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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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アイングラッド編
SAO編
  《圏内事件》2

 
前書き
話はだらだら続きますorz 

 



やっぱり起こっちゃったよ大変なこと。

「これなら、まだ上層が落っこちて来た方が良かったか…」
「なに言ってんだよ…」

俺達の目の前には震える女性、ヨルコさんはアスナに背中を撫でられている。
彼女こそがつい先程起きた『圏内殺人』の被害者であるカインズ氏と最後までいた人物だった。
店で料理を待つ間、俺達3人は他愛のない会話を(少なくとも俺は)楽しんでいたが、そこに女性(ヨルコさん)の大きな悲鳴が聞こえたのだった。

「状況を整理しよう」

ヨルコさんを宿に送り届け、俺達3人は歩きながら今回の件について話始めた。

「凶器はあの短槍、そしてロープ。見た感じロープはNPCショップの品だから調べても徒労だろう」
「残るはこの槍ね……」
「逆棘か……こんな武器を作るプレイヤーがいるとは思いたくないな」
「同感だ」

犯行に使われた短槍は剣先とは逆の方向に逆立った無数の棘があった。
この棘により刺さった後抜けにくくなり、貫通属性ダメージを受け続ける。というコンセプトの武器だが、痛みを知らないモンスターにはまるで意味がない。
つまり、この武器は対プレイヤー用の武器なのだ。もしこれがプレイヤーメイドならば、作った鍛治屋はこれがPKに使われると知っていて作ったことになる。
いかなる理由があろうと、PKに荷担するなどこの世界ではあってはならないのだ。

「アスナ、レイ、お前ら鑑定スキル……上げてるわけないか」
「君もね」
「言わずとも」
「となると、知り合いか……」
「知り合いに鍛冶屋をやってる子がいるけど、今一番忙しい時間だしね…」
「それなら、俺の知り合いの雑貨屋兼斧戦士に頼んでみよう」
「その人……エギルさんだっけ?雑貨屋も今の時間は忙しいんじゃない?」
「知らん」
「…………」



お前な…………











50層 主街区 アルゲート



全100層ある鉄の城における中間地点であり、主街区のアルゲートはかなりの賑わいを持っている。
この層に一部からはぼったくりだとぼやかれるエギルの雑貨屋がオープンしたのはそう昔のことではない。

「おーい。来たぞ」
「邪魔するぜ」
「……客じゃないやつらにいらっしゃいませとは言わん」

雑貨屋の店主は遠慮する気皆無な野郎2人が入って来たとたん不機嫌全開な態度で迎える。

まぁ、気持ちは解らんでもない。俺だって逆の立場なら嫌に決まってる。だが、こちらにはまだ伝家の宝刀(アスナ)がある。

「こんにちはエギルさん。今日は少しお願いがあって来ました。」

これで、お任せください!!と胸を叩いてさらにお茶も出して(言わずとも俺達の分はない)もてなし始めるのだから、男という生き物は単純だ。














「圏内PKだぁ?」

事情を聞くとエギルは酢っとん狂な声を上げ、続いて険しい顔をする。

「方法は?」
「今のところ不明だ」

そう言うと、再び黙り込んでしまう。

「……そこで、これが件のショートスピアだ」

キリトが例の凶器を取り出し、エギルに渡す。

エギルはそれをフンと一瞥すると武器のポップメニューを呼び出し、《鑑定》を選択する。

「プレイヤーメイドだ」
「……っ!!製作者は!?」
「……グリムロックというらしい」
「……聞いたこと無いわね」
「俺もだ……エギルは?」
「知らないな。少なくとも一級の刀匠じゃない」
「ふむ……」

どうしたものかと4人で悩んでいると店に知った顔が入って来た。

「よお、リオ」
「レイ?珍しいなこんな時間に」
「ん。まあ今日は急遽休みにしたんだ」
「ふうん」

奥の3人に気づくと律儀に1人ずつ挨拶し、エギルと取引を始めた。










「何だって!?」

必然、彼も事件を知ることになり、驚きの声を上げる。

「……システム的に可能かどうかはこの際一度置いといて、何が目的だったのかを突き止めれば犯人に繋がるんじゃないか?」
「なるほど……」

やはり、複数の意見とは訊いておいて損はない。

取り敢えず、リオはこの事をオラトリオオーケストラに伝えに行き(少し前にリオはメンバーになった)、キリト、アスナ、エギルは黒鉄宮にグリムロックの生死を確認しに行った。
俺は少し気になることがあったので現場の教会に再び来ていた。

教会は二階建て構造、どの層にもあるスタンダードな造りだ。事件発生直後、キリトが外を警戒し、アスナが内部に突入、俺は周りのプレイヤーに協力してもらって協会を包囲した。

しかし、教会内部に犯人は居らず、出てもこなかった。

一応の推理としてはまず、

①完全決着モードの決闘で、ショートスピアを突き刺し、ロープで吊るす。
②フィールドにおいてショートスピアを突き刺し、回廊結晶で現場に運び、ロープで吊るす。

だが、①はヨルコさんとご飯を食べに来たに過ぎないカインズ氏が受けるとは考えにくい。同じ理由で②も当てはまらない。

そもそも、フィールドにおいて受けた《貫通継続ダメージ》は圏内においてどうなるのか……。



「試すのは……明日にするか……」



ちょうどその時アスナからグリムロックが生存していることを知らされた。
次いで、カイトから主な情報屋に事件のことをリークしたことの知らせが届いた。

それぞれに返事を返し、キリトとアスナと明日以降の調査を続行することを決めた。

(……意外にも食いついて来たな)

アスナのことだから2日続けて攻略を休むのは躊躇うかと思いきや解決するまで協力するそうだ。
いい機会だ。不謹慎だが、この事件を通して彼女にこの世界における、戦い以外のことを知ってもらおう。

(ついでにあいつらの朴念仁具合も矯正しよう)

ごく自然に以前の彼なら考えもしなかったことを思うのだった。



 
 

 
後書き
話があんまり進まなくてすいません…。
この原作は個人的に結構気に入っている話なのでつい長々と書いてしまいます…。

10日にプログレッシブが発売されましたね!皆さん読みましたか?
今まで出てこなかった制限とかが明かされてこの回以前に矛盾が生じている可能性がありますが、あんまり気にしないで下さい……。
どこか気づいたら教えていただけると幸いです。 
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