アニメにおけるOCGデッキの可能性
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飛翔する黒翼
「そして嫌な予感が的中すると」
「ま、マスター! 現実逃避してる場合じゃないですよ!?」
同級生Aとのデュエルの直後、世界が核の炎……ではなく視界が暗闇に包まれ、気がついたら真っ白な空間に俺は居た。そして、目の前には無表情で佇むレイン恵の姿があった。
お察しのいい読者の皆様ならわかるだろう。シンクロ絡みの拉致事件だと。
今、ここにいるのは俺と精霊のエアトス。あとレイン恵と向こうの方にいる巻き貝みたいなやつ。
……なんでいるんですかゾーンさん。登場早過ぎません?
「あなたはシンクロモンスターを持っていますね?」
「……なぜわかった?」
「簡単な話です。シンクロモンスターを持つ者はかなり異質です。私はそれを感じることができる。ただ、それだけです」
訳がわからないよ……。
辺りにそっと目を走らせてもめぼしいものは見つからない。ひたすら白い、白過ぎる空間が広がってるだけだった。
閉じ込められたか。
「確かにシンクロモンスターは持っているが……それがどうかしたのか?」
「あれは危険な力です。渡してください」
いや、知らんがな。いきなり拉致られて意味のわからないことを言われた挙げ句に対価もなしに渡せと来た。世界の救世主(笑)は違うなー(棒)
「断る。なぜ見ず知らずのやつに渡さなければならないんだ?」
「……それもそうですね。ならばデュエルといきましょう。私共が勝てばあなたの持つシンクロモンスターをすべていただきます」
「俺が勝ったら?」
「……レイン恵と私に勝つことができれば、できる範囲で願いを一つ叶えた上で元の場所にここへ来た同じ時間軸で戻し、我々はもうあなた方に干渉しないことを約束しましょう」
圧倒的に立場が不利なこちらからすれば願ってもない条件だ。アニメでのゾーンの性格を見るに律儀に守ってくれるだろうとは思う。
手持ちのデッキは五つ。そのうち、全力全壊なのは二つ。原作では屈指のチート性能を誇るゾーンの持つ時戒神とTF最強クラスのレイン恵のライトアンデットデッキが相手だ。手は抜けない。
「わかった。まずはどっちからやるんだ?」
「……私……」
手をあげてレインが名乗りをあげる。TF通り、無表情で機械的な印象を受けるのだが……可愛いよな。
「じゃあ、先攻はもらうぞ?」
「ん……」
無口でやりにくいとです。
鞄から赤いデッキケースを取り出すと中に入っているデッキをデュエルディスクにセット。ライフはもちろん4000。あー……キツイ。
「先攻、強欲で謙虚な壷を発動する。引いたカードは、BF-大旆のヴァーユ、増援、黒い旋風。よって黒い旋風を手札に加える。残りはデッキに戻してシャッフルする。……黒い旋風はそのまま発動。そしてBF-蒼炎のシュラを召喚。この瞬間、黒い旋風の効果が発動。デッキからBF-月影のカルートを手札に加える。カードを一枚伏せ、ターンエンドだ」
これで手札は三枚。布陣はまずまずだろう。
レイン恵のポーカーフェイスが怖いが、これを突破するのは骨が折れるぞ?
「これ……」
発動したのは光の援軍。デッキからカードが三枚落ち、レインはデッキからライトロードハンター ライコウをサーチした。
「伏せる……エンド」
モンスターを裏守備で出してカードを一枚伏せてターンエンドした。
裏守備は十中八九ライコウだろう。
「俺のターン、ドロー。増援を発動してダーク・グレファーをサーチする。そして、ダーク・グレファーを通常召喚」
「ダメ……」
奈落の落とし穴でダーク・グレファーが消える。レインは主要罠全種類入りだったなぁ、そういえば……。
「仕方ない……。BF-蒼炎のシュラで裏守備モンスターを攻撃する」
「ん……効果。破壊」
シュラがライコウに噛み付かれて破壊される。レインのデッキからはさらに三枚のカードが墓地に送られた。
「だが、BF-蒼炎のシュラの効果は発動する。俺はデッキからBF-大旆のヴァーユを攻撃表示で特殊召喚。さらに、BF-大旆のヴァーユでダイレクトアタック」
4000→3200
「……軽微」
「ターンエンドだ」
ダメージを受けてもやはりその瞳は無機質に澄んでいる。
なんの感情も読み取れない。
だが、そこがいい(ぇ
「私のターン……。……出す」
馬頭鬼を召喚して、墓地のゾンビキャリアの効果で手札を一枚デッキトップに戻し、ゾンビキャリアを特殊召喚する。
……来るか?
