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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening

作者:迅ーJINー
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エピローグ

 
前書き
 ここまで本当に長かった。 

 
 それからしばらくして、リンディは事務処理をある程度片付け、グレアムの元へと訪れる。

「グレアム提督、リンディです」
「入りたまえ」

 そこには、事務作業をしているグレアムと、いつの間にか戻ってきていたらしいフレディがソファーに座り、ヘッドホンをはめて首をゆらしている。

「……連れ戻せたのですね?」
「ああ。『アレ』を使わざるを得なかったがね」
「なるほど。二人の結果は?」
「痛み分け、といったところか。あのまま放っておくと、次元振で世界を崩壊させかねなかったからな。まぁそうなっても困らない世界ではあったが、コレに今消息を絶たれると困る案件が山ほど残っている」
「……確かに。ロストロギアが関わっている案件はこれだけではありませんしね」
「そういうことだ。まぁ立ち話もなんだ、かけたまえ」
「失礼いたします」

 フレディがふんぞり返っている横に座るリンディに、アリアがコーヒーを出す。

「ありがとう」
「いえ。今作戦、お疲れさまでした」
「で、私の横のマネキンは何をしてるの?」
「見ての通りですよ……地球の音楽が相当気に入ったみたいで」
「ああそう。まぁ邪魔しないんなら構わないわ」
「申し訳ありません……」
「あなたが謝る必要ないわよ。このクズが悪いんだし」

 フレディは聞こえているのかいないのか。いつの間にかどこかから取り出してきた歌詞カードと格闘しながら首を揺らしていた。

「さて、今回の作戦の結果に関してだが……」
「ええ。作戦そのものに関しては成功したと言えるでしょう。ただし、これは対闇の書に対する計画の前段階に過ぎません」
「うむ。仕上げが全て外頼りというのが、何とも情けないが……」
「とは言っても、アレを扱い切れるような局員などいないのも事実。そこのクズに任せるわけにはいかない以上、彼女の成功を祈るしかありません」
「ああ……」

 

「ただいまー……」
「なのは!よかったぁ無事で……」

 あの激戦から無事帰宅したなのはは、翠屋にて桃子や美由希と涙の抱擁を交わす。士郎はその声を聞いて店の奥から顔を出すが、とりあえずは二人に任せることにしたらしい。恭也はこの日、恋人と出かけていていなかった。するとそこに。

「なのは!」
「フェイトちゃん!アルフさん!いらっしゃ……プレシアさん!?」
「こんにちわ。始めてきたお店だけど、フェイトから聞いてた通り、雰囲気いいわね」

 なのはは、まさかプレシアがもうリハビリを終えてきたとは思っていなかったのだろう。この訪問には驚いている。だが毎日見舞いに行っていたフェイトからすれば何の不思議もなかったそうな。

「もう動いて大丈夫なんですか?」
「ええ、もう体力も常人並みには回復したわ」
「よかったぁ……あ、お席ご案内しますね!」
「お願いね」

 一応彼女たちも客である。そのまま立ち話をさせるわけにもいかないので、奥のソファーがある席へと案内した。この日の彼女たちの用向きは、フェイトとアルフがプレシアと共にこの海鳴で暮らすことになったための友人への報告と、プレシアにここのケーキやシュークリームを食べて欲しかったからとか。

「そういえば、直人は今日来てないの?ここで働いてるんでしょ?」
「ああ、直人さんならもう辞めちゃったよ。管理局に入るための勉強をクロノ君たちに見てもらってるんだって」
「へぇ……」

 直人は現在、時空管理局に入局するための筆記試験対策でアースラスタッフに教わりながら問題集や参考書と格闘している。既に実績を出している直人は書類審査と筆記試験に合格すれば無事入局、本局での訓練を受けて正式に魔導士として任務に就ける。ちなみにプレシア自身は自らの研究によって多数の特許を取得しており、特許使用料だけで働かなくとも生活ができるというのだから驚きである。

「そうそう、はやてはどうしてるの?」
「アスカさんが全部うまくやってくれて、後は努力次第だけど歩けるようになるって喜んでたよ」
「よかった……焦らずにしっかりと頑張って欲しいね」
「うん」

 そしてはやては、闇の書という原因がなくなったことで、病院でリハビリを続けながら騎士達と共に暮らしている。問題を抱えていたリインフォースだが、アスカの協力により夜天の書から自身と騎士達を切り離し、はやてのリンカーコアと騎士達をリンクさせることに成功。これにより、完全に夜天の書は無力化したため、アースラスタッフによって本局へと送られ、厳重管理されることとなる。こうして、あの戦いを切り抜けた彼らは、無事自分たちの平和な暮らしに戻れたといえよう。ただ一つ皆の気がかりな点は、戦いの最中凶刃に倒れた竜二の安否だった。

「……そういえば竜二さん、まだ戻ってこないんだって?」
「うん……やっぱり、胸を貫かれてたから、そう簡単には戻れないのかも。普通だったら生きてることがおかしいほどの怪我だもん……」
「そうだよね……でもアスカさんは治すって言ってたし、治るって言ってたから、それを信じるしかないよね」
「うん」

 子供達は無事未来を紡ぐことができた。しかし、それを手放しで喜べないのが彼女たちの優しさであり、またそれだけ彼女たちに竜二が深く根付いたということだろう。

「私達じゃ……何もできないんだよね」
「うん……」

 そんな話をする子供達を、ただ黙って見守りながらコーヒーを啜るプレシアとアルフであった。 
 

 
後書き
 EDテーマ「Nobody's home / ONE OK ROCK」 
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