とある物語の傍観者だった者
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9話:超電磁砲
前書き
つ、疲れました・・・
木山は守りたい子供たちがいた。
彼女は植物状態になった生徒たちを救いたかった。
だからこその今回の一件。
例え他の誰かを犠牲にしてでも子供たちを助けるために実行に及んだのだ。
レベルアッパーの実験は成功ともいえる。
この脳波ネットワークさえあれば、子供達を助けだせるヒントを得るかもしれない。
あと、もう少しのところまできていた。
しかし、そこで不運にも邪魔が入った。初春飾利という女の子には研究ファイルを見られ、他ルートからも警備員に正体がバレていた。
逃走先の高速道路にて警備員と抗戦。
ほぼ、壊滅状態にさせたがいいが、次の邪魔が入った。
学園都市で7人しかいないレベル5の第三位『超電磁砲』の御坂美琴がやってきた。
木山は脳波ネットワークを利用した多才能力を行使したが、レベル5には勝てなかった。
まっ、ビリビリ中学生が勝つってオレは分かっていたけどね。ドキドキハラハラなんかしてないんだからね!
結末は知っていても心配になったりするけども、オレの出番はやってこない……これは、彼女が解決する事件でありストーリーなのだから。
さあ、ここからが本番だ。第二回戦だ。
木山は美琴のビリビリを喰らって、少しおかしくなった。頭が……??
正確に言えば脳。
一万の脳を制御できなくなったと云えばいいだろうか。
木山が悲鳴を上げ、能力が暴走する。
「ギィィィイイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアアア!!」
木山から制御下を離れたソレは、胎児を思わせるバケモノと変貌を遂げた。
AIMバーストだ。キモっ。
「な、何ですか、あれ……??」
「なんかヤバそうじゃん」
先ほどまで木山と抗戦していた警備員たちが隣で五月蝿い。
「み、御坂さん、大丈夫でしょうか??」
もう既に木山から解放されている花飾りちゃんは心配する。
「さあな、どうだろうな。でも、あいつはレベル5の超電磁砲だ。学園都市で三番目に強い能力者だ。あいつならやってくれると信じよう」
「そ、そうですよね……」
お、応援だけはしておくか!!
「みこっちゃん、頑張れーーー!!」
「うっさい、誰がみこっちゃんだ!」
せ、せっかく応援してやったのに!!
高速道路から降りてこなかったオレに向かって吼える美琴っちマジかわいい。
「さて、あいつの心配をするのも結構だが、初春ちゃん。木山から何か、ワクチン的な類いなものは渡されてないか??」
「ふぇ?」
ふぇ?じゃないよ。
アレがないとAIMバーストは止まらないし、昏睡状態の佐天さん達能力者を助けることはできない。
木山は実験さえ終われば能力者を昏睡状態から解放するつもりだったのだ。そのためのワクチンなるものを用意しているのはアニメで確認済み。
というか、それがないとヤバイ。
「ちょっと何よこいつ!? 再生するとかインチキ!!」
AIMバーストは云わばAIM拡散力場の集合体のようなものだ。
簡単に説明するなら、能力者が無自覚に発してしまう微弱な力のフィールドのようなもので、この学園都市には230万の8割、大体180万人以上が能力者で溢れかえっているわけで、もう説明がめんどくさいからテキトーに言うけど、この場合だといろんな能力(約一万)が集合して赤ちゃんを誕生させちゃったんだと思う。
うん、AIM拡散力場についてはまたいつか別の機会に詳しく話そう。今度までに調べてくる。
まぁ、そんなAIM拡散力場で形作られているAIMバーストであるから、例え電撃を受けて身体の一部が欠落しても、またAIM拡散力場から欠落した部分を補って再生したワケだが。
木山があらかじめ用意していたワクチンがあれば、それを利用してあの化け物の再生能力を止めることができた、と思う。
もっとアニメとかネットで調べとけばもっと理解早かったと思うけども!
うる覚えだが、人質であった時の初春たんにそのワクチン渡してなかったっけ??
でも、その本人はふぇとか言い出す始末。
「えと、何も渡されていない??」
「は、はい……ごめんなさい」
謝らないで!!
凄く悪い事をした気分だ!! そして、警備員のじゃんじゃん五月蝿いお姉さんが「お前女の子なかすなよじゃん」だってさ!!
あーもう! 自分で貰いに行ってくるさ!!