「シンクロ召喚。……これ」
氷結界の龍 ブリューナクのシンクロ召喚。その効果は凶悪の一言に尽きる。現在OCGにおいてゴヨウ・ガーディアンとダーク・ダイブ・ボンバーと並び禁止カードとなっている程だ。
「効果……」
手札を一枚捨てて選択したカードを手札に戻す効果があるのだ。そしてレインが無言で指指したのは伏せカード……ってヤバイ。通したら殺されそうだ。
「チェーン発動、ゴッドバードアタック。効果でBF-大旆のヴァーユをリリースして、氷結界の龍 ブリューナクを破壊する」
BF-大旆のヴァーユがその小さい翼で飛翔し、ブリューナクを貫いて消滅する。
「……これ」
墓地のライトロードハンター ライコウと終末の騎士がゲームから除外されて、カオスソルジャー-開闢の使者-が登場する。
「行く……大きいの」
4000→1000
危な……レインの墓地に馬頭鬼以外のアンデットモンスターが落ちてたら負けていた。
背中を冷や汗が流れる。……やっぱりライフが4000だとヒヤヒヤだなぁ。
「伏せる。……エンド」
これでレイン恵の手札はゼロ。対してこちらの手札は四枚。ライフは瀕死だが、分はこちらにある。
「俺のターン、ドロー。BF-精鋭のゼピュロスを召喚。黒い旋風の効果でデッキからBF-疾風のゲイルを手札に加える」
チラッとレイン恵を見ても相変わらず無表情である。表情が読めない。
「BF-疾風のゲイルはフィールド上にBFと名の付くモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる」
「……ダメ」
レイン恵の手の動きと連動して伏せカードがオープンされる。予想通りというかなんというか激流葬だった。フィールド上が一掃され、綺麗になった。
「……まだだ。墓地のBF-精鋭のゼピュロスの効果発動。黒い旋風を手札に戻してフィールド上に特殊召喚する」
1000→600
「バトル、BF-精鋭のゼピュロスでダイレクトアタックだ」
「っ……まだ」
3200→1600
さっきまで凪いでいた瞳が少しずつ熱を帯びてきている。デュエルというのはいい。その気でなくともだんだん熱くなってくる。
「黒い旋風を発動。カードを一枚伏せてターンエンド」
「ドロー……ッ」
引いたカードを見てこちらをまっすぐ見てくる。
最初の機械のような無機質なものよりもずっとこっちの方がいい。
「これ、出す」
ダーク・アームド・ドラゴンが出てくる。レイン恵の墓地に存在するのはダーク・グレファー、終末の騎士……そしてネクロ・ガードナー。
……よく引いたものだな。
「効果……」
レイン恵は墓地のダーク・グレファーを除外してBF-精鋭のゼピュロスを破壊。そして終末の騎士をゲームから除外して伏せカードを割ろうとしてきた。
「……惜しかったな。伏せカードオープン。強制脱出装置を発動。ダーク・アームド・ドラゴンを手札に戻す」
「……エンド」
レイン恵の目は死んでいない。墓地に存在するネクロ・ガードナーを突破しなければ勝てないからだ。
手札にBF-月影のカルートが存在するためBFと名の付いたモンスターが二枚以上召喚することができれば俺の勝ちとなる。
BF-疾風のゲイルはすでに墓地なのでそれでキメることはできない。
「俺のターン、ドロー。……おろかな埋葬を発動する。デッキから落とすのはBF-暁のシロッコだ。そして、墓地のBF-大旆のヴァーユの効果発動。このカードとBF-暁のシロッコをゲームから除外することで、エクストラデッキからその合計レベルのシンクロモンスターを効果を無効化して特殊召喚できる。よって俺はBF-アームドウイングを特殊召喚。そして手札からBF-大旆のヴァーユを召喚」
「……負け」
レイン恵は自身が負けたのを認識し、腕を下ろして静かに目を閉じた。
「バトルだ。BF-アームズウイングでプレイヤーにダイレクトアタック」
「ダメ……でも……」
ネクロ・ガードナーの効果が発動し、BF-アームズウイングの攻撃が防がれる。だが、壁が足りない。
「これでトドメだ。BF-大旆のヴァーユでダイレクトアタック。そしてそのダイレクトアタック宣言時、手札のBF-月影のカルートの効果発動。このカードを手札から捨てることでBF-大旆のヴァーユの攻撃力を1400ポイントアップする」
1600→-600
ライフ4000だといつ死んでもおかしくないから怖い……。ガチデッキとガチデッキのぶつかり合いだと余計にそう思う。
「ふむ……。いいデュエルでした。まさか負けてしまうとは思いませんでしたが……。いいでしょう。ならば、私直々に下してあげます」
そして、さらにキツイラスボス戦と……。
・強欲で謙虚な壷
通常魔法
自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。
「強欲で謙虚な壺」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン自分はモンスターを特殊召喚できない。
・黒い旋風
永続魔法
自分フィールド上に「BF」と名のついたモンスターが召喚された時、そのモンスターの攻撃力より低い攻撃力を持つ「BF」と名のついたモンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。
・BF-蒼炎のシュラ
効果モンスター
レベル 4
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 1800
守備力 1200
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキから攻撃力1500以下の「BF」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
・BF-月影のカルート
効果モンスター
レベル 3
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 1400
守備力 1000
自分フィールド上の「BF」と名のついたモンスターが戦闘を行うダメージステップ時、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで1400ポイントアップする。
・光の援軍
通常魔法
自分のデッキの上からカ
ードを3枚墓地へ送って発動できる。
デッキからレベル4以下の「ライトロード」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
・ダーク・グレファー
効果モンスター
レベル 4
属性 闇
種族 戦士族
攻撃力 1700
守備力 1600
このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てる事で、自分のデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。
・奈落の落とし穴
通常罠
相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。
その攻撃力1500以上のモンスターを破壊しゲームから除外する。
・ライトロードハンター ライコウ
リバース効果モンスター
レベル 2
属性 光
種族 獣族
攻撃力 200
守備力 100
