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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第九話 再会

 
前書き
ナオトとステラがミネルバと合流します。
 

 
グフとガイアは無事に大気圏に入ると、まっすぐオーブを目指して機体を動かしていた。

ナオト「ステラ、そろそろオーブ領域に差し掛かるよ」

モニターごしに外を見ていると、ナオトから通信でそう告げられた。

ステラ「うん」

ガイアとグフは速度を落とし、領空に入らないように計器を確認する。

ナオト「オーブ・コントロール。こちら、貴国に接近中のザフト軍MS2機。入港中のザフト艦、ミネルバとの合流のため、入国を希望します。許可されたし」

ナオトがオーブの軍司令部に通信を入れる。
こうでもしないと、勝手に領空を侵犯することになり、色々と面倒なことになるからだ。
だが、いくら返答を待っても、向こうからは何一つ返ってこない。

ナオト「オーブ・コントロール?聞こえるますか、オーブ・コントロール?」

再度ナオトが通信を入れるが、それでも何も返事はない。

ナオト「何かあったのかな…?」

ナオトはポツリと呟いた。
向こうがこちらを確認していないはずはない。
それなのに通信に返答なしの状態。
このままでは本当に領空侵犯してしまう。
途端にコクピットに電子音が鳴り響いた。

ステラ「ムラサメ…?」

前方から二機のムラサメが見えたかと思うと、またしてもコクピットに電子音が響く。
今度は自機がロックされたという警告音。

ナオト「ロックされた!?」

訳も分からずそう叫ぶと、ナオトは苛立ったように、また回線を繋ぐ。

ナオト「オーブ・コントロール!一体これはどういうことですかっ!!?」

それと同時にガイア、グフイグナイテッドに向け、攻撃が開始される。
それを回避して何とかやり過ごすが、それだけで攻撃は止まず、なおもムラサメはこちらに向けライフルを放ってくる。

ナオト「こちらに貴国、攻撃の意思はありませんっ!!何故撃ってくるんですか!?」

ステラ「…くっ」

ギリギリのところで攻撃を避けるが、油断してしまえば当たる。
相手の理不尽とも思える仕打ちに、段々と苛立ちが募っていく。
攻撃を仕掛けてくるムラサメの一機から通信が入る。

「オーブが世界安全保障条約に加盟した今、プラントは敵性国家だっ!!」

ステラ「敵…?」

ナオト「そんな!!?」

ムラサメのパイロットからの言葉にナオトの驚愕した声が聞こえた。

「我が国はまだザフトと交戦状態にはないが、入国など認められるはずもないっ!!」

その通信を聞きながら、撃たれたミサイルを落としていく。

「どういう作戦のつもりかは知らないが、既に居もしないミネルバをダシにするなど間抜けすぎるぞっ!!我が軍を舐めるな!!」

ナオト「ミネルバがいない……?」

どうやらミネルバは既に出航したようだった。
ナオトとステラは仕方なく機体を翻し、近くのザフトの拠点基地カーペンタリアへ向かうことにした。
カーペンタリアに通信を入れ確認すると、ミネルバはそこに停泊しているということだった。
なのでナオトとステラはそのままカーペンタリアを目指した。






































しばらく機体を飛ばしてようやくナオト達はカーペンタリアに着き、停泊中のミネルバへと機体を降下させていった。
ミネルバのMS用のアームに固定されると、ガイアとグフイグナイテッドのシステムを順に落としていく。
そして完全に機体の動きが止まったのを確認し、ハッチを開く。

