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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百五十五話  『聖王のゆりかご、起動』

 
前書き
更新します。

ついにゆりかご起動です。

ではどうぞー。 

 






アースラの緊急アラームが鳴り響いている頃。
スカリエッティの配下であるナンバーズ達。
彼女達はレジアス・ゲイズ中将の地上部隊の切り札である魔導兵器・アインヘリアル三基をそれぞれ襲撃していた。
その中でアサシンの手により一人欠けてしまった為に、補欠要員ともいうべき人影がトレディの隣にいる。
その彼女の姿はナンバーズと同じ服装を着用している。
そしてその手には青白い大剣であるデバイス、『バルムンク』が握られている。
トレディの固有武装であるクラッシャーバイト経由でトレディのIS『マインドハウリング』によって洗脳を受けてしまっているランの姿であった。
ランはバルムンクを強く握り、

「…敵魔導兵器、破壊します」

バルムンクはその青白い輝きを赤く染め上げて光の光剣を発生させる。
その真紅の光剣は何メートルもの長さへと伸びていき、そして、

「はぁあああああーーーーーッ!!」

ランは裂帛の叫びとともに巨大化したバルムンクの一刀をアインヘリアルへと振り下ろした。
そしてアインヘリアルはその巨体を真っ二つに切り裂かれて爆発、四散する。
そして役目を果たしたバルムンクはその巨大な光剣を収縮させてもとのモード1の西洋剣に戻っていった。

「…任務、完了です」

無表情でランはトレディの後ろまで戻る。

「しっかし…こいつって意外に使えるッスね」

ランの戦果を魔導師達を倒しながら見ていたウェンディはそう呟く。
ウェンディのその手にはシホの黒鍵による投擲によって破壊されたはずのライディングボードが握られていた。

「………でも、ウェンディのライディングボードが量産されていてよかった。
 ………おかげでランさんの移動手段がデバイスによるブースター移動だけじゃなくなった…」
「うはは…。数だけはあるっスからね」

ランは今はライディングボードに乗って移動している。
そしてトレディに褒められてウェンディは上機嫌に笑う。
ただ、ライディングボードだけが量産計画があったというだけで他のナンバーズの固有武装は量産されていないのが不安といえば不安である。
だからシホに壊されたのがウェンディのライディングボードだけで運がよかったというべきか、どうなのかはわからない…。

「でも、さっきも言ったっスけど、そのランって子のデバイスがかなり強力なのは助かったッスよ。
セッテが倒されたと聞かされた時はかなりびっくりしたッスからね…。
そのデバイスもランって子同様にドクターが改造しちゃってAIも封印されてるから本当の力は発揮できないけど…それでも充分セッテ分は働いてくれるッスからね」
「………私としましては、ランさんにはこんな事をさせたくはありませんでしたが…」

トレディはそれで表情を俯かせる。

「仕方ないっスよ。あたし達は削られた分を補給できるほど人員はいないッスから使えるもんは使わないともったいないっス。
トレディ姉はまだまだ迷いがあるね。人質をこんな事に使っていいのかっていうね」
「………確かに、迷いはあります。ですがそれがドクターの望むことなら、従います」
「それでいいと思うッスよ?」
「………はい。ランさん、心苦しいですが、あなたの力、使わせていただきます」
「………」

ランは無言で頷きを返した。
そしてトレディ等一同は破壊されたアインヘリアルを後にするのだった。



◆◇―――――――――◇◆



それをモニターで見ていたウーノはというと、

「…各アインヘリアルは破壊に成功したそうです、ドクター」
「そうかい。さすがだね。素晴らしいね。
もとは最高評議会が主導で進めていて、管理局が実用寸前までこぎつけていた技術だからね。
それを私が随分と時間をかけて改良してきた戦闘機人量産計画だからね。それくらいの成果を出してもらわなければ困るというものだよ」
「はい。…それと撃墜されたセッテの代わりの補充要員の彼女ですが…」
「ああ。彼女の潜在能力は検査の結果、すざまじいものがあったからねぇ…。
機動六課は彼女の潜在能力を引き出す術を見つけていなかったようだが、私ならそれが可能だった。
ただ、残念だったのはいじれたのは彼女のデバイスだけだった。彼女自身はトレディがかたくなに拒否したのだから仕方がない」
「私の妹がすみません、ドクター…」
「構わないよ、ウーノ。自己出張をするようになったのは私としても嬉しい誤算だからね」