リバース:フィールド上のカード1枚を選択して破壊できる。
自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
・BF-大旆のヴァーユ
チューナー・効果モンスター
レベル 1
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 800
守備力 0
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、シンクロ素材にできない。
このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の自分の墓地の「BF」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
墓地のこのカードと選択したモンスターをゲームから除外し、そのレベルの合計と同じレベルを持つ「BF」と名のついたシンクロモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
・馬頭鬼
効果モンスター
レベル 4
属性 地
種族 アンデット族
攻撃力 1700
守備力 800
自分のメインフェイズ時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分の墓地からアンデット族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
・ゾンビキャリア
チューナー・効果モンスターレベル 2
属性 闇
種族 アンデット族
攻撃力 400
守備力 200
手札を1枚デッキの一番上に戻して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
・ゴブリンゾンビ
効果モンスター
レベル 4
属性 闇
種族 アンデット族
攻撃力 1100
守備力 1050
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手はデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分のデッキから守備力1200以下のアンデット族モンスター1体を手札に加える。
・カオス・ソルジャー 開闢の使者
種類 効果モンスター
レベル 8
属性 光
種族 戦士族
攻撃力 3000
守備力 2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択してゲームから除外する。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
●このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃できる。
・BF-精鋭のゼピュロス
効果モンスター
レベル 4
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 1600
守備力 1000
このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を手札に戻して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ポイントダメージを受ける。
「BF-精鋭のゼピュロス」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
・BF-疾風のゲイル
チューナー・効果モンスター
レベル 3
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 1300
守備力 400
自分フィールド上に「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択した相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。
・終末の騎士
効果モンスター
レベル 4
属性 闇
種族 戦士族
攻撃力 1400
守備力 1200
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
ネクロ・ガードナー
効果モンスター
レベル 3
属性 闇
種族 戦士族
攻撃力 600
守備力 1300
相手のターン中に、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
・ダーク・アームド・ドラゴン
効果モンスター
レベル 7
属性 闇
種族 ドラゴン族
攻撃力 2800
守備力 1000
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の闇属性モンスターが3体の場合のみ特殊召喚できる。
自分のメインフェイズ時に自分の墓地の闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
・おろかな埋葬
通常魔法
デッキからモンスター1体を墓地に送る。
・暁のシロッコ
効果モンスター
レベル 5
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 2000
守備力 900
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで通常召喚できる。
1ターンに1度、自分フィールド上の「BF」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力は、そのモンスター以外のフィールド上の「BF」と名のついたモンスターの攻撃力の合計分アップする。
この効果を発動するターン、選択したモンスター以外のモンスターは攻撃できない。
BF-アームズ・ウイング
シンクロ・効果モンスター
レベル 6
属性 闇
種族 鳥獣族
攻撃力 2300
守備力 1000
「BF」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが守備表示モンスターを攻撃するダメージステップの間、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
後書き
墓地旋風BF VS アンデットロードでした。
TFキャラ、及びそのネタバレが少々。なぜか人気のキャラほどデッキがガチ仕様になっていく……
デッキの説明ですが、言わずと知れた墓地BF。黒い旋風の準制限化、カルート無制限となかなか動き易くなってきましたね。
基礎攻撃力の低さをカルートで補いつつ殴り殺すと。墓地が整えば瞬殺コースです。おお、怖い怖い。
対するアンデットロード。ライトロードで復活のカードが多いアンデットを落とし、場を制圧していくデッキです。ライコウと言った破壊も多く、安定はしますがやはり環境トップと比べると見劣りしますね。
主人公に使って欲しいデッキとか感想も添えて言っていただければ使うかもしれません。よろしくお願いします。
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