これは仕方が無い。
「なんなのよ、どうやって倒したらいいのよ!!」
遠くの方でバケモノと戦っている美琴たんが焦っている。
攻撃すればするほど再生しては、なんかAIMバーストの体が大きくなってはいろんな能力で美琴を攻撃している。
「おい、アンタ。木山春生」
バケモノが美琴に気を取られている間に素早く済まそう。あまり時間がなかったりもする。
「き、君か……すまない、あんなバケモノが生まれるとは思っていなかったんだ。あれはたぶん……」
「AIM拡散力場の集合体みたいなものだ。違うか??」
「そ、そうだが、分かるのか?」
「まぁな……」
この人、なんで?って顔してるよ。めんどくさ。
「別にそんなことはどうでもいいんだよ! それよりも、アレを止めるためのワクチンとかあるんじゃないのか? アンタはこの一件が終われば能力者を解放するつもりだったんだろ?? それをオレに渡してくれ」
「な、なんでそれを知っている??」
「それの質問に答えるつもりはないし、早くしないとマズい状況なんじゃないか?」
少し遠くを見れば原発があったり、あのバケモノは美琴を攻撃しながら、そこにゆっくりとゆっくりと進んでいた。
「その、ワクチンだが……ごめんなさい」
なんでそこで謝られたか!??
お前も俺に謝るな!!
つーか、この状況下で渡さないとか、女だろうが手加減しないぞ。カミやんみたいに男女平等パンチを食らいたいか!!
「さっきの戦闘で壊れた」
「あ、そうっすか……」
ポケットに入れていた。
美琴のビリビリで偶然にも破壊されたようだ。なら仕方が無い。
「もうアレを止めるにはこん睡状態にある能力者を殺すしか手がない。だから、ごめんなさい」
………。
じゃあ一体どうすればいいんだ??
「いや、まだチャンスはあるはずだ。美琴が再生量をも上回るほどの攻撃力を出せば……」
AIMバーストにはコアがある。
それを打ち抜けば勝てるし、実際そうやってアニメではバケモノを倒していた。
もうそろそろクライマックスだろうか。
だけども……
「なんでだよ。なんで倒さないんだよ……」
「………」
一向にバケモノは倒れてくれない。
「なんで、お前が負けそうになっているんだよ!! 御坂美琴!!」
「………」
寧ろ逆に美琴がピンチだった。
「おかしいだろ!! お前は学園都市第三位の超電磁砲じゃねぇかよ!! AIMバースト程度の怪物にやられんじゃねぇよ!! もっと頑張れよ!!」
心からの疑問だった。
この物語、御坂美琴がバケモノを倒すストーリーであり、シナリオなはずなんだ。
実際、これまで大体はストーリーと同じように進んできた。ただ、オレが少し介入して御坂美琴にお願いされたから車を出しただけだ。
邪魔なんかしていないし、まさかこの程度でシナリオが変わるとも思えなかった。
もう声など届きそうにないほど遠くまでいて、そこで徐々に体力を削られるビリビリ姫の姿があった。
でも、あのまま放っておいたらアイツ……やられるぞ。そう思ってしまった。
「金はいくらある??」
「は??」
場違いなオレの質問に木山のマヌケな声。
「いや、金の問題じゃないか……まぁいい。アンタの車、廃車にしてもいいか?」
「何をする気……あぁ、君の能力か」
あぁ、そうだ。機械操作な。
「別に使ってくれて構わない、廃車にしてでもアレを倒せるならな。でも、君程度の能力者にそれができるのか?」
確かに、レベル4なオレじゃアレを倒すのは無理だろう。
「オレが倒す必要はないさ。でも、ただ少しでもバケモノの気をこちらに向けさせることができるのなら……」
「あとは超電磁砲がなんとかしてくれる、か……」
結局は美琴がバケモノを倒す。でも、それでいいじゃないか。
「なら、頼む。アレを止めてくれ」
「オッケー、任せろ!」
一か八かだ。
オレは木山の乗ってきたスポーツタイプの車だけを選び【あのバケモノにツッコめ!】と命令しては、高速道路に止めてあった木山の車が猛スピードで突っ込んでいく。
「な、あいつの能力で車を……って、届いてないわよ!!」
知ってる。AIMバーストは空中を浮いているのだ。
まぁ高さが足りていないのは計算済みだったがな。
だから、たぶんそこを指摘しているであろう美琴のツッコム姿はスルーして、
【爆発しろ】
少し力を倍増ししとけば可能な芸当だ。
ドゴォオオオンと汚い花火が、車の破片等がバケモノを襲う。
「ギィイイイヤァアアアアアアアアアアアアア!!??」
バケモノはまた悲鳴を上げた。
「お、驚いたな。そんなこともできるのか……路地裏では無能のクセに」
クセに言うなや脱ぎ女!!