ルナマリア「あのグフはナオトさん?でもガイアのパイロットは誰?」

レイ「さあ…、少なくともガイアのパイロットに選ばれたんだ。優秀なのだろう」

シン「皆、ナオトさんのグフとガイアが此処に…ナオトさん!!」

買い物から帰ってきたシンが急いでこちらに駆け寄ってきた。
久しぶりに見るナオトの元気な姿に笑みを浮かべる。

ナオト「シン、久しぶり。元気だった?」

シン「勿論ですよ。ところで彼女は?」

シンがステラとは知らずにナオトに尋ねる。

ナオト「シン、彼女はステラだよ」

シン「ステラ!?」

ステラ「シン!!」

ステラはヘルメットを取るとシンに勢いよく抱き着いた。

シン「え?え!?何でステラが!!?」

ナオト「ステラが望んだの、義勇兵として今日から私達の仲間よ」

シン「義勇兵…?でも彼女は…」

ナオト「シン、ステラを心配する君の気持ちは分かるよ。でも、彼女の想いも汲み取ってあげて…」

シン「…分かり…ました。」

渋々といった感じだが、取り敢えず頷くシン。

ヨウラン「なあなあ、その子はもしかして、あの街でぶつかった子じゃないか?」

アレックス「ヨウラン、知っているのか?」

ヨウラン「知ってるも何も…シンはその子のむ…」

シン「わあああああ!!ライダーキーーーーーックっ!!!!!」

ヨウラン「ぶべら!!?」

全員【おお!?】

余計なことを言おうとするヨウランの顔面にシンの某仮面戦士を髣髴とさせる蹴りが炸裂した。

ステラ「?」

シン「さあ、行こうかステラ!!」

ステラ「?うん…」

シンはステラを連れてMSデッキを離れたのであった。
それを見ていたアレックス達は嵐が去ったとか思ったとかないとか…。






































ヨウランが医務室に運ばれている中、アレックス達は艦長室に向かう途中、話をしていた。

ナオト「そういえば、ミネルバは、いつオーブを出たの?私達何も知らなくて……」

ルナマリア「オーブに行ったんですか!?ナオトさんに…えっと…」

シン「ステラだよ」

ルナマリア「そうそう、ステラも。大丈夫でした?あの国、今はもう……」

ナオト「スクランブルかけられて、ムラサメから攻撃されたよ。」

ナオトは深い溜め息を吐きながらぼやいた。

ルナマリア「何だかシンが怒るのも、分かる気がします。目茶苦茶ですよ、あの国!!」

ルナマリアは眉を顰め、話を続けた。

ルナマリア「オーブ出る時、私達どんな目にあったと思います!?」

ナオト「え?オーブを出る時に何かあったの?」

ルナマリア「地球軍の艦隊に待ち伏せされて!!本当、死ぬとこだったわっ!!シンとアレックスさんが頑張ってくれなきゃ、間違いなく沈んでましたよミネルバ!!」

つまりミネルバは大西洋連邦との同盟への前土産にでもされたということなんだろう。

ルナマリア「私も前は憧れてたりしたんですけどね、カガリ・ユラ・アスハ。でも、なんかガッカリ。大西洋連邦とは同盟結んじゃうし、変な奴とは結婚しちゃうし……」

大西洋連邦との同盟はともかく“結婚”という単語にナオトは目を見開いた。

ナオト「え?結婚?アスハ代表が?」

ナオトから見てもカガリはアレックスのことが好きなように見えたが違うのだろうか。

ナオト「アスハ代表の相手は誰だったの?」

シン「えっと…確かセイラン家の…」

レイ「ユウナ・ロマ・セイラン。事実上、オーブの政治を運営していると言われている、ウナト・エマ・セイランの息子です」

カガリの結婚相手を思い出せないシンに代わり、レイが教えてくれた。

ナオト「へえ…あのセイラン家のお坊ちゃん?」

レイ「恐らく政略結婚だったのでしょう。正直なところ、アスハ代表は理想主義者ですから現実的にオーブの生き残りを考えるセイラン家は、アスハ代表の理想主義を、結婚で抑えるつもりだったのだと思います」

ナオト「そっか…」

シン「あ、でも…アスハの奴、誘拐されたそうですよ」

ナオト「へ!?誘拐!!?」

物騒な単語に目を見開きながら驚くナオトに、言ったシンも驚いた。

シン「あ、はい。噂で聞きました。よく分からないんですけど…」

ナオト「誘拐…穏やかじゃないな~」

代表がさらわれたオーブは今はどうなっているのだろうか?
寧ろ代表が行方不明になったことで逆に反アスハ派が何かやらかしそうな気がするが…。








































それからナオト達は予定通りに艦長室に行き、挨拶をした。
ナオトはグラディス艦長とアレックスに議長から渡すように言われたFAITHのバッジを艦長とアレックスに渡した。

アレックス「これはFAITHの…?」

タリア「彼女を義勇兵として、ガイアを与えて、この艦に寄越し、その上私やアレックスまでFAITHに?一体何を考えているのかしらね議長は?」

ナオト「ちゃんとした上下関係を作るものでしょう。FAITHは艦長、時にはそれ以上の権限を持ちますから、元からFAITHである私とアレックスがFAITHになることによって起こる混乱を艦長という地位にFAITHを上乗せしてバランスを取ろうという考えだと思います。それにアレックスの戦績はFAITHに相応しいかと…」