スカリエッティは「くくく…」と笑い、トレディの成長を喜んでいる。

「さて、そろそろくらいかね? 聖王の状態はどうなっているかね? ウーノ」
「はい。現在、魔術師殿の手により玉座に座らされている状態です。やろうと思えばいつでもゆりかごの起動は可能ですよ。
ドクターの夢がまた一つ、叶いますね」
「ああ、ゆりかごを見つけてからここ数年で聖王のクローンであるヴィヴィオを主体に置こうと考えていたが、サーヴァントとはいえ聖王本人がいる。
これ以上に必要な人材はいない。だからヴィヴィオを隠れ蓑にしていつエースオブエースとともにオリヴィエを捕らえようかと計画を練ったものだ。
それも魔術師殿のお力添えで見事成功した。
だが、夢の始まりはここからだ、ウーノ。古代ベルカの叡智の結晶…ゆりかごの力をもってしてここから始まるのだよ。
誰にも邪魔されない楽しい夢の始まりなのだよ」

スカリエッティは両手を空に掲げて恍惚の表情をその顔に刻むのであった。
ウーノもそれを聞いて微笑みを浮かべていた。
だが、その時だった。
警報の音が鳴り響いたのは…。



◆◇―――――――――◇◆



Side アリシア・T・ハラオウン



「どう? ヴェロッサ…?」
「どうですか? ロッサ?」

フェイトとナカジマ三佐の108部隊の調査。
そして今回性懲りもなく私を付け狙って次々と出現してきたガジェットの群れ。
それを倒しながらどんどんと増えていくガジェットに当たりを見つけたと確信し、そして見つけた洞窟の穴。
そこにヴェロッサが猟犬…『無限の猟犬(ウンエントリヒ・ヤークト)』を放ち調査してもらっている時だった。
ヴェロッサがニヤリと笑みを浮かべて、

「ここで間違いないようだね。僕の放った猟犬が一撃で潰されるほどのセキリュティだ。
だからここがスカリエッティのアジトで間違いないよ」
「よく見つけましたね、ロッサ」

シャッハさんがヴェロッサを褒めていました。
うー…私も褒めようと思ったのに、いつも先を越されちゃう…。
それで頬を膨らませていると、ふと頭に温もりを感じて俯かせていた顔を上げるとヴェロッサが私の頭に手を乗せていて、

「アリシアも頑張ってくれたね。君の協力も立派に貢献しているよ。えらいよ、アリシア」
「ヴェロッサ…! ありがとう!」

私は思わず嬉しくなってヴェロッサの首に手を回して抱きついた。
ヴェロッサもまんざらではない様子で顔を赤くしていたのでもっとアピールしようかなと考えていたけど、

「…お二人共。お楽しみのところ申し訳ないですが、ガジェットに囲まれています」
「「ゲッ…」」

いつの間にか私達の周りにはガジェットの群れが出現していた。
どれだけいるっていうのよー?
ま、いっか。

「…なら、いくよ。スピードスター!」
《はい!》

バルディッシュの後継機である魔術式デバイスであるスピードスターを握りながらバリアジャケットを纏ってガジェットをシャッハさんとヴェロッサと迎え撃つ。

「アリシアさん。あなたは一応護衛対象ですので私より前に出ないように…」

シャッハさんがヴィンデルシャフトを構えながら私の前に出る。
でも、

「冗談! 私だって一人前に戦えるんだから! 頑張るよ!!」

スピードスターに雷を纏わせて向かってくるガジェットを切り裂く。
魔術はAMFでは無効化できない。だから対応されていないんだから戦力には充分なるよ。
私だって魔術事件対策課のエースなんだから!

「そうですか。ですが無理はなさらずに」
「うん! シャッハさん!」
「ロッサ? 騎士はやてに連絡を!」
「了解だよ」

それでヴェロッサははやてに連絡を入れたようである。
私も頑張ろう!



◆◇―――――――――◇◆



Side 八神はやて



シャーリーの報告によってアインヘリアルが全基戦闘機人の手によって落とされたという報告を受ける。
まさかアインヘリアル全基を叩かれるとはな…。
それに前回の地上本部襲撃の時より戦闘機人の動きが早くなってる。
これはなにか裏技を使っているな…?
それに、戦闘機人の中にはランの姿もあったという。
いいように利用されとるんやね。可哀そうに…。絶対助けたるからな。

「動きが早いですね」
「そうやね。早めに手を打たんと取り返しのつかないことになるのは目に見えとるからな。隊長達の投入はしずらいな」
「市街地に移動中というのもきついですね」
「やな」

そんな時だった。
通信が入ってくる。
シャーリーが応答をするとヴェロッサがモニターに移りだされてくる。
普段の様子ではなくどうやら緊迫しているようだ。表情でわかる。なにか掴んだんか?