まぁ、でも、これがオレの戦闘で本領発揮だ。
敵突撃させて爆破させる。そして、バケモノは燃え出す。
特攻+爆撃+炎上の3コンボだ!!
まぁ今回はただ爆発させるのが目的だった。
車の破片とか、美琴の方にも飛んでいくことを計算にいれてなかったのは失敗だったが。なんとか上手く回避してくれていた。
「やっぱりダメじゃないか……」
う、うるさーい。
しかし、バケモノは一瞬体表が燃えただけで少しコゲたが、すぐに再生してしまうだろう。
でも、それでいいんだ。
あとは、このチャンスを美琴は繋げてくれる。
「……ありがとう」
コインを指で弾くビリビリ中学生。
フレミングやらなんたら演算して電撃を加えることでコインなんかでも音速の三倍で放つことができる『超電磁砲』。
最高の一撃がもがき苦しむAIMバーストを襲った。
でも、
「ギィィイイイイヤァアアアアアアアアア!!」
「「「ッ!??」」」
倒せなかった。
「あのバケモノはKYか!??」
バリアみたいなもので攻撃まで届かなかった。
それは冗談にしては面白くなかった。
このタイミングで、このクライマックスで、あれだけお膳立てして盛り上がっていたのにレベル5の必殺が通用しないとか……空気読めよ!!
「美琴、避けろっ!!」
「あっ……」
完全に集中が途切れてしまっていた。
油断もあっただろう。倒したと確信さえ彼女はしていた。
だから、バケモノの攻撃を回避できそうにもなかった……
たぶん、あの一撃を食らったら、例えレベル5でさミンチレベルだ。いくら強くても生身の人間なんだ。
もしかしたら、美琴はとっさの回避をするかもしれない。電磁波で集めた砂鉄でガードしたりするかもしれない。
でも、もし何もできなかったら?
もし、防御も回避もできなかったら?? 佐天さんの時とは状況が違う。今度の今度こそ、ここで見過ごせば彼女を救えなくなる……
それは嫌だ……
例え、これ以上の絶望が少女を襲うのを知っていて、それなのに絶対に関与したくない、手伝いたくないと酷いことを思っていても……
この時だけは、少しだけ物語のヒーローになってアイツを守りたい……
だから、オレは気がつけば次の行動をもう取っていた。
走って間に合う距離じゃない。
でも、次の必殺は届くはずだ。
オレの手にはどこから取り出したかも自分でも分かっていない大剣を持っていた。
そして、オレはその大剣を地面にぶっ刺すだけだ。
それだけでもう一つの力『魔術』を繰り出せる。
剣は地面に突き刺さりし、その効果を持って敵を殲滅せんとし。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッと大地を揺るがす地震のような揺れ。
次の瞬間にはAIMバーストの真下から、
「ぎ、ぎぃぃいいいいやぁあああああああああああああああッ!??」
何か竜の形をした閃光が迸りバケモノを飲み込んだ。
そして、オレは魔術を使った代償として吐血し、
「まーた怒られるよ、こりゃ……ゴボォッ」
黄泉川先生や子萌先生とか吹寄に説教されるかもね。
あと、土御門には苦労かけるだろう。
ごめん、と謝りオレはその場に倒れるのであった。
後書き
序章、終われなかった……前回とは裏腹に無駄に長くなった!!だいぶ話は端折ったつもりでしたがね!!
とりあえず、本来AIMバーストを倒す役目だった美琴でしたが、レールガンのアニメを見ていた近簿一二三がアニメの展開とちょっと違うやんけ!?何でオレが代わりに倒さないといけいなんだ!!と困惑やら動揺するところが見せ場だったりします。
戦闘とかその他諸々の描写が壊滅的ですが、それでも少しでもこの作品を楽しめていただければ幸いです。
あと、近簿一二三の魔術に関してはちゃんとまだ説明しません。
ただ、今回使ったソレは、作者が考えたオリジナルもいいところのテキトーな理由を詰め込んだチート魔術です。神話とかは調べるのは面倒なので、本気で作る見せ場以外はテキトーなデタラメ魔術を使うと思っておいてください。
とりあえず、次が序章のラストにします!
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