タリア「…彼ならやりかねないわね」

額に手を当てて溜め息をついたタリアに、アレックス達は苦笑する。

アレックス「私はFAITHとなっても艦長の指示下に入るつもりですから。これからもよろしくお願いします」

タリア「えぇ、よろしくお願いするわ」

部屋を出て、アレックス達はナオトの部屋に向かう。











































ナオトの部屋の前に着いたアレックス達。

ナオト「ステラ、ここがあなたの部屋だよ。私と相部屋」

ステラ「ナオトと一緒?」

ナオト「うん、そうだよ」

アレックス「仲がいいな、二人共。」

ステラ「?」

アレックスを不思議そうに見つめるステラにアレックスはあることを思い出した。

アレックス「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はアレックス。これからよろしくステラ。」

ステラ「アレックス…?」

アレックス「ああ、そして…彼がレイ、女性の方がルナマリアだ」

レイ「レイ・ザ・バレルだ。レイでいい」

ルナマリア「ルナマリア・ホークよ。ルナでいいわ」

ステラ「レイ…ルナ…」

アレックス「そうだぞ、ステラ。」

ステラの頭を撫でるアレックスにナオトは内心、ムッとなるが、何故こんな気持ちになるのか分からず気にしないことにした。

ナオト「それじゃあ、シン、レイ、ルナマリア。ステラのことお願いね。私はアレックスと一緒に艦長室に行って、これからのことを話し合うから」

シン「あ、はい」

ナオトはシンに荷物を預けるとアレックスと再び、艦長室に向かう。














































タリア「悪いわね。カーペンタリア経由で任務が来たわ」

アレックス「ジブラルタル・スエズ攻略戦中のザフト軍支援……ですか」

アレックスとナオトの方に回されたモニターには議長直々の任務が映っていた。
ミネルバは最新鋭とはいえ宇宙艦。
MSも6機中2機は宇宙用で飛行能力がなく 海上戦では殆ど役に立たない。
カーペンタリアから宇宙に上がるだろうと思っていたのだが、アレックスとナオトは議長の考えが分からず、首を傾げた。

タリア「議長の意図することが分からなくて、あなた達を呼んだのだけど」

ナオト「すみません。私達にもちょっと……まあ、これだけの最新鋭艦をまだ、それほど戦闘の激しくない宇宙に置いておくのも勿体ないとは思いますが…」

タリア「そう、ありがとう。補給が済み次第、まずはスエズ戦前戦のマハムールへ、カーペンタリアからは潜水艦のニーラゴンゴが一緒になるわ」

マハムールという地名に簡易な地理情報を頭に描いてアレックスは眉を顰めた。

アレックス「マハムールはどちらかというと地球軍と現地住民の抗争が主でしたよね……」

積極的自衛権の行使を使うにはやや不安が残る。
同じナチュラル。
いわゆる民族間の抗争はなかなかデリケートなものがあるのだ。

タリア「ええ、全く…あの狸は何を考えてるのかしらね?」

アレックス、ナオト「「は?」」

ぽつりとタリアの口から零れた不穏な言葉にアレックスとナオトはぎょっとし、聞かなかったことにしようと自己完結させた。

ナオト「艦長。それでは、整備の方もありますので」

敬礼をして、アレックスとナオトは速やかに部屋を後にした。

アレックス「しかし狸とは……」

ナオト「確かにぴったり」

彼に当てはまる言葉にアレックスとナオトは苦笑する。

メイリン『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットはMSにて待機してください』

アレックス、ナオト「「!?」」

突然鳴り響いた警報に、アレックスとナオトはパイロットスーツに着替えるため、走り出した。













































パイロットスーツを着て、搭乗機で待機していたアレックス達。

メイリン『インパルス、セイバー、ガイア、グフ発進願います。ザクは別命あるまで待機。インパルス、フォースシルエット装着。発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。X23Sセイバー、アレックス機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。X88Sガイア、ステラ機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。グフイグナイテッド、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認』

発進シークエンスが次々に進んで行く。

アレックス「グラディス艦長。地球軍ですか?」

アレックスはブリッジに通信を繋げ、艦長にそう問う。

タリア『ええ。どうやら、また待ち伏せされたようだわ。毎度、毎度、人気者は辛いわね……』

艦長はアレックスの問いに皮肉を込めてそう答えた。

タリア『すでに回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります。あなた達は……?』

アレックス、ナオト「「え?」」

彼女の問いにアレックスとナオトは疑問の声を上げる。

タリア『私にはあなた達の命令権はないわ』

FAITHは自分の意思で行動が出来る。
もちろんそれは戦闘状態であっても、変わらない。
だから艦長が戦闘するべきだと判断しても、ナオトやアレックスが戦闘するべきでない思えば戦闘に参加しなくてもいい。
艦長はそのことが言いたかったようだ。

アレックス「私も出ます」

ナオト「私も出撃します」

ナオトとアレックスは即座に答えた。

タリア『いいの?』

アレックス「確かに指揮下にはないかもしれませんが、私もこの艦の搭乗員です。私達も残念ながら、この戦闘は不可避だと考えます」

アレックスがそう答えると、艦長は強張らせていた表情を少し緩めた。

タリア『そう。なら発進後のMSの指揮は…今まで通り、アレックス…あなたがして頂戴』

アレックス「分かりましたシン、レイ、ルナマリア、ステラ」

シン「はい?」

アレックス「お前達も知っての通り、ミネルバにはFAITHが3人もいるが、戦闘指揮は今まで通り俺がする。ウィンダムとカオスは俺とシンとナオトが迎撃する。ルナマリアとレイは水中のアビスを、ステラはミネルバを頼む。状況に応じて臨機応変に動いてくれても構わない」

シン「分かりました」

ナオト「OK」

ルナマリア、レイ「「了解」」

ステラ「うん…じゃなくて……はい」

シン「シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、ザク。発進する!!」

インパルス、セイバー、グフイグナイテッド、ガイア、ザクの順で出撃し、大空へと舞い上がった。 
 

 
後書き
ナオトとステラがミネルバと合流、ステラはナオトと相部屋に。
 
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