『はやて、ヴェロッサだ。スカリエッティのアジトを発見した。
シャッハとアリシアが迎撃に来たガジェットを片っ端から片付けているところだ。
だがどうにも量が多い。僕達だけではアジトに乗り込むのは厳しい。
だから応援要員を願いたい』

なるほど。アジトを、ね。

「わかった。こちらからはフェイト執務官とランサーの二人を向かわせる!」
『了解! こちらもなんとか持ちこたえてみせるよ!』

それでロッサとの通信は切れる。

「フェイト執務官とランサーさんは…」

私が二人に連絡を取り報告をしようとしたけど、

『わかってるよ、はやて。アリシアもアコース査察官と一緒にいるんでしょ? だったら私達の問題も絡んでくる。だから私とランサーがスカリエッティのアジトに行くのには異論はないよ!』
「任せるで?」
『うん!』

それでフェイトちゃんはOKやね。
するとそこにシャーリーの声が響いてくる。

「はやて部隊長! 地上本部に向かっている戦闘機人を含む人員の中にこの間のヴィータ副隊長と戦った騎士の姿が確認されました!」
「スカリエッティの手札は全部投入ってわけかいな。上等や。私達機動六課の底力、見せたるで!」



◆◇―――――――――◇◆



Side レン・ブルックランズ



『廃棄都市からも別の反応を感知しました。これは戦闘機人! さらに…!』

ルキノさんの言葉はあまり僕の耳には入ってきていなかった。
だって、なんで戦闘機人、トレディ達と一緒にラン姉さんが一緒に行動しているんだ!

「ラン、姉さん…」
「レン君、しっかり…」

そこにギンガさんが僕に安心させるような声で話しかけてきた。

「きっと、ランは洗脳をされている。だから私とレン君の二人でランを助け出しましょう」
「ギンガさん…」
「…ね?」

いつも僕に勇気を与えてくれるギンガさん。
傷ついても僕の事を守ってくれたギンガさん。
そんなギンガさんに恩返しする時が今なんだ。
ギンガさんから聞かされたスバルさんとギンガさんのお母さんの話。
なら、ラン姉さんを助け出すついでにこの問題も一緒に解決しよう。
僕はもう弱虫ではいられない。強くならなきゃ!
だから僕は強気な表情で、

「はい! 僕と一緒に戦いましょう、ギンガさん!」

そう返事を返すのだった。
でも、その時にギンガさんはなぜか僕の事を頬を赤くして見つめてきた。
どうしたんだろう…?

「ギンガさん…?」
「え? あ、なに、レン君?」
「急にぼーっとしちゃって、どうしたんですか? 顔が赤いですけど熱でも?」
「い、いやなんでもないのよ!」

急に取り乱してしまっているギンガさん。
その姿に一瞬見とれてしまったけど今は気を引き締めよう。

「(うぅー…レン君の顔をあまり直視できない。どうしちゃったんだろう? 私は…)」

ギンガさんはなにか考え込んでいるようだけど、一体…?
その時、ティアさんが僕の肩に手を置いてきた。
どうしたんだろう?

「レン、ギンガさんはね、なかなか強敵よ。頑張りなさい」
「え? は、はい…」

まだその意味はわからなかったけど、とりあえず頷いておいた。
その意味はいつか気づくことはあるだろう。
でも、今はこの件は置いておこう。



◆◇―――――――――◇◆



Side シホ・E・S・高町



『さぁ、見ているかい? 私のスポンサー達、そして愚かで鈍足な管理局の諸君。偽善の平和を謳う聖王教会の諸君。
見るがいい。これこそ君達が忌避しながらも喉から手が出るほど欲した絶対の力だ!』

スカリエッティの喋りを聞きながらも別モニターでアリシア達がいる場所でおそらくあの紫の髪の召喚師の使い魔達が地震を起こして、なにかが地面から浮かび上がってくる。
あれはまさしく、

「聖王の、ゆりかご…」

私の魂に宿っているシルビアさんの記憶通りの聖王のゆりかご…つまり現存しているオリヴィエ陛下の宝具がその姿を現した。
スカリエッティがなにかを語っているがそんなものは私の耳には入ってこない。
だってとあるモニターが映し出されてそこには玉座に涙ながらに座らされているオリヴィエ陛下…さらに鎖で吊らされているなのはの姿が映し出されていたからだ。
私は思わず「ギリッ」と歯噛みする。

「なのは…! オリヴィエ陛下…!」
「なのはママ…!」

私と一緒に映像を見ていたヴィヴィオが叫ぶ。
だけど今、私が取り乱して叫んでも意味はない。
だから、強く拳を握りながら、

「必ず助ける。だから…ヴィヴィオ、ママは必ず連れ戻すから、待っていてね!」

ヴィヴィオの肩に手を置いてそう語りかける。

「お願いします…!」
「ええ!」

ここに、またヴィヴィオとの誓いを交わした。
なのは達の居場所はわかった。
後は乗り込むだけよ!


 
 

 
後書き
バルムンクがまるで零式斬○刀のごとく…。

ギンガも気持ちに気づき始めました。

そしてゆりかごがついにその姿を現す。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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