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東方魔法録~Witches fell in love with him.

作者:枝瀬 景
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一章 喘息少女~If you have memory in former incarnation,what would you like to do.
  0 プロローグ~God was oaliged to work for many lifes.

 
前書き
ハーメルンに投稿していたものを小説家になろうに移転して、そこからこの暁にマルチ投稿を始めました。
なんかややこしいですね… 

 
救急処置室のベッドで寝ている少年は意識がなく、全身がチアノーゼで真っ青だ。
白衣の男が少年の脈をとると脈はかすかに触れる。非常に浅くて早い。聴診器を胸に当てるが、呼吸音はない。酸素を押し込むが、頬が膨らむだけで肺には空気が入らない。どうやら痰が詰まっているらしい。

「吸引機を!それから心電図モニターとサチュレーションモニターも!」

白衣の男はその場にいる女性に指示する。
人間のバイタルサインを示すモニターには、生命維持が完全に不可能になる寸前の数値が表示されている。一刻を争う危険な状態だ。

「急いで痰を吸引するぞ!」

男は少々乱暴に吸引チューブを口の中にねじ込むとスイッチを入れた。ギュイーンと音がして吸引機が痰を吸い始めた。

「心拍数、酸素濃度共に低下!心肺停止!」

吸引を始めてすぐに女性が悲痛な声で叫んだ。
吸引機が痰を十分に吸い込む前に心肺が停止してしまったのだ。男が必死に心臓マッサージをして蘇生を試みるが酸素を吸えない状態で、なおかつ血液中に酸素が少ない状態で心臓マッサージは効果が薄く…

「くそっ…」

医師逹の必死な治療の甲斐もむなしく、少年の命は尽きたのだった。










気がつくと変な所に立っていた。雲から地面に向かって逆さにビルみたいな建造物が生えていたり、魚が空中を泳いでいたり、空が虹色で輝いている。
あまりにも突然のことなので思考が停止してしまっていて、ボーっとしていた。
すると目の前にうっすらと人の形をした影が現れ声を発した。

「おお明希(あき)よ、死んでまうとは情けない。もう一度生き返って出直してくるのじゃ」
「なんだとてめぇ!?こっちは喘息で大変だったんだぞ!?」

反射的に叫んだ。なんだこいつは?人が喘息で苦しんで死んだのに情けないだあ?
始めに症状が出始めたのは幼稚園の頃でその頃はただの咳かと思ってほって置いた。しかし、あまりにも酷かったので小学生高学年の時、病院に行くと喘息であることが判明した。薬を貰うも一向に治らず高校生になって、ある日突然今までにない激しい喘息が出て来てそのまま病院に運ばれた。そして死んだ。死んだ?

「あーここって死後の世界か?」
「簡単に言えばそうだ」

影が答える。

「あーあマジかよ…。やりたいこといっぱいあったのになー…」

友達とか悲しんでくれるかなぁ。積みゲーも全然消化してなかったし、漫画の続きだって気になる。それに嫌だけどやっぱり大学受験だってしたかたっし、生命の意義…子孫を残す為の行為だって未体験のままだ。

「そんな君に朗報よ!神であるワタクシが貴方を転生させてあげましょう!」
「口調がコロコロ変わって気持ち悪」
「そこ!?もっと別に驚くこととかないの!?ほら、神なんて信じられない!とか、え?転生させてくれるの!?とかさ!?」

うぜぇ。なんだこの神は?突っ込んで欲しいのか?寂しいのか?

「えーネ申だってー、転生してくれるとかまじー」
「なんだその冷めた返事は。それに神の発音がおかしくなかったか?まったく、これだから近頃の若者は…」

右手を額に当て、上を向き、左手をヒラヒラとさせて、やれやれとポーズをとった。無性に腹が立つ仕草だ。

「あー、一応聞いておいてやる。なんで転生してくれるんだ?」
「一応かよ…まあ、いい。よくぞ聞いてくれた!俺はなんとなく宇宙を作り数々の命を作った後、それをだらだら観賞していたんだ」

流石神。やることが意味不明だ。なんとなく宇宙を作っただぁ?だらだら観賞?まぁ、でもお陰で俺が生まれたとなると複雑な気分だ。こいつの気まぐれがなかったら俺は存在すらしていなかったからな。

「そんなある日、とある一人のニートが『神様っていろいろ作ったけどさ、その後何もせずに暮らしているだけじゃない?』と言ったのを耳にしたんだ」
「ぶははははは!!」

なんだその理屈、最高じゃねぇか!ニートが神をニート扱いするなんてやるな!思わず笑ってしまったよ!

