願いします。私が言えた義理じゃないですが、姿や名前に惑わされずに、行動で判断してください。今まで騙しててごめんなさい。ありがとうございました』

そう言って、ミーアは頭を下げるとアレックスとシンに連れられ部屋を後にしたのだった。









































~if~

これはもしもラクスがコンプレックス持ちだったとしたら…の話。

ラクス『私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じ名、同じ胸の大きさの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』

皆息を呑んでいる。
画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、ミーアが同時に映っている。

ハイネ「そっくりだねえ(胸以外)」

ルナマリア「まあ本物だし(胸以外は)」

クレア「本物ねえ(胸以外はそっくり)」

ステラ「似てる…(胸以外)」

ラクス『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を!!後、偽者なのに、本物より胸が大きいとは何事ですか?それに気付いていながら、見て見ぬフリをしていた皆さんも皆さんです。どれだけ他のことを疑っても胸に関しては疑おうとしない、そのような考えが、今回のような事態を招いたのです。私のちょっぴり控えめな胸は、お父様の趣味とお母様の遺伝なのです。決して私の発育が悪いという訳では……』

ハイネ「…あ、気にしてたのね」

ルナマリア「同じ女としてちょっぴり同情」

クレア「というかクライン議長の名誉毀損…」

ステラ「可哀相…」

その後、アレックス達が乱入し、ラクス達に制裁が入るのは別の話。 
 

 
後書き
ミーア死亡フラグ回避。 
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