「笑うなよ…。そこで我輩は死んだ生命に対して何かしてやろうと思ってな」
「なるほど、やっと仕事を始めたわけか」
「ええい!神を無職呼ばわりするな!あまり笑えんぞ…」
「事実だから仕方ないじゃん」
「まあ、ワシの力をもってすれば一人一人の為に転生を行うなんて造作もないことだがな」
「じゃあ、さっさとやってくれないか?」
「そう急かさないでよ。もう少し私の話に付き合ってくれてもいいじゃない。まあ、いいわ次に来る人間の相手でもすればいいから。じゃあ、いまから転生するけど、どんな世界がいい?アニメの世界でも活字のみの世界でも何でもいいわ」

どんな世界か…魔法がある世界がいいな。魔法とか憧れてたんだなぁー。つーか活字のみの世界ってなんだよ。平面世界?怖っ。

「魔法が存在する世界で。あ、ソウル〇クリファイスみたいな殺伐とした世界はやめてくれ」

転生してまであんな危なっかしい世界には行きたくない。即生け贄にされてしまうこと必須。あれはゲームの中で十分だ。

「えー、もっと具体的に言ってよ。じゃないと世界を作りにくいからさー。しょうがない、ここはくじ引きで決めよう」

神はそう言うとどこからか箱を取り出してくじ引きを始めた。

「何が出るかな~…お!良かったね大当たりだ。東方projectの世界だよ」

東方project?あー、友達がなんか熱弁していた気がする。兎に角素晴らしく、年季が違うって。確かシューティングゲームの1種だったような…。あまり覚えてないな。音楽が良かったのは覚えているけど。

「大当たり?ちなみにハズレは?」
「バズー!魔法世界とか」

確かに転生先としてはハズレだな。あのゲームはストーリーはいいけどシステムがねぇ…。

バズー!魔法世界とは
一言で言えばスーファミのRPG
ストーリーは割愛する。
魔法メインの世界なのに戦闘での魔法の存在が薄い。MPのわりに効果がいまいち。
攻撃のコマンドを押すとキャラが敵に向かって走り出す。敵の所まで行ってからやっと攻撃。移動力が足りないと攻撃せずに止まったりする時もある。といった謎システムのせいで戦闘のテンポが悪すぎる。
他にも理不尽な難易度のせいで兎に角時間のかかるゲームだ。ただ本当にストーリーだけはいい。ストーリーだけは。

「君が具体的に指示しないからこうなるんだよ」
「うん、悪かった」

危うく発狂するところだった。確かにソルサクより殺伐とはしていないけどこれはこれで転生先にはしたくない。

「転生するにあたってに5つまでお願いを聞いてあげる」
「なんで5つ?」
「気分」

スルーだスルー。いちいち突っ込んでいたらこっちの身が持たない。

「じゃあ、遠慮なく言うぞ。まず赤ん坊からやり直したい。あ、親は任せる」
「任されたよー」

「2つ目は生前の記憶を引き継ぐ」
「あ、それはいいよ。忘れたら転生の意味がないからね」
「そうか、なら長生きしたい」
「死ぬには若かったからね。絶対に長生きできるようにしてあげる」

「3つ目は怪我はしてもいいけど病気には絶対になりたくない」
「喘息で苦しんだものな」

「4つ目は名前を明希のままで。変な名前をつけられたら堪ったもんじゃないからな」
「気に入っているんだねその名前。じゃあ容姿は名前に合うようにしてあげる。5つ目は?」
「恋がしたい」
「…年齢=彼女いない歴だからね。環境は作ってあげる。でも恋人が作れるかどうかは君次第だからね?」
「十分だ」

「その他のいろいろなアフターサービスはしてあげる。例えば言語の壁とか」
「ありがたい」
「それじゃ転生を始めるぞ。といってもお主は何もしなくていいがな」

すると段々、俺にかかる重力が弱まって体が軽くなったような感じがする。ふと足を見ると足が段々透けていく。俺という存在が希薄になるような感じがした。

「精々がんばれよ」

と神のやる気のない声援を最後に、一度俺の意識は完全になくなった。 
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